’19年4月、米シカゴで、臨月の妊婦を襲い、お腹を切り裂いて殺し、赤ん坊を奪うという惨殺事件が起きた。
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1か月前に起きた事件にも関わらず、事件が起きた事すら知られていなかった上、赤ん坊が無事だったかどうかも知られていなかったという驚愕の事態が発覚したのは、一か月後。
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’19年5月20日に、殺された臨月の女性の夫であるヨバニ・ロペスさんが捜索願を出していた事が発覚。赤ん坊のDNA鑑定をした所、ヨバニさんと一致したため、病院に赤ん坊を連れてきた女性・クラリサ・フィゲロア(46)を死体遺棄、殺人の容疑で逮捕した。
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イリノイ署が家宅捜索した結果、フィゲロア容疑者の家のゴミ箱から、ヨナミさんの妻マーレンさん(享年19)の変わり果てた遺体が発見された。
赤ちゃんは、地元の病院に搬送されたあと、集中治療室で重体となっていたが、ようやく目を開けた。しかし脳死状態に近く、神学校の生徒たちの見守りで何とか生きながらえている状態だ。
この事件何故起こり、そして事件から一か月も警察が気づかなかった理由はどこにあるのか。
ヨバニさんは、’16年、まだ高校生だったマーレンさんと学生結婚。息子ジョシュアが生まれた。
敬虔なキリスト教徒の為、中絶せず、2人の間に、もう1人男の子が出来たと判ったのは、’18年の事だった。
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高校生のマーレンさんは、フェイスブックの支援ページを通じ、生まれて来る子供の為のベビーカーや着るものをフリマで調達している事を伝え、助けてほしいと求めていた。
事件が起きたのは、新品のベビー服など未使用品があるといい、マーレンさんにプライベートメッセージを送った女性が自宅に来るように言った日、つまり、’19年の4月末だった。
救急車の出動要請があった、Advocate Christ Medical Centreによると、赤ちゃんは、フィゲロア容疑者から持ち込まれたという。しかも全身血まみれで生まれたばかりの赤ちゃんを両手に抱え『この子は私が産んだ』と殺気だった形相で訴えるので、受け入れたらしい。
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しかし後の産婦人科の診察で、彼女が産婦人科に一度も通っていない事が発覚し、持ち込まれた赤ちゃんは、警察の立ち合いの元、DNA鑑定をする結果となった。
フェイスブックでマーレンさんと最後にやりとりをしたのがフィゲロア容疑者だった事をつきとめた、イリノイ署の捜査官は、フィゲロア容疑者の自宅を訪れたが、その時に娘のデザレイ(24)が『母は足の不調で入院している』と主張した。
しかしその後『母は出産したばかりで入院している』と話を変えたため、不審に思い家宅捜査に入ったという。
Advocate Christ Medical Centreが、患者のプライバシーを優先するというポリシーの為、
フィゲロア容疑者への捜査に当初、非協力的だった事も、事件解決の進展を遅らせた。
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イリノイ署の児童保護課は、普段は家庭内暴力や子供の保護に関与するが、今回は署の要請を受け、捜査を開始。捜査をすすめていくと、フィゲロア容疑者と娘のデザレイ容疑者の他に、共犯者としてフィゲロア容疑者のボーイフレンドのピオート・ボバック(40)の名前も浮上した。
今回の事件で3名が殺人罪で死刑判決となったが、動機は何だったのだろうか。
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フィゲロア容疑者の娘デザレイは、昨年、ボーイフレンドにフラれた後、妊娠が発覚。
彼女は卵管に障害があったが、無理をして子供を産んだものの、子供は超未熟児で障害を持って生まれてきた。
フィゲロア容疑者は生まれてきた孫にXanderと名付けた。それはデザレイの兄で、26で亡くなった息子エクゼビアから取ったものだった。
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デザレイのボーイフレンドが見捨てる中、フィゲロアは寄付金サイトで養育費を募ったが、集まらず、Xanderは僅か数週間の命を閉じてしまった。フィゲロアの家に新品のベビーカーや洋服があったのは、こうした理由だった。
そんな時に、ターゲットになったのがマーレンだった。
美しく周りから祝福され、夫が支えてくれるマーレンさんの存在は、デザレイを苦しめた。
息子が死に、娘は子供に恵まれず、誰からも祝福されないなんて不公平だという思いが爆発し、
気が付けば、フィゲロア容疑者は、マーレンさんの首を絞め殺害、お腹の中の子供を取り上げるという人間と思えない行為に出ていた。
フィゲロア容疑者は、家宅捜査で、ゴミ箱からマーレンさんの遺体が出てきた後も、しばらくは、
赤ん坊を『あの子は、私が産んだ子だ』と罪を認めなかったという。
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今回の事件、フィゲロア容疑者を一方的に責める声が多いのは仕方がない。だがフィゲロア容疑者が、この様な凶行に走った背景には、将来有望な息子を失った事と、孫が奪われた事があったのだ。この点を考慮すべきではないだろうか。