米テキサス州サンアントニオに住むライラ・ステンスラドちゃん(4歳)は一見普通の女の子だ。
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だがライラちゃんは産まれた時から1年間死の淵を彷徨っていた。
4年前のライラちゃんは、400gしかない世界最小早産時だったからだった。それだけでなく未熟児網膜症の後遺症と戦い続ける日々を送っている。
ライラちゃんが4歳の誕生日を無事迎える事が出来たのをきっかけに、両親は、ライラちゃんの成長の一部始終をブログに公開。それがDailymail誌にの目に留まり、コートニーさんは取材を受ける事になった。
母親のコートニーさん(36)は、’14年7月ライラちゃんを、妊娠21週目で出産した。
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出産予定日まであと半分、妊娠の折り返し地点と言われる21週目で、思わぬ形で生まれてきた娘ライラちゃんは、医師から助からないだろうと言われていた。
体重はわずか14.4オンス(408g)と、1ポンド足らず。身長は10インチ(25.4cm)しかなかった。
どこの病院も、妊娠22週以前出産の超低出生体重児の延命措置をしようとはしなかった。産まれた時に産声をあげる事も出来ないライラを見て死産を勧めてくる医師の方が多かったという。コートニーを最初に看た産婦人科医も延命措置はするべきではないとアドバイスした。だが、コートニーは諦めなかった。
かろうじて性別が判り、脳と内臓の形が整ったばかりのライラを何としてでも助けてほしいと懇願したのだった。妊娠21週目で破水し、サン・アントニオのメゾシスト系小児病院に搬送され、そのまま入院。産まれてきたのがライラだった。
ライラを週末に産んだ後、コートニーさんは、三日は身動きが出来なかったという。だが産まれてきた娘を助けようとしない医師に対し、身振り手振りで、助けてくれと頼んだのだった。
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『あの時は、このまま放っておいたら娘は死んじゃうという思いでいっぱいだったの。まさか自分の娘が世界最小の超未熟児だったなんて思わなかったのよ。』
産まれたばかりのライラは小さな手で、コートニーの指を握り返してきた。それが精いっぱいだった。自力で呼吸が出来ずなく事も出来なかったのだ。
コートニーの願いが叶い、担当医が変更となり、ライラ担当は同病院の新生児生理学者のカーシフ・アフマド氏に変更になった。カーシフ医師はライラをすぐに新生児集中治療室(NICU)に搬送。ライラの命に賭けてみる事にした。
ライラはNICUに、126日入れられたが、その間は生きるか死ぬか、一生の重度の障害が残るか、そうでないか、一日一日容態が変化する中、油断ならない戦いの日々だった。
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そのうちの56日は、生命維持の管と呼吸器系の管がつけられ、全ての管を外すのに医療チームは、3回もトライした末に成功したという健闘ぶりだった。
だがライラは超低出生体重児な故に、産まれた時から重い障害があった。肺機能の障害と未熟児網膜症(ROP)だった。ROPは、肺の病を治す事を優先する為に酸素治療を行った事が間接的要因になった。
コートニーは、ライラがNICUに入っていた間、自宅から車で25分かけて毎日通い様子を看ていた。夫のポールは最初の2週間は毎日様子を見に行ったが、その後仕事に戻り、その後は仕事の帰りに病院に寄れる時に行ったという。
ライラがNICUから出る126日目、体重は5ポンド6オンス(2437g)と産まれた時の6倍にまで成長し、やっとコートニーとポールはライラを家に連れて帰る事が出来た。
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とはいってもライラは産まれて一年間は、一週間に一回、必ず医師の診察を受けなくてはいけなかった上、家に酸素吸入器を置いておかなくてはいけなかった。産まれて半年のライラは聴覚も未発達で、ハイハイも出来ずこのままでは歩く事も出来ない脳性まひになるのではと危ぶまれていたからだった。
普通の子供よりもハンデがあったにも関わらず、ライラはBayleyⅢ(米国版乳幼児発達検査)をクリア。これには担当医師のカーシフも驚いた。
『あれだけの早産であったにも関わらずライラは視覚に関する部分以外、脳がほぼ無傷で発達している。これは奇跡としか言いようがない。BayleyⅢをクリアできたのは、これらの要因があったからだろう。』とカーシフ医師は言う。
その一方で母親のコートニーはライラの目の事が心配でならない。未熟児網確証はスティービー・ワンダーが失明した病名としても有名だ。現在では軽度のものだと抗ガン剤のアバスチンを打つ事で病状の進行を食い止める事が出来る。ライラは3歳からアバスチンの注射が欠かせない。
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幼少期の文字を覚えるのは視覚聴覚が左右するというが、ライラはそれも影響してか、4歳になった今でもアルファベットは全部言えない上、数字も10まですべて言えないので、計算が出来ない。
ライラには1つ上の兄ヘイデンが居る。コートニーはヘイデンを産んだ時は何の問題もなく、一年後にライラがお腹の中に居ると判った時も何のリスクも感じなかったという。『ヘイデンは17カ月でアルファベットも数字も全部言える様になったから、ライラの事はとても心配だわ。学校についていけなくなって、いじめられないかどうか、それがとても心配なの。』
ノースカリフォルニアにあるデューク大の助教授ノエル・ヤング(小児科)は『言葉の遅れや文字の認識の遅れは未熟児や早産児にはよくみられる事』という。
’15年の米国業界紙、The Jounal of American Medical Assosicationによると、米国で生まれてくる赤ちゃんの10人に1人が未熟児になり、未熟児の生存率は10%未満だという。その中でも妊娠22週未満の超早産では2割の子供は助かっているものの、3分の2が何等かの形で障害を負っている事も明らかになった。
コートニーは自身のブログで、ライラの成長をつづり、自分と同じように超早産の子供を持つ母親を励まそうと努力している。