受信3割以上がロボコールの米国にメス・ロボコール撲滅アプリコンペ開催


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日本で電話を媒介とした金銭詐欺は『オレオレ詐欺』だが、欧米では自動音声電話(ロボコール)が主流になっている。固定電話やスマホだけではない、その被害はパソコンにも及ぶ。

コンピューターウィルスに感染したパソコンの画面に、『ウィルスに感染していますので、このソフトをダウンロードして下さい』というポップアップが出て、その後、料金を払う謎の電話番号が出ているとすれば、それはロボコールだ。

©Shutterstock/Elunr

欧米ではロボコールの様な『消費者への押し売り目的の自動音声電話勧誘サービス』が迷惑行為と位置づけられており、破った法人や個人には罰金刑が処せられる。

だが、罰金刑が処せられるのは氷山の一角。残りはこれらの網をかいぐぐった犯罪や詐欺組織集団という事になる。

米国の連邦取引委員会(FTC)は、これらの犯罪や詐欺組織がかけるロボコール撲滅の為、ロボコール遮断アプリコンペティション『Robocall Challenge』を毎年開催しており、優勝者には個人の部門では賞金5万ドルが出され、出品したアプリは商品化されるというものだ。

過去に優勝した中で、このコンペから出たアプリは、Robokillerがあり、法人部門では、GoolgeのSEが優勝している。このコンペでGoogleは、FTCのロボコール対策の監修を勤める事となった。

’13年のコンペでは、過去最多の800人以上もの応募者が競い合ったコンペティション。優勝に輝いたのは『Nomorobo』を開発したアーロン・フォスとセルタル・タニス。2人には、それぞれ賞金2万5000ドルが支払われた。

『Nomorobo』を開発したアーロン・フォスは『世界一ロボコールが嫌いな男』を自称しており、何故このアプリを開発する事になったのかインタビューで答えている。

『米国民が受信する35%の電話がロボコールだ。5年後には、どんなにすぐれたアプリでロボコールを防いだとしても4割がロボコールになるかもしれない。そうすると人々は電話で会話する喜びすら忘れてしまうだろう。
顔が見えなくても相手を思いやる心さえもロボコールは奪ってしまう。目に見えたものしか信じなくなってしまう。大事な取引先や恋人、もっと重大な事なら両親の死に目にもあえなくなるかもしれない、だから俺はロボコールが嫌いだ。自動的に大量に送り付けてくる電話に生活を侵害されたくない。』

フォスが開発した『Nomorobo』は、ロボコールと見なした回線を受信前に遮断してしまう優れものだ。米国では多くのユーザーがダウンロードしている。

米国では詐欺なり悪質なロボコールを行った場合、セースルや勧誘目的の電話はかけられない『Do Not Callリスト』に登録される。これは企業だけでなく、宗教法人、政治団体、NGOにも容赦なく適応され例外はない。

Do Not Call Registryに自分の電話番号を登録しておけば、これらの番号から被害を被る事もなくなるというものだ。
’07年にはこれらのロボコールを止めるアプリYoumailも開発されているが、Youmailも万全ではない。

YoumailのCEOアレックス・クリンチは『National Do Not Call Registryは道理にかなっている。だがこれに登録されレッドカードを出された企業や法人が、サービスや勧誘を出来ないのは言論の自由の侵害だというのはおかしい』と批判している。

Do Not Callに登録された業者の目的は、顧客の個人情報を系列会社のサービスや勧誘に使うことだが、その過程で悪質な業者に情報が流される事が問題なのだ。デパートの友の会会員になっただけなのに、料金引き落とし先のクレジットカードや銀行からの勧誘や投資のオススメが来て困った事はないだろうか。これも一種の情報のたらい回しである。

米国にかかってきたロボコールは、Youmailの調査によると昨年度は24億9000件。毎月8050万件のロボコールに米国民が悩まされている事になった。

©Shutterstock/ESB Professional

『コンシュマー・レポート』によると、’15年に毎月15万の消費者がFTCと、米国通信委員会(FCC)にクレームを入れている事が判明。これが3年前の調査なのだから、今はもっと増えているのだろう。

Do Not Callは法を守る法人や個人がかけたロボコールに課せられる。だが、相手がなりすましや犯罪組織、大企業となると摘発も難しい。

米国では、ケーブルTVや、なりすまし、オレオラ詐欺や、リフォーム詐欺が多いが、英国で広まったロボコールは金融商品を売りつけるというものだ。

米国ではFTCやFCCが取り締まるロボコール、英国では、国内で起こった事に関しては情報コミッショナーオフィス(The Information Commisoner Office(ICO))が取り締まる。

無論、ロボコールの発信元や会社が米国にあった場合、管轄は米国になるのでFTCが動く事になる。ロボコールは海を越えるのは当たり前になっている。

’16年、英国では、債務返済保証保険(PPI)にかんするロボコールを年4600万件消費者に行ったとしてプロダイヤル社に対し、35万ポンド(5300万円)の罰金を科した。だがプロダイヤル社は、この事実が発覚する前年に会社をたたんで夜逃げしてしまったので、罰金が回収される事はなかった。

ロボコールの本家米国では、偽の市外局番、プロバイダとつながりのない番号、料金を請求されていない番号を自動的に遮断するシステムを作り、なりすましロボコールが消費者に届くのを未然に防ぐ事に力を注いでいる。

その一方でU.S.Telecomの副社長ケヴィン・ルピーは、宣伝とロボコールの線引きが難しいものもあるという。その代表例がテレビショッピングだ。

テレコミニュニケーションインダストリーでは、ロボコールは違法だが、番組と番組の間に自動的に入るテレビショッピングのCMは合法とみなしている。
これはテレビショッピングのCMが消費者がある程度必要としているものにターゲットを絞りCMを流すからで、企業の一方的な考えで宣伝をするわけではないので合法とみなされているのだ。

ロボコールを防ぐ事は実に難しい。現実に、日本にも、じわじわと私たちの生活を脅かしつつある。米国の様に、毎食後と晩の電話には一切出られないという程ではないが、かかってきたと思ったらロボコールだったという事はあるだろう。ロボコールから身を守るためには

1:知らない電話に出ない
2:スマホが家の電話代わりの場合なら迷惑電話拒否アプリを使う
3:親戚に黒電話を使っている人が居る場合は、非通知暴露アプリも入れて対策を練る

ちなみに、非通知暴露アプリ・TrapCallを開発したTelTechsystemのネイト・カピタンスキーはこの様に語っている。

『本当に大事な要件なら留守電じゃなくて、メールにしておくよね。』

Thirty per cent of phone calls in the U.S. are ‘robocalls’ that cause $350MILLION worth of telemarketing fraud and more than 3.4million consumer complaints each year

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