内臓破裂・脊椎損傷…バイク事故の重傷から甦った男性


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英国史上最悪と言われた自動車事故で、2年間死の淵から甦ってきた二児の父親が、英メディアのインタビューに答えた。事故に遭ったのは、英東部ケンブリッジシャー・スティルトンに住むアダム・シャイラーさん(36)。

©Mirrorpix

アダムさんは、2年前の’16年8月、バイクで高速道路を走行中、後続のメルセデスCLKに追突され、全身打撲。全身12箇所に重症を負いドクターヘリで運ばれた。

アダムさんは、ブルーチーズの産地として有名な、英東部ケンブリッジシャーの村・スティルトンに、家族と共に住んでいた。事故が起きるわずか20分前、妻のレイチェルさん(35)と娘のサブリナ、生まれたばかりの息子・ジェームス君に、行ってくると挨拶をしたばかりだった。

©Dailymail.co.uk

が、その20分後に起きた事故で、民間救急隊のMagpas Air Ambulanceが目にした惨状は予想をはるかに超えるものだった。
道路に投げだされたアダムの横に、骨盤の骨が29個の破片になって飛び散っていた上、肋骨の骨は18本折れていた。腸は真っ二つになり、さらに悲惨だったのが尿道が体からぶら下がっていた状態だった事だった。

かけつけた救急救命士が目を覆うような惨状の中、アダムは娘の名前を呼び続け『…オレは今日死ぬのか…?』と救急隊に問い続けていたという。救急隊の面々は、とっさの判断で『今日死ぬわけがない』と言うしかなかった。

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ドクターヘリに搭乗していた救急救命士は、現場では応急処置よりも最低限の処置を優先。搬送先で最先端医療を施す事に決め、ケンブリッジにあるMajor Trauma Centre at Addenbrooke’s Hospitalにアダムさんを搬送した。瀕死の重傷であるアダムさんの心臓が搬送先の病院まで持つかどうかそれは賭けでしかなかった。搬送中にアダムさんの心臓は二回止まり、後一回止まれば彼の命はなかった。

現場の救急隊であるMagpas critical care の救急救命士・ダン・リードは『どの傷もアダムにとって致命傷になりかねなかった。』と当時の惨状を振り返った。

ドクターヘリで応急処置を施したアンディ・リンゼイは『アダムは、手術ごとに命の危険に晒されていたと言っても過言ではなかった。にも関わらず24回の手術をしなければいけないと聞かされた時は、僕たちも、生き延びてと願うしかなかった。車とバイクの事故の場合、バイクの被害者が助かる率は本当に少ないからね。』と語っていた。

©Magpas Air Ambulance

アダムが事故で負った怪我は以下の通りの図になる。

1:肺に痣と出血 2:胸骨骨折 3:腎臓・肝臓裂傷 4:臀部骨5本骨折 5:大腿筋断裂 6:足骨折 7:肩脱臼 8:肋骨18本骨折 9:脊柱損傷 10:股関節損傷 11:尿道剥離

©Shutterstock/Sebastian Kalizki

アダムは12日間の間に、24回の手術に耐え、13日間昏睡状態のままだった。このまま眠りから覚める事ないまま死を迎えるのか…残された家族だけでなく現場に駆け付けた救急救命士も絶望の淵に居た。

が、アダムは2年経って、復活した。
たしかにみぞおちには痛々しい手術の痕があり、歩く時には杖が手放せず、あの事故の前日の様に、バイクに乗る事はままならない。だが回復は絶望的と言われていた事故から奇跡の復活を遂げたのだった。

事故当時生後2週間だったジェームス君は2歳になる。当時を振り返り、アダムは『手術中はずっと寝ていたからどうだか知らないけれど、リハビリは僕にとって地獄だったよ』と語る。アダムさん曰く、手術後のリハビリは、全身に毎日激痛が走り眠れないという事もあったのだそうだ。

©Mirrorpix

アダムの妻レイチェルさんは『夫が事故に遭って、助からないと警察から知らされた時は、胸が張り裂けそうでした。ついさっき元気で家を出ていったばかりなのに…?と思いました。警察の車で病院に行って事の重大さを目の当りにして、どうしようと…。』アダムさんが瀕死の重傷から甦り、事故から退院してきたのは、4か月後、その年のクリスマスの4日前だったという。

だが退院してホっとしたのもつかの間。夫アダムさんは車椅子だったのだ。事故で脊髄を損傷していて、歩くためには自分の意思でリハビリをしなくてはいけなかった。

この時医師は、アダムさんが歩ける様になるかどうかわからないと忠告したが、アダムさんは懸命のリハビリの末、杖をついて歩くまでに快復した。確かに痛みは残る、だが、リハビリは続けているのだそうだ。

©Mirrorpix
レイチェルさんは、もしもあの時あの事故がなければ…と思う時が今でもあるという。
『その度に、アダムが昏睡状態から目を覚ました時の事を思い出すのよ。傍に居てくれてありがとうって、言ってくれたあの言葉を。事故があってもなくても、夫が私たち家族の事を大切に思ってくれている事は伝わったってね。』

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