大学生396人の学生ローン44億を返済!米投資家ロバート・スミスって誰?


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米ジョージア州アトランタのモアハウス・カレッジで、’19年5月19日、投資家のロバート・スミス氏が、卒業生396人の学生ローン全額を肩代わりすると発表し、拍手喝さいを浴びた。

同校の校長デヴィット・トーマス氏によると、’19年に同校を卒業する生徒の学生ローンが全額4000万ドル(44億円)。それだけでなく、スミス氏は、今後も同校卒業生の学生ローン返済の助成金制度を作り、寄付を続ける事を発表した。

モアハウス・カレッジは、アフリカ系アメリカ人の学生が多く通う大学で、ロバート・スミス氏は、アフリカ系アメリカ人の億万長者。卒業生を前にスミス氏は『この国で暮らしてきた私の家族8世代を代表し、あなた方に少しばかりの燃料を注入しよう。』と述べた。


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スミス氏はさらに、借金を抱えていれば、世界の中で出来ることの選択しが限られてしまう。それは若くて有能な才能をつぶしてしまう事になるから、全員が平等にアメリカン・ドリームのチャンスをつかめる様にしたいと卒業生への訓示で述べていた。

学生や校長は、スミス氏の申し出を聞いた時、最初は耳を疑った。誰がそんな奇特な事をするのだろう、税金逃れに思い付いた白人の気まぐれだろうかと。そうではなく、スミス氏がオファーした事を知ると、彼らは喜んだ。校長は『スミス氏の申し出は、夢や情熱を追求できる自由を学生たちに与えてくれる。』と言った。

そのロバート・スミス氏、日本では知名度はないが、米国内では有名な人物だという、どんな人物なのか。

ロバート・スミス氏は、’19年現在56歳。アフリカ系アメリカ人の中では、オプラ・ウィンフリーより知名度があり『Forbes』の長者番付に毎年名前が載っている。


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投資会社ビスタ・エクイティ・パートナーズの創業者で、資産総額は、’19年度で50億ドル。アフリカ系アメリカ人ではトップクラスだ。

スミス氏は、コロラド州デンバーうまれ。教育関係の職に就く両親に育てられ、特に理数系で優秀な成績をおさめ、高校の時に、インターンシップで、かの有名な『ベル研究所』に行っている。このまま科学者になると言われたがスミス氏曰く『社会経験を積まないまま、研究所生活をするのもどうなのかと思った。』という理由でベル研究所に入るのをやめたというのだ。


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その後、タイヤメーカーの『グッドイヤー』の技術者として昼間は働く一方で、コロンビア大の夜間ビジネスクラスに通い、MBAを所得。チーズなどで有名なKraftフーズに転職した後、ゴールドマンサックスに入社。

ここで資産運用、投資、トレーディングのノウハウを学んだ。’90年代後半にゴールドマンサックスに勤務していた頃のスミス氏の主な顧客は、アップルやマイクロソフトだったというのだから、テクノロジーの最先端で常に生きてきた精鋭だったことが判る。

スミス氏が、自身の投資会社を立ち上げたのは、’00年だが、自身の投資会社を始めるにあたり、スミス氏が最も気を付けているのは『ダイバーシティ』だという。それは何故なのか、スミス氏は、’14年のNew York Timesのインタビューで、こう答えている。


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テクノロジーや金融の最先端で、アフリカ系アメリカ人や性的マイノリティに立たされている人は、仕事能力が優秀であったり、人格が高い人であったとしても、社会的地位が下に見られているという事実だった。

どの職業に就いても同じ問題に、ぶちあたる事に気付いたスミス氏は、自身の投資会社を立ち上げる時に、人種や性別に関する差別を撤廃し『ダイバーシティ』に一番心を配ったという。

そんな彼が、生涯の事業の中で一番力を入れているのが、自らのルーツであるアフリカ系アメリカ人の教育や芸術面、医療面でのサポートだ。

’15年には母校・コーネル大学院に5000万ドルの寄付をし、その他にも’16年に開館した国立アフリカ系アメリカ人歴史文化 博 物 館(NATIONAL MUSEUM OF AFRICAN AMERICAN HISTORY AND CULTURE)にも寄付している。この博物館は、スミソニアン博物館の中で最新の19番目の博物館だ。


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スミス氏の妻は、元プレイボーイのモデル、Hope Dworaczyk(34)。22の歳の差婚だ。夫妻は資産の半分を、アフリカ系アメリカ人の生活環境改善にまわすと宣言しており、今回のモアハウス・カレッジへの寄付もその一環とみられている。


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’10年に結婚した夫妻の間には、2人男の子、ヘンドリックスと、レジェンドがいるが、名前の由来はジミ・ヘンドリックスと、ジョン・レジェンドだ。結婚式はこの通りゴージャスで、ホープさんは産まれて7カ月の長男ヘンドリックスを連れて出席した。

米国では学生ローンの返済の助成金が得られるという目的で軍入隊の勧誘が後をたたない。毎年多くの若者が学生ローンの返済のために、必要のない戦争で命を落とすのが米国の現状なのだ。トランプの様に『子供の時から億万長者』というふざけた立場であれば、国民の現状が判らないのも無理はない。

そんな米国にあって、ムダに命を落とす必要がないように、手を差し伸べたのであれば、スミス氏の選択は正しいのではないだろうか。

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