米ミネソタ州グラント郡・ホフマンに住む、スカイラー・ヘッドストロームちゃん(10歳)は、あともう少しで顔が真っ二つになる大惨事に見舞われ、2週間死の淵を彷徨い、事故から一か月後に奇跡の生還を遂げた。
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父ブライアンさんの芝刈り機が、誤ってスカイラーちゃんの、額から鼻筋の脇を、かすったからだ。
故意でなくても自分の不注意で自分の娘に瀕死の重傷を負わせる、しかも顔に、という事があれば、父親はどんな心境に陥るのだろうか。
時は1か月前の6月9日。
ブライアンさんは、庭の芝を電動芝刈り機で手入れしていた。そこから少し離れた所で、一人娘のスカイラーちゃんは遊んでいて、再婚した奥さんでスカイラーちゃんの義母・マリーさんは、その様子を見ていた。
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ブライアンさんが、後ろにある伸び切った芝を刈ろうと振り向いた時、何かにかすった様な気がしたが、しばらく作業を続けていたという。それからしばらくしてマリーさんの悲鳴が聞こえ、ブライアンさんは凍り付いた。
彼の目に映ったのは、背の高さぐらいの芝を刈った向こうに居た血まみれのスカイラーちゃんだったのだ。ブライアンさんは、芝の繁みの向こうにいたスカイラーちゃんに気付かなかった。
『人生最悪の日だった、わが娘がこんな事になるなんて。』ブライアンさんは、TwinCities.comのインタビューにこう語っていた。
マリーさんに『貴方!芝刈り機を捨てて!』と怒鳴られ慌てて手放した先に立っていた大けがをした娘。一瞬何が起こったのか、ブライアンさんは判らなかったという。
だが反対に、生きるか死ぬかの大怪我を負ったスカイラーちゃんは、その時の事を克明かつ冷静に覚えていた。
『最初何があったのか、まるで判らなかった。どこからかドッジボールが凄い勢いで飛んできて顔にぶつかったんだと思ったわ。そうしたら次の瞬間に目の前が血まみれになって、頭がズキズキ痛くなって意識が遠くなっていった。遠くなっていく意識の中で、ママとパパが震えているのが見えたの。』
何という事だろう。
事故の瞬間と経過をスカイラーちゃんは、克明に覚えていたのだ。これには駆けつけたケンジントン救急センター長のジョーイ・ネスマンも驚いた。
『普通こんな事故なら、患者の両親がパニックになるか、本人が暴れて、救急車で搬送中に死亡するケースが殆どだ。だがこんな幼い女の子が、事の重大さを把握していたというのはありえないぐらい凄い。我々が応急処置をしたとしても、助かる確率は1割未満と言われるケースだったのに、彼女は本当にラッキーだった。これも彼女の冷静さのおかげだ。』
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ブライアンさんの使っていた電動芝刈り機は、縦4インチ(10.1cm)×横2インチ(5cm)の家庭用のものだったが、スカイラーちゃんは、助かったのが不思議なぐらいの瀕死の重傷を負った。
傷は頭蓋骨に達し、骨折していた為、救急隊はスカイラーちゃんを、同州のアレキサンドリア病院に搬送。小児神経外科医と脳神経外科医の元、頭蓋骨を固定し、頭部の外と内側、顔面、合計200針を縫う大がかりな外科手術を行う事になった。
その後、スカイラーちゃんは、ノースダコタ州ファーゴにある医療施設で本格的な施術を受ける事になった。
医療関係者は、スカイラーちゃんが奇蹟的に助かった理由を『瀕死の重傷を負ったその日のうち、しかも2時間以内に外科手術に入った事にある』と考えている。
スカイラーちゃんが怪我を負ったのが、午後六時、アレキサンドリア病院に搬送されたのが、1時間半後の、午後7時半で、小児神経外科医がすぐに外科手術を担当した事が、彼女の命が救われた科学的根拠だというのだ。
スカイラーちゃんは、この手術に耐えただけでなく、奇蹟的回復を見せ、手術から3週間後には、頭部の外側の一部と顔面に使われていた糸を抜糸。他については体組織に溶け込む糸を外科手術の際に使ったという。
ブライアンさんは、娘の奇蹟的回復を目の当たりにして最後にこう語った。
『僕はレスリングコーチをしていて、どんな大怪我でも目の当たりにしているが娘となれば話は別だ。しかも自分が犯したミスで娘に瀕死の重傷を負わせてしまった。娘には申し訳ないという言葉では言い現わせないぐらいだ。』
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スカイラーちゃんの病状は、現在も時々頭痛に悩まされる事はあるというが、比較的容態は安定しているという。
瀕死の重傷から、救われたスカイラーちゃんには、神様がついていたかもしれない。
10-year-old Minnesota girl survives being struck in face by lawnmower blade