いつの日か『新型コロナウィルス騒動』もマスク行列も、生活用品買い占めも、’70年代のオイルショック同様『あんな事もあったよね』と言える様になれば幸せだ。
が、その前に目を見張るべきなのは、新型コロナウィルスが蔓延する2020年春に罹患しながらも、奇跡の回復を見せた99歳のおじいさんとおばあさんが英国に居る。
前のパンデミックであるスペイン風邪根絶直後に生まれた世代がこの2人なのだが、生き残る秘訣は何なのか。
99歳で新型コロナから生還!
©ITV/GMT
新型コロナウィルスから奇跡の生還を果たしたのは、キャリー・ポロック(Carrie Pollock)さんと、トム・ムーア(Captain Tom Moore)さん(’20年現在99歳)。
ポロックさんは英国南部ポーツマスの近くにある、ヘイリング島在住。
一時は集中治療室(ICU)に入り、助からない危険性もあったボリス・ジョンソン英首相に対し涙を浮かべ『Stay Home(無用な外出は控えて家にいなさい)』とビデオメッセージを通じ警告した。
ポロックさんが、コロナウィルスに罹患したのは、’20年3月。
自宅にいた時、高熱と幻覚に襲われ、これはただの体調不良や歳のせいではないと思い、ポーツマスにあるQueen Alexandra Hospital に入院。
ポロックさんは回復後、ITV1の報道番組『Good Morning Britain』に、ひ孫のジェシカさんと共にスカイプ越しに出演。回復した事を伝えた。
同居しているジェシカさんはポロックさんの異変にすぐ気が付いたという。
『家事1つするにしても、ただ単に体調が悪いだけなのと、明らかに様子がおかしいのでは違うわ。呂律が回らなくなってきたし、臭いも判らないって言いだしたから病院に連れて行ったのよ。』
ジェシカさんの他にポロックさんは、自分の甥っ子であるウィリアム・ヒッチコックさん(’20年現在73歳)と、妻のペギーさん(73歳)に家をシェアしている事が、コロナウィルス早期発見隔離に繋がった。
ウィリアムさん曰く、ポロックさんの旦那さんは職人で、2013年に心臓病でなくなるまで、ずっと働いていたという。
夫婦共々心臓や肺が弱いので、コロナウィルスが蔓延した時の話を聞いた時点で既に気を付けていたというのだ。
『Good Morning Britain』では、ポーツマスにケニアから帰還した准尉が検査の結果新型コロナウィルス陰性と発覚。ポロックさんのインタビューを聞いて自宅療養する事を決めたという。
『Good Morning Britain』を放映するITVは、BBCと並ぶ英国最古の民間放送局ITV1NEWS、日本で言う所の『報道ステーション』か『news every』で報道される程、影響力がある。
お騒がせジャーナリストが100万を超える寄付?
©ITV/GMT
一方、トム・ムーアさんも、娘のハンナさんと共にスカイプインタビューに出演。
元大尉のムーアさんは、50万ポンド(約675万円)を目標に、NHSに寄付する基金をたちあげており、’20年4月現在で £433,653(585万円)集まっている。
UPDATE: The magnificent @captaintommoore will be back on @GMB tomorrow to talk about how he nailed his £500k target & is now steaming to £1 million. 👍 pic.twitter.com/LD2sZ94Tg9
— Piers Morgan (@piersmorgan) April 13, 2020
100歳近くになるまでの健康の秘訣はジム通いではなく散歩なのだが、新型コロナウィルスが蔓延している間は外出規制がかかっているので、家の周りをこの通り、ぐるぐると100周してるのだそうだ。
『昼間にならないと運動にならないし、夜にやってると年寄が徘徊してると思われるだろう。』
©digitalspy.com
番組司会で、英国内では『お騒がせジャーナリスト』として知られるピアース・モーガンは、ムーアさんが『家の周りを101週したら10000ポンド払う!(135万)と宣言し、支払ったので、コロナ炎上してしまった。
ムーアさんは、これに対し、どんな経緯であれ人々がNHSに寄付してくれるのは素晴らしい、NHSは万年運営資金不足だからね、と言った。
一方、ポロックさんも英国労働運動ビック4の1つ、GMB(全国都市一般労組)から表彰された。
『この歳になって表彰されるとは思っても居なかったわ。』
ムーアさんも、ポロックさんも今年100歳になる。
ではスペイン風邪直後に生まれた2人はどうやってパンデミックを逃れているのだろうか。
パンデミックを終息させるには
©Justgiving.com
ムーアさんも、ポロックさんも高齢にも関わらず助かった理由は、旅行などお出かけを頻繁にしなかった事が挙げられる。
その他は、親族と同居もしくは親族や気心しれた人に目の届く範囲に住んで貰った人が比較的助かりやすい。
私の祖母は’18年に99歳で肺炎になり、新型コロナウィルスが蔓延する前、’19年に100歳で老衰で亡くなった。
元々肺が弱く結核持ちで、若い頃はやせ細っていた祖母が、99歳の肺炎も生き延び、100歳で穏やかに命を全う出来た理由は、私を含めた親族が近くに住んでいたからだ。
パンデミックを防ぐには、医療だけでは限界がある。
パンデミックになる以前に、日ごろからウィルスを寄せ付けない体や生活習慣、人間関係を作る事が大事なのではないだろうか。
新型コロナウィルス蔓延でフィットネスクラブが目の敵にされた理由は、スタジオレッスン受けたさに、他府県に遠征する人たちが後を絶たないからだ。そのために住んでいる地域のスイミングスクールで大人しく泳いでる人たちや、映画を見る人、飲食業界まで巻き添えになったのは言うまでもない。
非常事態宣言解除後も事態が悪化しない為には、お住まいの地域から不要なお出かけをしない事、これがパンデミックを終息させる要因なのではと思う。
Meet the 99-year-old war veteran walking to raise £500,000 for the NHS