ボルグと結婚出来てよかった~ボルグ最初の妻・マリアナが語る映画の出来~


『ボルグ/マッケンロー~氷の男と炎の男~』が全国公開中だ。

’80年のウィンブルドン決勝戦で、3時間55分の死闘を繰り広げた正反対の伝説のテニスプレーヤー、ジョン・マッケンローと、ビヨン・ボルグ。

日本では世代を超えて有名なのは、マッケンローの方だろう。
昔と違いこんな民放の、とんでもない番組のオファーまで引き受けてくれるし、

歳を忘れて絶好調の錦織と張り合ったりもする。

映画は、これまでメディアに描かれてる事がなかったボルグの過去に焦点をあて、クライマックスに、ボルグのウィンブルドン5連覇を持ってくる事で、どちらかというとボルグよりに描いた形となった。

’70年代~’80年代前半を舞台にした、歴史に残るライバル対決といえば、F1レーサー、ニキ・ラウダとジェームス・ハントの戦いを映画化した『RUSH~プライドと友情~』。


チェス盤の冷戦対決と言われた、ボビー・フィッシャーとボリス・スパスキーの対戦を描いた『完全なるチェックメイト』が挙げられる。


これらの映画化が成功したのは『悪童』と言われたライバル側がすでにこの世にいない事だ。ジェームス・ハントはビジネスに失敗し、早逝。ボビー・フィッシャーは世界中を放浪した末に死去した。

今回の映画も、ハリウッドの悪童、シャイア・ラブーフがマッケンローを演じるというので、観客は満足するだろうが、テニスを愛したマッケンロー本人からみれば、まだまだ詰めは甘いだろう。

肝心の試合のシーンは、デンマークやフィンランド在住の、ウィンブルドンランキング500~800位の20代~30代の選手が、メインキャストのスタントダブルを務めている。ボルグ本人は、自分の内面がきちんと描かれた映画だから満足しただろうが、マッケンローが満足しないのは当たり前だ。

では、この映画にも出てくるかつてのボルグの婚約者であり最初の妻であるマリアナはどう見ているのか。

© Popperfoto

マリアナ・シミオネスクは、’80年にボルグと結婚、結婚式の時のボルグの付添人はマッケンローがつとめた。だが、2人は’84年に離婚している。
ボルグが、後に2回結婚しているのに対し、マリアナは、ボルグと離婚してからは独り身を貫いているのだという。

劇中でボルグの少年時代を演じているレオは、ボルグの三番目の妻・パトリシア(’02年に結婚)との間に生まれた子供だ。

ボルグは、マリアナとの間に子供は生まれず、彼女と別れた後、スウェーデン人モデル・Jannike Bjorlingと3年付き合った後別れ、’89年にモデルのLeredana Bereteと結婚。その後、ビジネストラブルに巻き込まれ、破産寸前となり、’93年に離婚した。

そして’02年に結婚したのが、今の妻パトリシアだ。

マリアナは、今回の映画をストックホルムのプレミアで見て、ボルグと再会。

劇中でボルグを演じたスベルトについて『まるで時計がとまったかの様、昔のビヨンが目の前に現れたのかと思ったわ。』と驚きを隠せずに居た。スベルトがボルグを演じただけでなく、ボルグの人生がうまく描けた映画だと彼女は語る。

マリアナとボルグの出会いは、’76年6月、ボルグのトレーナーのレナートの誕生日だった。
『親同伴で来るようなデートだったわ。彼と夜明けまで喋ってたのだけど、彼は紙に書いた文面を棒読みするぐらいあがっていた。それぐらい彼はシャイな人なのよ。』

『ビヨンはとても素敵な人であると同時に、ナーバスでシャイな人。そんな彼と付き合っているうちに、彼が心の中に炎のような情熱を隠していることも判ったの。』

マリアナの存在がメディアに明らかになるにつれ、彼女はレナートと共に行動するようになる。それは彼女の心を不安に陥れ、彼女は気分を紛らわせるかの様に煙草を吸う様になった。


©Getty Images Europe

『私がどこでも煙草を吸っているから、マッケンローの家族は私の事が目障りだったみたい。特にマッケンローの弁護士のお父さんは、年頃の娘が煙草を吸うなんてって煙たい目で見ていたわ。』

マリアナは、ビヨンとマッケンローの生涯を通じた親友関係は認めていたものの、マッケンローの家族は認めていなかった。今回の映画がボルグよりに描かれているのも、存命である彼女のこうした意見が取り入れられているのもあるかもしれない。

マリアナ曰く、ビヨンのトレーナーのレナートとは、何も言わなくとも目で通じ合える戦友の様だったという。劇中でもボルグを見守るマリアナとレナートの場面は何度も出てくる。

©Hulton Archive

映画は、ウィンブルドン決勝戦で、ボルグが、マッケンローを下し優勝した所で終わる。だが、その後のボルグはテニス界に食い殺される形で現役を引退せざるを得なくなった。

’81年にマッケンローは、ウィンブルドン決勝戦でボルグに打ち勝ち優勝。翌年にはテニス協会は、シード権を持つランキング上位32名に、グランドスラムと10大会出場を義務付けた。

ボルグは7大会は出るといったが、協会と折り合わず、ボルグは26歳で引退。マッケンローは、ボルグ程の選手を引退させるルールを強引におしつけた協会を罷免し、翌年ルールは改定された。

そうでなければ、現在37歳のロジャー・フェデラーが現役を続けられるはずがないだろう。それぐらい昔のテニスは過酷なスポーツだったのだ。

マリアナとボルグのその後についても描かれないこの映画。
マリアナは、ボルグと別れた後、6ミリオンポンド(現在貨幣価値で8億円)の慰謝料をボルグから貰ったという噂が当時とんだが、まったくのでたらめとマリアナは言う。

彼女はボルグと別れた後、レーシングドライバーと付き合い、息子アンソニー(27)をもうけたが、結婚するに至らなかった。
今は息子と、母親と共にモナコに暮らし、故郷デンマークを離れているという。

『私が故郷を離れた事を、税金対策の為だとか、いろいろ言う人も居る。でも私は独り身でも息子がいるし、飼っている犬もいれば、母もいる。毎日が充実していて忙しいから幸せよ。』

©REX/Shutterstock

彼女は、ストックホルムのプレミアで、初めてビヨンの現在の妻、パトリシアに逢った。
『彼女(パトリシア)はビヨンにない社交性を持っていて、ビヨンをサポートしてくれる素晴らしい女性よ。ビヨンの名声に惹かれて結婚したわけじゃなくて、彼を自然に支えられる女性だから安心したわ。』
そしてマリアナは、こう言った。

『後にも先にも、私が結婚してよかったと思えるのはビヨンだけなのよ。』

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