パっと見、この2人。ごく普通のカップルのウェディングに見える。
真っ白なウェディングドレスを身にまとった花嫁ハナさん(31)は花婿のジェイクさんをみて『初恋の相手で一目ぼれだったわ』と感激。
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ジェイクさん(40)もまた『彼女を見て魔法にかかったかの様に恋に落ちたのが3年前なんて思えないな。』とコメント。だが次の写真を見ると、ええええええ?と思ってしまう。
左がジェイクさん、右がハナさんだが、元々の性もルックスも違うのだ。何故二人は恋に落ちたのか?また性別が入れ替わった理由は何だったのか?
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ジェイクさんは、地主一家に生まれ、母は映画や舞台の衣装の仕事をしていた。
2人の姉に囲まれて育ったジェイクさんは、女らしさを強要する家庭環境に辟易とし、幼い頃から男の子になりたいと願っていた。
『昔の僕の髪がカーリーヘアだったのは、母親が強制したからなんだ。この方が可愛いからって。僕はショートヘアが好きなのに、母親はいかにも女の子らしいロングのカーリヘアばかり強要した。母親にヘアスタイルやファッッションセンスを強要されても染まらない僕をみて父親は、心の中に男の子がいるみたいだとよく言っていたよ。あながちウソではないよね。』
心と体が乖離していったジェイクさんは、高校の頃になると、水着になるのも嫌がった。髪は男女共通でもあるドレッドヘアにしていたが、ドレスを着るのもためらった。
親の強制で通わされていた名門私立では、いじめの対象になり、ジェイクさんは次第に引きこもる様になっていったという。
ジェイクさんが思春期に父親が亡くなり、母はレズビアンをカミングアウト。母親を毛嫌いするあまりジェイクさんは女性を恐れる様になってしまう。
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ウェストミンスターの映画学科を卒業したジェイクさんは、単身NYに渡り、そこで成功したトランスジェンダーの男性を見て、自分もああなってみたいというロールモデルが出来た。
NYでキャリアを積み、帰国し、母親に『ゲイじゃない。男性になりたいの。』とカミングアウト。その決意を聞いた母親はジェイクの手術費用を負担する事に。『30年間闇に包まれて何もいい事がなかった僕の生活が一変したのはこの瞬間だったよ』とジェイクさんは、語っている。
一方、ハナさんは教師をしている母ウェンディさんと、プログラマーの父ブライアンとの間に生まれ、幼い頃は母親と買い物にいくのが楽しかったという。『ある日、母親の部屋に入った時、この服欲しい!と思ったのが、きっかけだった。男の子なのにおかしいじゃない?でも表面上は隠しておくしかなかった。』
彼女はトランスジェンダーに対する風当たりの強さも幼いころから十分理解していた。その為、体を鍛え、スポーツが得意なフリをし、16で軍に入り、見本となる軍人に送られる賞best cadet awardを受賞。
ハナさんは、16の時に、親友と両親に思いきって、心と体の性が一致しない事をカミングアウトしたが、両親は息子がゲイだと嘆くばかりだった。
『両親や周りの人間に理解されなかったのはショックだったわ。でも嘆いていても仕方がない、前に進んでいくしかないのだもの。』ハナさんは、その後、ニューカッスル大に進み電子工学を学び、’11年にアフガニスタンで任務に就く事になった。その時は、個室もなく大部屋配属となると聞かされ、この時を逃すと物理的に性転換手術をする機会はないと考え手術を受ける事に。
性転換手術やホルモン療法を受ける前にハナさんは、最初に父親に相談したという。父親のブライアンさんは『よく話してくれた。でも重要な事だから慎重にやるんだよ。どんな形であれ私の子供である事には変わりない』と、ゲイだと言った事を詫びて、背中を押してくれたという。
ハナさんは軍の中でLGBTのコミュニティを作り、誰もが相談しやすい環境も作ってたが、ハナの母ウェンディさんは、軍でリンチに遭わないか、それでなくても酷い待遇を受けないか、ただそれだけを心配していたという。
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そして2人は、’15年に出逢い、’17年9月、NYのセントラルパークで挙式。それが冒頭の写真になる。
今では、LGBTのコミュニティだけでなく、2人をサポートする新たな友人が沢山現れ、祝福している様だ。
トランスジェンダー同士のカップルは彼らが初めてではない。
’15年に、米国では10代のトランスジェンダーのカップルが誕生して、すぐ別れてしまい騒然となった。
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米バージニア州在住のケイティ(ルーク)・ヒルさんと、エイリン・(エメラルド)アンドリュースさんだが。’12年にお互いの性転換手術とホルモン療法が終わり、オクラホマのコテージで住みはじめてから2年もたたないうちに別れてしまったという。
ケイティことルークの母であり実業家のデニス(43)さんは『性転換する過程を励ましあう事でお互いに愛情が芽生えたと勘違いしていたかもしれないのよ。こういう結果となっても仕方がない。性をかえた事を後悔しなければよいのだけど。』とため息をついている。
だが、今回のジェイクさんとハナさんの例は、かなり苦しみぬいた末に出逢い、結婚したのだから、大丈夫だと思いたい。
2人の夢は、子供を持つ事だが、それが叶うかどうかは、まだ先は判らない。だが性を乗り越えて幸せを掴んだ2人を純粋に祝うべきだろう。
Teenage lovers who BOTH switched gender have split up – but pledge to remain firm friends