愛に歳の差は関係ないというが、その相手が母親の友達だとすれば。
英国ウェールズ出身で、今は北西部・ランディノドーに住む、アンディ(47)とベス・テッドフォード(19)は、ささやかながら幸せな日々を送っている。
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唯一、2人に対する向けられる偏見といえば、故郷では母親の友達と結婚した娘、母親の娘に手を出した男という事だ。
2人に対し向けられる先入観は避けられない。それをどうやって乗り越えようとしたのか。結婚して3年が経つ2人は、BBCのChannel5のドキュメンタリーとDailymailの取材に応じた。
ベスとアンディが知り合ったのは3年前。アンディはベスの母親の友達の一人で、この町に引っ越してきた。
ベスの母親とアンディは長年の知り合いで、二人は同じ町出身だが、アンディはバスの運転手だった為に、ウェールズでも違う町に居た。アンディがベスに再会した時はベスは16になる少し前だったという。
意外にも恋に落ちたのはベスの方が先だった。アンディは『友人の娘さんであり、年の離れたお友達』だと思っていたという。
二人が出会ったのはウェールズの片田舎。NYではない。二人の間柄は狭い町に広まり、ベスとアンディは双方の両親から説得され、故郷から170マイル離れたウェールズ北西部・ランディドノーに移住する事になった。
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アンディとベスは、故郷から離れたこの地で、’16年11月に結婚し、今は二人の息子、ティミー(2歳)とコンウェイ(1歳)がいる。
故郷を離れても、二人を見る近所の人の目は変わらない。あまりに歳が離れた2人は親子に間違われる事も多く、息子2人をつれて歩いていてもアンディは『お孫さんですよね』と言われる。
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2人が堂々と胸を張って『夫婦です』と言える日は、未だに訪れない。
セレブたちが年の差婚をしても人々は話のネタにする程度だが、近所にその様な人が住んでいるというだけで『関わりを持ちたくない』と思うのが人間の性なのだと思うとアンディは言う。
ベスの母親は、娘の結婚以来疎遠だ。息子が産まれてから、ベスは週末に周囲の目から隠れる様に息子を連れてアンディと共に帰ってくる。息子が産まれたのは嬉しいが、義理の息子が自分の友人だと思うと複雑な心境を隠し切れない。
『私たちは幸せな家族だった。娘と二人だけであってもね。アンディが引っ越してきた時は父親代わりにいいかと思って家に招き入れたの。ベスにも父親代わりの人間がいればいいかなと思って。それ以上の感情を抱いて、こんな結果になると思わなかったわ。』
確かに娘を持つ母親としては、まさかこんな事が娘の身の上に起こるとは思っても居なかったのだろう。相手は自分の友人。後悔が心の中を未だに渦巻いているという。
一方アンディは親友のつもりが恋愛感情を押し付けてくるベスに戸惑った。
『母親の友達だったからベスから最初にお友達になろうって言われた時はいいよって言ったんだ。それでも僕は考えた。世間は普通にこう思うじゃないか。母親の娘さんに手を出したのはお前だろう。責任を取れって。』
だがアンディはベスの若さに負けて、恋人から夫婦へと突っ切ってしまう。
『本当の事を言うと、結婚当初こんなはずじゃなかったと思っていたのは僕の方。ベスは、どんな苦難や世間の偏見、先入観も変えて見せると強かった。僕はそれについていっただけ。僕自身この町から出たことがなかったし、心休まる事はなかった。』とアンディは語る。
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事実アンディは、通勤用のバンに『Pedo(小児性愛者)とスプレーで落書きされ、いやがらせをされた。
ドキュメンタリー撮影の為に、3年ぶりに離れた故郷を訪れたアンディはこう語った『僕は40年間ずっとこの町に暮らしてきた。僕だけじゃないよ、母も祖母も、少なくとも三代はこの町に暮らしているんだ。それが僕の代の過ちで出ていかなくてはいけなくなった。それだけ僕の家系が保守的だった事も判ってほしいんだ。』
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ベスは、故郷から離れたランディノドーで二人の子供を育てているが、いまだに誰かの付き添いなしでは、外を歩けないという。
この3年で、二人の友人のごく一部が存在を認めてくれた事で、ベスはこの町で暮らしていく事が出来ると言っていた。
自分たちの存在を認めてもらう事に強気な姿勢を見せるのがベスだとすれば、その為に払った代償の重さを大事にすべきだと考えているのがアンディだ。ベスはアンディが他の大人にない思慮深い所に惹かれて結婚を決めたという。SNS全盛世代に生まれたからこそ、彼の様なアナログ一辺倒の人間に惹かれたとも言える。
『僕たちは結婚する代償に故郷を捨てざるを得なかった。それは大切な思い出だけでなく家族とも離れ離れになるという事なんだ。僕の様に40年間自分の体の一部となっていたものを捨てざるを得ないなんて、どれほどの苦しさかわかるだろう。僕はそれでもベスを責める事は出来ない。家族を持つ事をあきらめていた僕に家族をくれたのはベスなんだ。』アンディはこう語った。
二人は、結婚3年後も、とりまく人々の先入観と戦う日々を送っている。二人のゴールは周りの人々から普通の夫婦と同じように見てもらう事と、いつか故郷に帰る事だという。
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『誰が結婚適齢期なんてナンセンスなものを決めたのかしら。男女共々30までにゴールインしなきゃ負け組なんておかしいルールよね。アンディは私にとって夫であり一生涯のベストフレンドよ、それは変わらないの。』