『ゲーム・オブ・スローンズ』は、独特の世界観で視聴者を魅了し、’11年に始まった途端、HBOの看板番組になった。だが『ゲーム~』も’19年4月からのシーズン8で終了になるという。
この番組から一気に知名度があがった俳優といえが、オベリン役のペドロ・パスカル。
その後の彼は『キングスマン・ゴールデンサークル』、『イコライザー2』、『ビールストリートの恋人たち』と大作に次々に抜擢されるようになった。
GoTは、既に知名度がある俳優が、活躍の場を広げている事でも知られていて、ショーン・ビーンや、ピーター・ディンクレイジがそのいい例になる。
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今回は、ティオリン・ラニスター役のピーター・ディンクレイジの、そっくりさんが、パキスタンで、見つかった話だ。顔だけでしょ、と思われるかもしれないが、背丈もである。この通り左がそっくりさん、右がディンクレイジ本人だ。
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ディンクレイジは、軟骨発育不全による小人症で、身長は132cm。そっくりさんの身長は135cmと、これまた2人ならぶと判らない。
違うのは国籍と年齢で、ディンクレイジはもうすぐ50だが、今回のそっくりさんは、24歳。ディンクレイジの息子といっても過言ではない。
ディンクレイジのそっくりさんの名前はロジ・カーンさん(24)。
パキスタンの首都イスラマバードから10km離れた都市、ラーワルピンディーでレストランのウェイターをしている。
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カーンさんは、『ゲーム・オブ・スローンズ』の存在も知らないが、ここ数年お客さんに写真片手に聞かれる事が多くなったというのだ。『貴方って『ゲーム~』のティオリン・ラニスターに、そっくりよね。』と聞かれ、独特の民族衣装である事から、一緒に写真撮ってくれない、と客にスマホ片手に言われる様になったという。
カーンさんは、いきなり有名人になった事や、自分が見たこともないセレブに似ていると言われた事に対しては、さほど気にしていないらしい。それだけでなく、自分が、ひょんなきっかけで、声をかけて貰える事がうれしかったというのだ。
AFPの記者は、貴方は、ピーター・ディンクレイジという米国で有名なスターと似ていると言われているんですよ、とカーンさんに説明したそうだが、カーンさんは、きょとんとした後、嬉しそうにこういった。
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『その人、僕知らないんだよね。でもきっといい人に決まってる。いつかその人にあってみたいな。僕の様に、外見が他の人と違う人は、職業でも差別される事も多いだろうし、その人も、乗り越えて俳優さんになったのだったら、フレンドリーな人に決まってるよ。』
過大評価に聞こえるが、ディンクレイジが24ぐらいの時は、いったいどんな人生を送っていたのだろうか。
実は、ディンクレイジは、遅咲きの俳優だ。
彼が本格的にTVに出始めたのは、30の時、それも散々人生に回り道をしての事だった。
ディングレイジは、音楽教師の母と、保険セールスマンの父の間に生まれ、両親は裕福でなかったが、お金を工面し、ディンクレイジを地元バーモント州の大学まで通わせた。
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が、そんな親の心、子知らずとはよく言ったもので、ディンクレイジは、大学を卒業したら、劇場を持ち劇作家になり、シェイクスピアの様な小難しい劇をするか、当時はやりだったインディ系の映画ばかり作って、ブライアン・シンガーの様な売れっ子になり、将来はレッドフォードの様な、インディ系映画祭に一過言もつ俳優になろうと妄想していた。
当の本人は、お金もなければ、銀行口座もない、クレカもなけれな、住む所もない。溜まるのは借金の山。
にも関わらず、オレは劇作家だ、大学出だ、昼メロ、TVドラマ、ごめんだね、突っぱねていた為、無職が続き、バックパック一つで、故郷を離れ、NYに旅立つ事になってしまう。
が、NYに来ても、20代のディンクレイジは、つまらない自尊心を捨てきれなかった。
先日、犯罪組織と麻薬がらみの20代を送った末に9年間ホームレス生活を送っていたという37歳の男性の奇跡の話を書いたが、ディンクレイジに奇跡は起こらなかった。そりゃそうだ。
NYに来てからディンクレイジは、自分の家賃を払ってくれるルームメイトを見つけ、彼に家賃を毎月払わせて、グータラしていた。たまぁに、ピアノ店でピアノを磨いたり、シェイクスピア研究者の学者の家に草むしりに行くだけの日々を1年過ごした所、ツケが回ってきた。
家賃を払ってくれたルームメイトが、カルト教団に入団し、失踪してしまったのだ。家賃を払ってくれるアテがなくなったディンクレイジは仕方なく、データ入力会社で6年間働く事に。が、家賃を払うのが嫌なのと、働いた金は遊びに使いたい一心で、キノコが生えている汚いロフトに、30前まで住んでいた。
が、そんな働いているか、働いていないか判らないパラサイト生活にも限界が来てしまった。今度テレビの仕事が来たら無我夢中で働くぞと決意した。
それからのディンクレイジは、どんな端役でも引き受け、米国で知らぬ人が居ない俳優となった。
『X-men:フューチャー・アンド・パスト』でディンクレイジと共演したミスティーク役のジェニファー・ローレンスは、ディンクレイジの回り道遅咲き人生の話を聞き『こんなに刺激的で面白くて為になる話はないわ。』と言ったという。
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カーンは、ディンクレイジのそっくりさんと言われた事で、店が繁盛し、満足しているという。