30年で約200人の里親になった夫婦・現在は赤ちゃんの里親


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結婚してから30年以上もの間、ずっと里親として子供を預かり続けてきた夫婦が英国に居る。その数何と32年間で186人。1年間に平均6人の子供の里親になった事になる。

『最初はふとしたきっかけだった。今は子供は大好きでやめられない。子供の面倒をみることは若返るからね。』

そう答えるのは、英国でクラフトビール製造が盛んなスタッフォードシャーにある町、バートン・アポン・トレントに住むフォスター夫妻だ。


©Caters News

英語で里親の事を『Foster Parents』というが、意識しているのでもないのに、2人の苗字はフォスター。天職と言える里親業に出逢えた所以はどこにあるのだろうか。

里親=養子縁組ではない


©Alex Cantrill-Jones / ACJ Media

ウィリアム・フォスターさん(’20年現在82歳)と、ジーン・フォスターさん(’20年現在74歳)は、結婚34年。結婚2年後から里親をはじめ、32年の間に186人の子供の里親を引き受けた。地元では長年の2人の功績を高く評価し表彰している。

『里親=全ての子供の一生の面倒をみるのではないんだよ。』ウィリアムさんは記者に対して笑って答えた。里親の概念に慣れていない人は里親=養子縁組と勘違いしてしまうのだろう。

『里親も色んなタイプがあるんだ。養子縁組の様な長期にわたる里親もあれば、その子が小学校から中学に上がるまでというものもある。夏休みの間だけ預かってほしいというものもあれば、育休復帰の間だけ預かって、はたまた週末に夫婦で旅行に行きたいから子供を預かってほしいというのもあるんだよ。』

ウィリアムさんの答えを聞いていると英国での里親の概念は違うらしい。無論ウィリアムさんは昔ながらの里親の概念は否定していない。その一方で日本でいう所の『保育所や託児所的な役割を果たす里親』という概念がもっと世間に広まればいいと思っているのだ。

里親を続ける事で得られるもの、失うものはと聞いた所ジーンさんは失うものは、世間の人が求める人並みの自由の時間だと答えた。

『世間の人は暇が出来れば旅行に行ったり、お出かけをしようと思うでしょう。私たち夫妻はそうではなく次々来る子供たちの為に人生を費やしてきた。気が付けば旅行にもいけなかったし、それが当たり前に思ってた。』

反対にウィリアム夫妻が得るものはといえば『里子からの無償の愛情』と言うジーンさん。里子が自分の子供をつれて帰ってきてくれた時ほどうれしい事はなく、ある里子の女性は9人の子供の母親になりジーンさんの元を訪ねてきた。『自分の育てた子供が母親になった時に喜びは、何物にもかえられないわ。』

そんな2人が里親をはじめるきっかけとなったのは何だったのか。

クリスマスはクレイジーなぐらい素晴らしかった


©Caters News
ウィリアム夫妻が里親を始めたのは、’83年の事。
最初は軽い気持ちで週末に近所の子供を預かることからはじめるいわゆる保育所の代わりをやっていた。その中の1人にナオミが居た。

育休の取れないシングルマザーや、夏休みの休暇中に子供を預かってほしいという親からの要望に応える様になり、子供を預かる事が当たり前になった。

『最初は数日、1か月、長くても1年だったな。』昔を振り返るウィリアムさん。だが、そんな2人が養子をとるきっかけになったのが『毎週末に預かっていた女の子』だった。


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ウィリアム夫妻は、里親を始めてから5年間、同じ親から週末に同じ女の子を預かっていた。親は公私共々多忙で1人娘に構う時間がなくベビーシッターの代わりとしてウィリアム夫妻の元に娘を預けていた。

5年が経ち、娘の実の夫妻は迎えに行こうとしたがウィリアム夫妻は里子に情が移ってしまい、話し合った結果、里子と養子縁組する事にした。その里子がナオミだった。

©Dilantha Dissanayake/Caters News

ナオミ(’20年現在34歳)は、ウィリアム夫妻の元に育ち、4人の子供の母となった。
『母(ジーン)は本当にすごい人よ。私の家は毎日がお祭り騒ぎ。退屈してる暇なんてなかったわ。クリスマスは、他の家と比べものにならないぐらいクレイジー。沢山の料理が出てきて、皆でゲームをして本当に楽しかったもの。』

ウィリアム夫妻は、ナオミの後にタミー(’20年現在41歳)を養子として迎え入れた。
『クリスマスは大勢の子供たちで、てんやわんや。違う種類の料理を沢山用意して、飾り付けして、あまりにも忙しかったからウィリアムがサンタさんの格好をする時間がなかったぐらい。皆、ウィリアムだって判ってるからいいよね、て私たちはいってたわ。』タミーは昔を振り返る。

子供たちが訪ねてきてくれるのが成長の証、何よりの心の支えだというウィリアム夫妻。
そんな2人は現役バリバリの里親なのだ。現在何歳の子供の里子なのだろうか。


©Michael Scott/Caters News

’20年現在、ウィリアム夫妻は10カ月と1歳半の赤ちゃんの里親になっている。
周りからは、赤ちゃんの里親なんて大丈夫と咎められたそうだが、娘のナオミとタミーがサポートに回っている事もあり、他の里子や近所の人々も安心したそうだ。

何より赤ちゃんの里子を引き受けることで生きる勇気を貰えるのはウィリアム夫妻なのだという。

『赤ちゃんと接する事は毎日が違う発見になるの。若返るし好奇心と向上心を刺激して貰えるから、面白いわ。』ジーンは赤ちゃんの面倒をみるとワクワクするという。

その一方で、最近の里子の面倒を見て失望する事もあるそうだ。

『昔の里子は、いつの時代にも通じるお話を聞かせたり、おいしいものを食べたり、料理を教えるととても喜んだ。でも今の子はスマホに夢中。料理を作っても見向きもしない子が増えたの。里親に出される前に何を食べて何を聞かされていたのかと思うと恐ろしくなるわ。』

現在の子育てにスマホが起用されている事も、ウィリアム夫妻には頭を抱える話なのだろう。

かつては仕事と思い引き受けていたというウィリアムさん。だが今は純粋に子供が好きで愛しているという。
『里親を続ける事で、かけがえのない恩恵を貰えるからね。だからやめるわけにはいかないんだよ。』

By name and by nature! Mr & Mrs Foster take in 186 children

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