店を開いたはいいが開店休業状態。そんな親を見るに見かねて息子がボソっとツイッターで、呟いた一言がリツイートされて奇跡を起こしたら。このサイトでは数々の『ホントにあったツイ民奇跡』を紹介してきた。
『クルーズ船で出逢った親友と呼べる女の子に逢いたい』を探し当てたツイ民。『私の友達が卒業式に来ていくブレザーがない』というつぶやきに寄付金を送ってくれた見ず知らずの実業家。世の中まだまだ捨てたものじゃないと思わせてくれる話ばかりだ。
今回紹介するのは『オレのオヤジ、ドーナツ屋開いたんだけど、誰も来ないんだ。』という写真付き投稿を乗せた寂しい息子の話が思わぬ奇跡を呼んだ実話だ。
My dad is sad cause no one is coming to his new donut shop 😭 pic.twitter.com/y5aGB1Acrc
— Billy's Donuts (@BillysDonuts) 2019年3月9日
米テキサス州ミズーリ市に住むビリー・バイは、どうしようか悩んでいた。父親が『絶対当たる』という確信の元開いたドーナツとコラーチのお店。開店時に顧客をつかむことが出来ず、開店休業状態になってしまったのだ。
コラーチというのは、本場チェコでは、あんずジャムの入った揚げパンの事だが、テキサスではハムやソーセージ、スクランブル・エッグなどがはいった総菜パンの事になる。テキサスなので店の前に大きな駐車場も作ったのに誰も来ない。
別に品ぞろえが悪いとか、クオリティの問題でもないらしい。単にビリーの父は昔ながらのオヤジさんで『店を開いて、作っていれば売れる』と信じていたのだ。
©twitter.com/BillysDonuts/boredpanda.com
日本ではありえない話だが、開店数日後の写真がこの写真。正直いってありえない。閑散とした駐車場に曇り空などありえない。サクラでもいいから客を呼べとツっこみたくなる。
あまりにも開店休業状態が続くので息子のビリーは父親に自覚してもらう意味も含め、開店休業ぶりを恥をしのんでツイッターにアップすることにした。するとどうだろう。ビリーの父親の店がどこにあるのか具体的に知らない人、近所に居ながらビリーの父親の店がオープンした事すら知らない人がこのツイッターに反応してくれたのだ。
遠く海を渡った向こうの人にこのニュースに反応されてもビリーはガックリきただろう。自分の店に固定客が来てもらわなくては何にもならないのだから。幸いな事にビリーがシェアした『父の店の開店休業状態』は最初に地元の人と米国人の目にとまった。
最初にツイートに反応した人たちは、ビリーにこう提案した『貴方の友達をお店に呼ぶ事は出来ないの?』サクラを作れという事だ。マズいインテリアを何とかしろというツっこみまで出てきた。まずそこに人が並んでいる写真と、ドーナツの写真がないと説得力がないという専門的な事を言いだす輩まで出てきた。
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とはいってもビリーは都会っ子ではない。テキサスに住んでいて、単に自分の父親の店が開店休業なのを嘆いているだけだ。ドーナツの写真やインテリアをツイッターでシェアしてよ、とアカの他人から言われても、ハニーディップが山ほど並べられた写真を、ドンと載せるだけしか思いつかない。
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あまりの芸のなさに、今度は『こんなに開店休業状態のドーナツ屋さんってどこにあるの。』と逆に話題になってしまった。そこそこお客さんが入っているならいざしらず、ここまで暇だと『行ってみよう』とツイッター民の間で『観光名所扱い』されてしまったのだ。そして前の比まで誰も来なかったビリーの父親のドーナツ屋は翌日から行列の出来るドーナツ屋になってしまったのである。
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『ツイッターってやっぱりスゴいね。ビリーのお父さんのドーナツ屋さん朝早くから並んでるよ。』ビリーの父親のドーナツ屋が突然込み始めたのは理由があった。ビリーが、もしもお客さんがツイッターを見て来てくれるなら、自分の元々のツイート『オヤジのドーナツ屋が開店休業状態なんだ』をリツイートしてるかどうかをお客に確認したいと言ったのだ。
すると元のツイートのリツイートは爆発的に増え、そこからツイッターで開店休業のはずのドーナツ屋に並ぶ人々の様子が映し出されるようになった。
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一気に押し寄せてきた客により、ビリーのお父さんのドーナツやコラーチは、作っても作っても売り切れる事態に。驚いたのはビリーのお父さんだ。息子のつぶやきが奇跡を起こしたからだ。
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ビリーの最初のツイートは35万近くリツイートされ、70万イイネされ、ビリーとビリーのお父さんのお店は開店休業から逆転サヨナラホームランを打つ事が出来た。お客さんが怒涛の様に来てしばらくして、ビリーはようやくツイッターで感謝の言葉を書くことが出来た。
『今殆どのドーナツとコラーチが売り切れたよ!すごいね、宣伝してくれた人、買ってくれた人、遠方から来てくれた人すべてに感謝しているよ。僕のツイートに答えてくれた人になんてお礼をいっていいのか判らないよ。ド田舎のドーナツ屋に力を貸してくれてありがとう。家族みんなで感謝してるよ。』
ビリーはツイッター効果に驚き、今はインスタも始めている。インスタのフォロワーは15万を超えている上、作り方の動画まで載っている。ローカルなドーナツ屋さんが一気に知名度が高くなってしまったようだ。
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ビリーの父親のドーナツ屋が一発屋で終わらない様に願うのは誰もが思う事だろう。地域の人々が継続的にビリーの父親の店に通う事でスモールビジネスは成り立つのではないだろうか。インスタでは息子のビリーが宣伝や予約販売を行っているらしく、作れば売れるだろうという父親をサポートしている姿がうかがえる。