使い捨てコンタクトがマイクロプラスティックを生み出している…オレは知らないという欧米人の当事者意識のなさ


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’18年9月から、韓国のコーヒーショップが、ストローだけでなく、持ち運び用プラカップを法令によりやめた事は記憶に新しい。

そこまでしないと、海洋汚染の元となるマイクロプラスティックは減らない現状を突きつけられたのだ。

スターバックスが東京五輪が開催される2020年を目途に、プラスティックのストローを廃止するだけでなく、イケア、日本の大手ファミリーレストランも徐々に使い捨てプラスティックを廃止する傾向にある。

©asunow.asu.edu

そんな中、非難の的となっているのが、コンタクトレンズだ。

アリゾナ州立大(以下ASU)の生物理学研究チームの面々は、コンタクトレンズのユーザーが使用後に廃棄する時に及ぼす環境被害について発表。

コンタクトレンズは、ユーザーが燃えないゴミとして捨てていたとしても、見えない欠けらが、マイクロプラスティックとなりシンクに流れていき、水に分解されず海を汚染するという。

それだけではなく、ずぼらなユーザーが、そのままコンタクトをシンクに落としてしまっていることも問題になっていると指摘。

ASUが、’18年8月19日~23日に開かれた第256回、米国化学博覧会(American Chemical Society)で、研究結果を発表した所、驚きと同時に解決策を訴える声が会場から上がった。

ASU生物理学研究員の1人・ロルフ・ハイデン博士は『私たちはコンタクトを一度つけると、レーシックなどの視力矯正をしない限り一生お世話になることになる。私たちは気づかない。コンタクトを捨てる時、目に見えない程の欠けら、つまりマイクロプラスティックが排水溝に流されている事実を。』

研究員のロルフ・ハイデンと、チャールズ・ロルスキー、バラム・ケラーが、この研究をやろうと思ったきっかけは、アリゾナ州の下水道の水質調査をしていた時の事だった。

水処理の過程で、多くのマイクロプラスティックを見つけ、マイクロプラスティックの材質があまりにも多くの原料から成り立っている上、自然分解不可能な事から、これは元々何からできているのだろうとたどった結果がコンタクトレンズだったというのだ。

コンタクトレンズは、体に馴染ませるという重要な役割を果たさなければいけないので、様々なプラスティックの素材から成り立っている。

米国だけでも、13のメーカーがあり、9つの違う素材をプラスティックを組み合わせて使い、製品化しているというのだ。


©abcotvs.com

米国のコンタクトレンズ市場は27億にのぼり、毎年4500万ものコンタクトレンズが使い捨てされているという。そのうちの15~20%が、ユーザーの不注意(取り換え時、取り外し時のミス)で欠けたり、そのまま排水溝に流れていってしまうという。

その結果、毎年米国の河川に6~10mトン(0.6トン~1トン)ものコンタクトレンズの『なれの果て』が積もっているというのだ。河川の裾野に毎年1トンの自然分解不可能なマイクロプラスティックが流れ着くという事は、環境汚染だけでなく、人体汚染につながり、近い将来人間に様々な病気を持たらす原因となる。

コンタクトレンズが問題視される理由は、コンタクトレンズに使われるプラスティックの素材だ。

コンタクトレンズ、特に使い捨てのものは、メタクリル酸メチル、シリコン、フっ素重合体という、柔らかいプラスティックで出来ている。

これらは河川の最近と混ざると、脆くなり、強度を失う事で、フィルターでは濾過できなくなる程、細かいプラスティック(マイクロプラスティック)になるというのだ。

マイクロプラスティックは、水より密度が高いので、川底に沈み、川底や海底に生息する魚の生態系を荒らした末、殺してしまう。


©asunow.asu.edu

今回の研究の責任者ロルスキーは言う。

『使い捨てコンタクトを使用しているからといって、やめろとか、後ろめたい思いをする必要はないのです。あれはとても便利なものですから。ただ、使う時に気を付けて捨ててほしいのと、メーカー側もきちんとリサイクルするシステムを作らないと環境破壊は進む一方だと思うのです。これにはユーザーとメーカー、両方の協力が必要だと思います。』

今の所、本格的にコンタクトレンズの本格的回収に乗り出しているのは、ボシュロムだけだ。
ボシュロムは、カナダの製薬大手バリアントとタッグを組み、ONEbyONE Recycling Programというコンタクト回収プログラムを打ち出した。


©healthcarepackaging.com

’17年にプログラムを開始して1年。100万個のコンタクトの空ケース、アルミ蓋、コンタクト本体を回収し、リサイクル。1年で7000ポンド以上のゴミ削減という効率を実現した。

市場調査サイトGFKジャパン(東京都中野区)によるコンタクトレンジ利用実態調査(2016年度)によりと、全国のコンタクトレンズ取扱いメガネ店を対象にしたアイウェア全体の利用者は、国民の7割。そのうちの3割がコンタクトレンズだった。

調査対象年齢は16歳~60歳、366000人で、視力矯正を老眼鏡や白内障手術に頼る60歳以上は調査対象外としたもの。16~30歳はコンタクトによる視力矯正が多く、40~60歳ではメガネが多かった。

コンタクト使用者の8割はメガネとの併用が多く、コンタクト使用者の内訳では、ワンデータイプは4割、2週間使い捨ては3割、ハードは2割となった。
ワンデーのユーザーは若年層を中心に年々増加し、ハードを使っている年齢層は、いわゆるコンタクト黎明期に初めて使ったコンタクトユーザーたちだ。


©rakuten.co.jp

黒目の色の調整に使うビューティーレンズは、16~30代の女性に多く、9人に1人が使用。価格の安いネットでの購入が圧倒的だった。

マイクロプラスティックは、大きさ5mm以下のものを言及するが、世界中から海に流れ出るマイクロプラスティックの量は推定最大1300万トン。

これらは海水中の油に溶けやすく、有害物質を吸着させやすい性質を持つ上、吸着させた有害物質を100倍近くまで濃縮する。それを食べた魚がどうなるかは判るだろう。

これでは単なるプラゴミではなく、化学物質の運び屋である。

グローバル企業が一斉に使い捨てプラ容器の禁止に乗り出しているが、最終的に問題となるのは消費者の意識だ。

私はメガネ派でコンタクトはしない。ので、今回の元記事の英文を英国人の友人に見せた所
『オレはきちんとゴミ箱にすててるから、こんな問題はしらない』と言われてしまった。

『オレはやってるから』これで済ませて、他はしらない、この当事者意識のなさも、マイクロプラスティックを生み出す原因の一つになっているのではないかと思う。

AUS scientists report 1st nationwide study shows the environmental costs of contact lenses

コンタクトレンズ利用実態調査

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