生きていれば100歳!失踪した米国労組ラスボス・ジミー・ホッファって誰?


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世界各国に、未解決失踪事件があり『今生きていれば失踪者はいくつになるんだろう』という話が持ち上がっている。

このサイトでも取り上げた、
ローマで保護された記憶喪失のアスペルガーの少女は、’07年5月にポルトガルで失踪したマデリン・マッカーンである可能性が高く、両親はいまだ希望を捨てていない。

そんな世界中の失踪者の中で、40年近く前に死亡宣告が出されていながら、未だカリスマ的存在を誇るのがジミー・ホッファだ。


©biography.com

トラック労働組合のラスボスで、マフィアと繋がりがあった彼が、’70年代に失踪し、複雑な人間関係をもちながら、敵味方から崇拝されている理由はどこにあるのだろうか。

鉱山技師の息子からトラック労組へ

ジミー・ホッファは、1913年2月、鉱山技師の息子として生まれたドイツ系。7歳で父親を亡くし、職を求めてデトロイトへ。

時は1930年の大恐慌時代、食品チェーン配送の職についたホッファは過酷かつ低賃金の労働に耐え、翌年春、仲間と貨物積み下ろしボイコットをする実力行使に出る。


©mafia.wikia.org

ホッファは経営者と頭を突き合わせ労働契約を結び、これが後に米国産別労組総連盟(AFL)の原型となった。

経営者や、経営者が雇うギャングに屈しないタフさ、粘り強さで1932年には、トラック運転手の組合(通称:チームスター)の渉外係(オーガナイザー)になる。ストを巡り暴動が毎日の様に置き、組合は病院側から、緊急治療室の予約を求められるまでになった。

ジミー・ホッファ、チームスター
©cbsnews.com

’50年代初頭には、組合トップ機関の理事に、’57年には三代目チームスター委員長の座に座り、’60年代にはトラック労組であるチームスターを、米国最大の勢力にし、航空会社の労組を押しのけ、政治家に対抗する第三勢力にまでのし上がった。現在、政治家に迫るこうした勢力といえば、モンサントだが、労組がいかに強かったかが判る。

’50年代後半からは、年金資産を運用し、ゴルフリゾートに投資。投資先はホッファ自身が決めていた。では彼が足をすくわれる事になるのは何故だったのだろうか。

マフィアとの蜜月で生まれた権力

ホッファに限らず、労組はマフィアとの関係は切っても切れなかった。ホッファ自身も組合ストや政敵排除でマフィアの協力を得る見返りに、賄賂を渡していた。

ケネディ政権時代では司法長官だったロバート・ケネディにマフィアとの関係や巨額年金の行方を厳しく追及されても、陪審員やチームスター役員を買収し、のらりくらりと無罪を勝ち取っていった。だが、そんな彼も年貢の納め時が来る。

ジミー・ホッファ、ロバート・ケネディ
©washingtonpost.com

’64年7月、ルイジアナ州バトンルージュのチームスターズ指導者パーティーンが、検察側の証人に立ったため、有罪が確定。パーティーンはホッファの暴力的なやり方に幻滅していた。ホッファは、チームスター年金の不正運用、陪審員買収、賄賂などで有罪。懲役13年刑が確定したが収監前に子分のフランク・フィッツシモンズを委員長の代役に任命した。

ホッファは収監中に委員長職を辞任する代わりに釈放してもらう司法取引に応じたものの、金に目がくらんだ委員長のフランクはホッファが収監中されている間に、ホッファの腹心をクビにし、追放を画策。この時からホッファの権力構造は崩れ始めていた。

今も謎が残る失踪の原因

そして、’75年7月30日の、午後2時。デトロイト近郊ブルームフィールドの行きつけのレストランに出かけ、駐車場に愛車のポンティアックを残したまま、今日まで謎の失踪を遂げている。
ホッファの妻の証言からデトロイトマフィア幹部のアンソニー・ジアカローネに会う約束をしていたとされたとされ、前の日に口論をしていたプロヴェンザノ(トニー・プロ)とジアカローネが疑われたが、彼らにはアリバイがあった。

ホッファが誰に殺されたのか、その原因は、減刑目的で情報提供する下っ端マフィアのせいで、正確な情報は今もあいまいだ。

ジミー・ホッファ、死亡
©deadlinedetroit.com

様々な憶測が飛ぶ中、全ての推測に共通するのは、ホッファが金でマフィアや組合員をコントロールできると思った『奢り』から来ているのが判る。

有力とされる説は、デトロイト・マフィアに殺された説と、チームスター幹部で、マフィアとの繋がりがあったものにに殺された説だ。

前者は、ホッファは他の大物マフィアからも恨まれていたが、デトロイト・マフィアは他のマフィアの手を借りず、地元の人間は地元の手でケリを付けるという事。

だが、近年、ホッファが目をかけチームスター幹部にした、フランク・シーランの自伝が発表され、真相が明らかになった。
彼は入居した高齢者施設で、ジャーナリストに『ホッファは’70年代に銃殺した』と明らかにした。その顛末を描いた映画が、’19年にマーティン・スコセッシが監督しネトフリ配信となった『アイリッシュマン』だ。

ホッファをアル・パチーノ、シーランをデニーロ、2人に絡むマフィア、ラッセルをジョー・ペシが演じる。

ジミー・ホッファ、息子
©theculturetrip.com

ホッファの息子ジェームスが現在トラック労組の会長職を務めている。息子とおさまった貴重な写真がこれだ。息子がマフィアと繋がりがあるのか、それはまた謎でもある。

ジミー・ホッファ

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