楽譜を見ずに完璧にピアノを弾く天才、円周率を三桁まで暗記、事故の後にサヴァン症候群になった人たち


韓国で放映され米国でリメイクされた『グットドクター/名医の条件』が、WOWOWで好評だ。

主人公のショーン(フレディ・ハイモア)は、天才的な記憶力と、空間認知能力を生かし、権威ある病院で外科医として働く事になるが、彼は自閉症でありサヴァン症候群だったため、真の理解者は幼い頃亡くなった弟だけだったという設定だ。

彼ではないが、生まれつきの脳の障害もしくは、後天的な脳の損傷により、思わぬ才能が開花する事がある。その才能も周囲の人々の理解がなければ、持続不可能だという事を踏まえ、紹介していこうと思う。

1:デレク・アマート


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デレクは、’06年10月、パーティの最中にサッカーボールを取ろうとして、プールの浅い所で頭を強打。脳震盪を起こし、聴覚の4割を失い、今もなお頭痛と記憶障害に悩まされている。

そんな彼が音楽の才能に気付いたのは、事故のすぐ後の事だ。親友の家で、キーボードを見つけたデレクは、今まで鍵盤楽器を触った事がなかったにも関わらず、完璧に曲を弾きこなしたのだという。

デレク曰く、頭の中で音楽がずっと流れている状態で、楽譜の読み方は全く判らないが、鍵盤のどこに指を置けば、頭の中に流れる音楽が再現出来るのか理解出来るのだという。

彼を診察したメイヨークリニックの医師によると、サヴァン症候群であり、共感覚の一種ではないかとみられている。

2:ジェイソン・パジェット


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家具のセールスマンだったジェイソン・パジェットは、発達障害で、成り行き任せの人生を送っていた。事件があった’02年9月も、女友達とカラオケバーで飲んだくれていた。が、ここからが運命の分かれ道となる。

パジェットは、タチの悪い男に付けられ、後頭部を殴られ財布をす
られ、意識不明の重体になった。殴られた衝撃で、翌日からパジェットの視界はおかしくなり、視野に特殊な図形が見える様になったのだ。

特殊な図形が毎日見える事で、引きこもりになったパジェットは、原因を調べる為、ネット検索していた所、自分の目に見えていたものが、フラクタルという、ありとあらゆるものの基本となる幾何学元素である事を突き止めた。高校を中退し、数学の点数も赤点だった、パジェットの生活は、それから一変した。


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実験で、パジェットにフラクタルの図形を見せながら脳波をはかった所、視野を処理する脳の中枢から異様な電波が出ている事が判ったという。
つまりパジェットは後頭部を殴られた事により、視界認識力と計算力が入れ混じっただけでなく、計算力が驚異的に発達した事になる。

メディアに出る様になったパジェットは、それまで絵心はなかったのだが、脳裏に焼き付いたフラクタルの図形を描き、数学者を驚かせた。

3:アンソニー(トニー)・チコリア

’94年、ロック好きの大学教授、チコリアが、公衆電話から電話をかけようとした時、電話に雷が直撃。受話器がチコリアの頭に激突し、チコリアは、気が付くと落雷の衝撃で、フっ飛ばされていて、周囲の人々が心配そうに、見守っていたという。

チコリアは、それから数か月、仕事に集中できず、記憶も途切れるという、日常生活に支障をきたす目に見舞われた。

半年後に、何とか元通りの生活に戻ったかに見えたが、次に彼の身に変化が起こったのは、ピアノが弾ける様になった事だ。しかも好みのロックではない、クラッシックだった。

神経学者のオリバー・サックスによると、チコリアは、落雷により側頭葉に衝撃を受けた結果、音楽の趣向も変わり、ある日突然ピアノが弾ける様になったのでは、という。

4:Z氏


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’80年代、米国のある心理学者が、Zという患者について記録を残していた。

Zは、9歳の時に、額を銃で撃たれ、銃弾は頭を貫通し、部分マヒが残った挙句、会話も成り立たなくなり、論理的思考は不可能になった。心身共に障害が残ったと一言で片づけるのはまだ早い。Zには、この事件の後、ありとあらゆるものを分解し、元通りに出来るという才能が身についたのだ。

それだけではない。一度みた道路の標識から、通りの名前まで、すべて暗記出来るという能力が与えられたのだ。にも関わらず、彼は周囲の人々の無理解の為に、この可能性を社会に生かす事が出来ず、一生苦しんでいたのだという。

5:ジム・キャロロ


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ジム・キャロロは、14の時、交通事故に遭い、母親が死亡。彼は6週間の昏睡状態に陥り、医師も彼の命を諦めかけた頃に長い眠りから醒めた。

長い眠りから醒めたジムに与えられた能力は、勉強なしに、難しい幾何学の問題を解ける様になったり、円周率を一気に200桁暗記出来る様になったという事である。

思春期の頃は、365日数字が頭の中に浮かんできたというジムだが、現在は40すぎで、気持ちもおちついているのだという。

6:オーランド・セレル


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’79年1月15日、当時10歳だったオーランドは、野球のボールが左の頭にぶつかり脳震盪を起こした。暫く頭痛に苦しんだ後、オーランドの生活は記憶との闘いとなった。

彼は、その日以来、ありとあらゆる曜日に起きた出来事を、克明に情景と共に思い出せるという。

英国には、記憶だけで風景全てを再現して描いてしまう、
スティーヴン・ウィルジャーという40代の男性が居るが、彼は自閉症でサヴァン症候群だ。

いかがだろうか。

これら天才と呼ばれた人に共通するのは、後天的に授かった能力をいかにして、周囲の人々が無理なく引き出し、サポートするかにかかっている。

周囲の人が『かくあるべき』を押し付けると、天才の能力は埋もれてしまうのだ。

10 People Who Gained Genius from Brain Damage

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