まずはこの写真。どうみてもグレープフルーツなのだが、切ってびっくり。ケーキなのだ。
©lukevincentini.instagram.com
作ったのはこの人。米ニュージャージー在住のケーキ・アーティスト、ルーク・ヴィンセンティーニさん(23)。
©lukevincentini.instagram.com
彼の作るケーキは、ただのレイヤーケーキじゃない。彼の手に、かかればドリトスも卵パックもケーキのモチーフに。この見事なケーキ『本業の傍らに作っている』というのだから、この若さにして、どんな経歴の持ち主なのだろうか。
『ハミルトン』のリン・マニュエル・ミランダも注目
ルークは、ブロードウェイのレストランで修行を積み、名前が売れたのは、’15年、Richard Rodgers Theatreで『ハミルトン』が始まった時。
脚本・作曲・作詞・主演をつとめた、リン・マニュエル・ミランダから指名をうけケーキを作った事で評判になり、名前は瞬く間に広まった。
翌年の’16年。ニュージャージー・ホーボーケンにある『カルロス・ベーカリー』にヘッドハンティングされた、ルークは、ウェディングやお祝い用のケーキを担当。若くして、売れっ子ケーキ職人の道を歩むことになった。
リアリティショーに紹介されたお店で働くルーク
ルークが勤めるカルロス・ベーカリーは、1910年創業の歴史あるパン屋。
1964年にイタリア系米国人のヴァテスト家が買収し、現在は4代目のバディ・ヴァテストがパンとスウィーツの店として15店舗展開している。
店舗拡大のきっかけになったのは、2009年にTLCで放映されたリアリティショー『ケーキ・ボス』だ。
歴史あるベーカリーを一家総出で支える姿をTVで放映。動くデコレーションケーキというだけでなく、味も評判になり店はいちやく有名に。4代目が、ケーキ部門のテコ入れとしてヘッドハントしたのが、才能ある若手のルークだった。
今では、観光客向けのツアーに組み込まれている本店だが、15店舗支店を展開する程の人気店になったのは、ルークの功績もある。
見た時と食べた時のギャップが楽しいんだよ
©lukevincentini.instagram.com
朝7時にオープンする店で、ルークは、ずっとケーキを作り続けているが、一個作るのに最高14時間もかかる代物だという。
NHKの『極上、スウィーツマジック』は、日本のトップパティシエが、1つのテーマに沿って極上スウィーツ作りにチャレンジし、毎回手の込んだスウィーツを作るが、ルークのスウィーツは、あの番組以上のものかもしれない。
©lukevincentini.instagram.com
これはルークが、父の日の贈り物として頼まれたケーキだ。財布、そしてお札まで精巧に再現している様は、お菓子職人を通り越して、飴細工職人の芸にも通じる。
©lukevincentini.instagram.com
『僕は、作ったケーキを見た時、切った時、食べた時の3つのリアクションを想像してケーキを作るんだ。この3つのギャップが良い意味で大きければ大成功だと思っている。』ケーキを作る度に、何か違った事は出来ないか、面白い事は出来ないか、と考え続けているらしい。
ウェディングケーキや、お祝い用のケーキを作りながら、ふとルークが思い付いたのが、最初に紹介したあのグレープフルーツのケーキだった。
全てのケーキに愛を注いでいるよ
©lukevincentini.instagram.com
自分の中で、どんなものが作れるのか常にいろんなものにチャレンジし続ける彼は、この通り、iphoneでさえもケーキのモチーフにしてしまう。
©lukevincentini.instagram.com
カフェラテケーキにナイフを入れる瞬間は本人曰く『ギャップが大きくてドキドキする』のだそうだ。
これらのケーキ、ルークが、ケーキを作り始めた時に『ネタ帳兼覚えかき』としてインスタを始めた時に写真として残しておいたものだが、今や、そのインスタのフォロワーは10万人以上に上っている。
©lukevincentini.instagram.com
ユーザーたちの間で、好評はのは、やはり『見た目と切った時のギャップがあるケーキ』で、ドリトスやカバン、タバコパック、デコイなどだ。
ここまでリアルにするのに、かなりの時間はいるだろうが、ルークは、メディアの取材に対し、最後にこう答えた。
©lukevincentini.instagram.com
『全てのケーキに対して同じだけ愛を注いでいるし、労力も注いでいるよ。』だからこそ、面白いケーキが産まれるのだろう。