双子の脳性麻痺の赤ちゃんの両親・クラウドファンディングで手術費用を募る


英ハンプシャーに住む、ニコラさん(42)とデヴィット・ジョンソンさん(41)の双子の赤ちゃんは脳性麻痺だ。

双子の兄妹、マシューとルーシーは、脊髄手術を受ければ歩く事が出来ると言われているが、NHS(国民保険サービス)の予約は、最低でも7年先まで埋まっている。


©Kennedy News Media

『このままじゃ二人のうち、どちらか、最悪の場合、二人とも死んでしまうかもしれない。マシューとルーシーには他の子供たちと同じ様に普通に生きる権利があるはずよ。NHSは重度の障害を負っているうちの子の手術の優先度も上げてくれないのであれば、保険外の医療に頼るしかないの。』

マシューや、ルーシーの様な痙性(けいせい)麻痺は、欧州では、筋肉を直接部分的に切ることで緩める筋解離術や脊髄神経の手術(選択的後根切断術(SDR)など)という外科療法が取られている。

だが脊髄手術の保険外治療費は、2人合わせると97000ポンド(1400万円)。

’18年11月現在、クラウドファンディングで集まった手術費用は1万ポンド(約150万)なのだから、目標金額に程遠い。


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同じ脳性まひでもルーシーの方が障害は重い。
ルーシーは、生後14か月で、脳室周囲白質軟化症(PVL)と診断された。これは頭頂部に存在する運動中枢からの神経線維の連絡が絶たれる事によって起こる麻痺の事だ。

英国はどうか判らないが、日本では出産時の分娩に関連して発症した重度の脳性麻痺だと判れば、医療側は過失に問われない。その代わりに子供が5歳になるまで、親へ補償金計3000万円が分割で支払われるという産科医療補償制度がある。

この制度が発足してから、10年が経過しようとしてるが、微々たる数ではあるが、日本では生後1年経過してから脳性麻痺が発覚するというケースが減少しているという。これは世界的に見ても極めてまれなケースだ。制度を作った事により原因を究明し、再発防止に努めているからだろう。

この制度で救済の対象となった子供の9割近くが自宅で生活している上、2割の子供は人工呼吸器。半分以上の子供が自力で食事が出来ず、胃ろうを強いられてる現状にも世間は注目しなければいけない。それだけでなく、ギリギリの所で、この制度に認定されない重度の脳障害を負った子供を抱えている親も影で沢山いるのだ。

マシューやルーシーの様な脳性麻痺は、妊娠中か~生後一か月の赤ちゃんに起こった脳損傷が原因で『運動麻痺』となった事を指す。

筋ジストロフィーなどの進行性の筋肉の病気や、二分脊椎症などの脊髄の病気は、脳性麻痺にはいらず、脊髄の感染症から生じるポリオは『小児脳性麻痺』と区別される事もある。

英国では、400人に1人の子供が脳性麻痺の障害を持って生まれてくるが、ポリオ(小児麻痺)、筋ジストロフィーなど他の理由で脳性麻痺と認められなかった先天性の難病の子供を入れると英国では、1年に1800人の子供が何等かの疾患を抱え生まれてくるという統計が出ている。

だからこそ、NHSの手術の受付は予約待ち状態で、いつ受けられるかどうかも定かではないのだ。


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日本では、これらの外科手術の他にも、緊張している筋肉を選び全般的に緩める『整形外科的選択的痙性コントロール手術(OSSCS)』という手法がとられている。

これは20年前に、医療法人ひふみ会南多摩整形外科病院院長・松尾隆博士が考案した手術法。脊髄手術だと万が一失敗した場合、一生四肢麻痺となってしまうが、この手術の場合は、主に股関節脱臼の治療や尖足(つま先歩き)の治療から展開したものだ。

首、肩、肘、手首から股関節、膝、足など、患者である子供の容態や筋肉のこわばりに合わせて、筋肉を選択し緩める手術なので、こちらの手術方法がとられる事もある。

また近年行われる治療療法として、半年に一回こわばっている筋肉に注射する『ボツリヌス療法』がある。しわとりに使われる事でしられるボツリヌス毒素は、筋肉弛緩剤としても知られている事を応用したものだ。

その他にも針灸や筋膜リリースを組み合わせたリハビリ療法がある。

ニコラとデヴィットは、自分たちの目標は、マシューとルーシー、どちらかを3歳になるまでに手術を受けさせて、5歳になる頃には、自力で歩ける様にさせて普通の子供と同じ教育を受けさせることだという。

マシューに先に手術を受けさせようとしているのは、ルーシーの方が病状が重く、仮に手術をしたとしても、障害が残るかもしれないからだ。

ルーシーは四肢麻痺なだけでなく、顔の筋肉もこわばり、喋ることも出来ない。唯一微笑む事しかできない。マシューはその反対で、わずかに喋る言葉をフルに使い、全身を使って意思表示をするという。

マシューは、周りの子供たちが遊んでいる事や自分と違い元気に動けることは認識出来るのだという。だがなぜ自分は出来ないのか、疑問に思う事が出来ないのだ。それが不幸中の幸いなのだが、親としてはそれが不憫でならないという。

『周りの人たちは、子供が2人とも脳性麻痺だなんてかわいそうね、それだけで終わってしまうんだ。確かに健康な子供を持つ親からしてみれば、僕たちは哀れに見えるかもしれない。でもマシューとルーシーがいるからこそ、僕たちは強くなれるんだ。』デヴィットさんは語る。


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ニコラさんも、周りの人たちは、洋服でマシューとルーシーの区別がつくぐらいで、病状や個性の区別までは、さっぱり理解してないと嘆く。『マシューとルーシーの病状は全く違う。ルーシーの方が重い障害を負ってるのに周りの人たちは気づかないのよ。みんな一括りにしてしまうのね、自分に理解出来ない事は。』

写真の通り、マシューには男の子らしく青い服、ルーシーにはピンクの服を着せているから周りの人は区別がつくという事もあるのだろう。

NHSの代理人は、手術は7年も待つ必要はなく、予約待ちは14か月だと説明しているが、それはあくまで書類上の事だろう。

もしも本当に待つ必要がなければ、ニコラとデヴィットが、こんなに必死になる必要もないのだから。

佐賀整肢学園こども発達医療センター

Mother of 20-month-old twins who BOTH have cerebral palsy is raising £97,000 for surgery so they can walk because the NHS ‘will make them wait seven years’

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