6秒動画『Vine』の創業者のコリン・クロールが、NYマンハッタンの自宅アパートで薬物過剰摂取で死んでいるのが見つかった、享年35歳だった。クロールは、クイズトリビアアプリ『HQ Trivia』の共同創業者でCEOでもあった。
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現地時間’18年12月16日朝、クロールのガールフレンドが、いつもの時間に電話をかけて出ないので心配して様子を見に行った所、ベッドの上で死んでいるのを発見。NYPDに通報。NYPDはクロールの自宅でコカインとヘロインを発見、薬物の過剰摂取による死亡とみて調査をすすめている。
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『Vine』や『HQ Trivia』共同経営者のラス・ユスポフはクロールの死に『僕の親友であり、弟が、最高の右腕が先に逝ってしまった。今はとても哀しいし、心の中に穴が開いた様だ。彼はネットの世界をより良い場所に変えようと日々もがいていた。僕たちは彼の遺志を受け継がなくてはいけない。』とコメントしている。
クロールは『HQ Trivia』のホストである、スコット・ロゴウスキの誕生日パーティーに参加している様子がツイッターに残っている。
スコットの誕生日は12月4日。誕生にパーティーのホストは、数々のゲームショーの司会を務めていたシャロン・カーペンターだ。写真の左端がユスホフ、その隣がスコット、右端はクロール、クロールの隣に居るのがシャロン。シャロンはこの写真を載せた数日後にクロールが亡くなった事に心を痛めている。
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『これからゲームの新しい未来が始まるんだと誰もが思っていたわ。なのにどうしてと思っていた。』
その一方で、クロールがここまで追いつめられる様子は、なきにしもあらずだった。
Vineは元々、ショートコント、ストップモーションアニメ、パフォーマンスを配信しやすくするために作られたものだった。
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Youtubeにおける、Youtuberの様に、『Viner(バイナー)』が現れ、中には、1億回以上のループ数を誇る工夫を凝らした飽きない投稿や、日常生活をneで動画投稿をするVinerが現れた。
知名度に関係なく誰でも インフルエンサー になれる仕組みは、ユーチューバーも、Vinerも同じだった。だがVineの場合は動画を提供するバックボーンが脆かった事が続かなかった原因につながる。
Vineは、’12年6月に創立したが、その年の10月にTwitterに買収されてしまう。これに対しユスホプは『Twitterには会社を売らない』と反発。その結果、3人いた創業者の中からいち早く抜け、Twitterに買収された後のVineは、実質上クロールの手にゆだねられる事になった。
Twitterの誤算は、Vineがポルノ投稿に使われる事だった。当時ポルノ投稿を規制していたTwitterにとって、これは大きな痛手となり、’15年には子供版の規制をしたVineキッズをリリースしたものの、インフルエンサーが、ユーチューブに移っていった事で、視聴者数は伸び悩んだ。
’16年に決定打となったのは、ツイッターがGIFの動画配信が出来る様になり、外部動画配信技術を導入する必要がなくなった事だった。その上、相次ぐ身売り失敗も発覚した。Googleの親会社であるアルファベット、顧客情報管理大手セールスフォースへの売却が失敗。Vineはとうとう終了をする羽目になる。
日本で9億回の再生回数となったVinerも、当時、こんなツイートを残している。
いやーー!!!!ショックすぎて泣いてる!!w
けどあえて、ありがとう。ほんとvineに出会えてなかったら、やっていなかったら、今の私はないだろうしこんなにたくさんの出会いもなかったなー。愛してるよvine😢😢💕
Thank you @vine !!— 大関れいか (@_reikaoozeki) 2016年10月27日
創業者のクロールは、当時大量リストラやコストカットが始まったツイッターの女性の同僚から当てつけの様に毎日パワハラを受けていたと友人やガールフレンドに、こぼしていたというのだ。
そして’17年クロールは、かつての同僚ユスホプに誘われゲームアプリ『HQ Trivia』で再出発を図る事になる。昨年の8月にアンドロイド版を発売したこのアプリは、去年の12月にiphoneバージョンを発売するや否や、瞬く間にダウンロードランキングトップ10に躍り出た。
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HQ Trivia(HQトリビア)は、毎日午後3時と午後9時にライブ配信の12のトリビアゲームを提供する、無料アプリ。この依存度の高さは並ではない。特にマネージャー級の人間が会議の最中でも全員ハマるという。『誰かに、いいポジションを取られたら悔しい』という競争意識が高い人の心を駆り立てる仕組みになっている。
人の競争心と、自意識を標的にした『HQ Trivia』にいち早く気付いたのは、ゲームのからくりが判っているクロールだった。よくある話だが、カリスマユーチューバーが実はゲームをあまりやらないのと同じで、彼もまたゲーム依存症ではない。ここでもスタッフに行き過ぎたマネジメントに対し、ここ半年ほど忠告していたという。
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クロールは『Vine』を創業する前は、ヤフーのエンジニアを経て、航空会社ジェットスターの技術者をしていた。最初からゲーム畑の人間ではなかった。それだけにゲーム特有の醜さ、依存度というものが最初から見えていたのかもしれない。