【新生児誘拐】半世紀も実の親だと思っていたのが養母だった!未解決事件の犯人は大富豪?


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1964年は、前の東京五輪の年だが、米国では新生児誘拐事件が多発した年でもある。その中には犯人が見つからない未解決事件もあるのだ。

今回紹介するのは、1964年に起きた新生児誘拐事件で『既に解決した』と思われていたものが、実はFBIの捜査ミスで未解決事件に逆戻りしたケースだ。


『ショックだよ、生まれて55年、自分の両親が実の父親、母親であるかないかなんて疑わなかった。』

’64年に生後1日で誘拐され、2年後に『保護』され『時の人』になった、Paul Fronczackさん(’19年12月現在55歳)は、ため息をつく。

彼は、母親とのDNA鑑定の結果、実の子供でない事が判明したのだ。どういうことなのか。

Paul Fronczack誘拐事件とは


©AP

Paul Fronczack誘拐事件とは、米イリノイ州・シカゴにある、マイケル・リース病院で起きた新生児誘拐事件のことだ。

1964年4月27日、同病院産婦人科に入院していたドーラ・フロンザック(当時28)が、生後1日のポールを看護婦に変装した何者かによって誘拐されたというもの。

看護婦に変装した女性は、ドーラの病室に入り『この子は具合が悪そうだから担当医師に診せなくてはいけません。私が預かってもよろしいですか。』と聞いてきたという。ドーラは何の疑いもなしに彼女に生まれたばかりの息子ポールを預けたが、彼女と息子は二度と姿を現さず、担当医師が後から現れても『聞いていない』という事から、誘拐事件と判明した。

事件は、FBIを巻き込む大事となり、ドーラと夫のチェスターは記者会見を行い、息子のポールの顔写真を公開。犯人逮捕と息子の安否を気遣った。


©ABC
それから2年後、ニュージャージー州のショッピングモールで、ポールに耳の形がよく似た2歳の少年が歩いているのを捜査官が保護。ドーラ、チェスター夫妻は、この少年をポールとし、この誘拐事件は、犯人行方不明、DNA鑑定もされないまま、終止符をうった形となった。

だが、事件が再浮上したのは、2013年。
ポールとして育てられた男性は、事件から半世紀が過ぎ、自分は別人なのではないか、と思う様になったのだ。

本物のポールは、別に居た?


©WGN

ポールさんはシカゴからLAネバダ郊外のヘンダーソンに移住。
妻ミシェルさんと一人娘エマさんに恵まれ幸せな日々を送っていた。ただ一つの疑問を残しては。彼はポーランド系のチェスターさんとクロアチア系のドーラさんに全く似ていなかった。

DNAテストを受けたのは、父チェスターさんが亡くなった後だった。

『髪の色も目の色も、全く違う。両親に何度も聞いたよ。なのに母親は、何があっても私の子よというばかり。でもある時、両親が箱の中に誘拐事件の切り抜きをしまってあるのを見たんだ。』

そして彼はドラッグストアでDNA検査キットを買い、調べた結果、今まで実の両親と思っていたのが養父母だった事が判明。『顔から血がひくのが判ったよ。じゃぁ僕は一体何者なんだって。』

ポールさんは、自分の誕生日、年齢、両親も、全て当たり前の様に思っていたという。自分が『当たり前』の様に考えていたアイデンティティを、ある日突然奪われ、ショックを隠しきれなかった。


©Media NewsGroup via GettyImages

そんな彼を支えたのが、若き遺伝子学者のセセ・ムーアだ。
DNAテストの結果の分析担当官だったセセは、ポールの率直な悩みに答え、彼が『本当は何者であるか』を共に探す事にした。

セセは、ポールから提出されたドーラのDNAサンプルから『本物のポール』を割り出した。米国には個人がDNAを提出するサイトや家系図を作るサイトがあるが、これに当てはめた結果、本物のポールは、別の場所にいることが判ったのだ。

『本物のポール・フロンザックは、ミシガンの郊外に住んでいて、全く違う名前で住んでいるのよ。彼もまた自分が養父母に育てられている事は知らないと思うわ。』

セセの報告を受け、シカゴ地方局・チャンネル9は取材を試みたが、本物のポールは取材を拒否したという。

では、今までポールと名乗っていた人物の素性は誰だったのか。

僕は拾われて幸せだった


©National Center for Missing & Exploted Children
この写真は、赤ちゃんの時の写真と、取材したミシガン在住の現在の本物のポールさんを元に作ったという、『現在の本物のポールさん』の合成写真だ。

今までポールと名乗っていた男性、セセがDNAを突き止めた結果、彼の本当の名前は、ジャック・ローゼンタールという名前である事が判った。

実母はアル中で、実父は退役軍人。実の双子の姉ジルが居たがネグレストの為行方不明となっている。『あの時、僕は何故ショッピングモールに居たのか、全く記憶にないんだ』ポールこと、ジャックは保護された時の事を振り返る。実の親のことが記憶にないのも無理はない。


©Tribute News Service via I

『どちらにしても、僕は、拾われて幸せな人生を送ったのだと思う。確かに実の母親でなかったと知ったのはショックだったよ。母も知らずに済んだのにと思う。だけど僕にとってみれば地獄の日々から救ってくれた神様が僕の養父母だったと思うんだ。』

新生児誘拐の犯人は大富豪?

©Bettman Archive

では、いまだ未解決と言われる1964年代の新生児誘拐事件の真犯人は誰なのか。その犯人として挙げられるのが、悪名高き福祉詐欺師としてあげられるリンダ・テイラーだ。

’02年に亡くなった彼女は、’77年に福祉詐欺で終身刑を受けているが、それ以前に新生児誘拐と人身売買の罪に問われている。彼女の息子ジョニー・ハーバーによると、リンダは100近い偽のIDを使い分け、その中には看護婦もあったという。

そして1964~65年の間には、新生児を誘拐し、子供が欲しい母親に人身売買をしていたというのだ。

リンダが亡くなった今、限りなく黒に近い彼女を裁けないというのは、残念な話でもある。

How newborn kidnapped from a Chicago hospital in 1964 was tracked down 55 years later through ancestry sites: Genealogist reveals how distant relative’s DNA and a ‘fishing expedition’ helped them find the abducted boy

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