見られることが嫌で飲み続けた・ダニエル・ラトクリフ、表舞台から消えた理由を語る


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©BBC

『僕の悩みは沢山の人に見られ続けている事だった。稼いだお金は常に両親が貯金して管理していたから、どうにもならない。見られ続ける苦しみから逃れる方法として選んだのが酒だったんだ。』

そう語るのは『ハリポタ』で天才子役として一躍有名になったダニエル・ラトクリフ。現在は’16年公開の『グランド・イリュージョン:見破られたトリック』以来、表舞台からは姿を消している。そんな彼が、自分の人生を悩ませ続けてきたアルコール依存症について『Off Camera With Same Jones』で語った。

現在は俳優は副業、本業は投資王に転身した彼だが、自らの人生に暗い影を落としたアルコール中毒がどこから来たのか、そして遮二無二に稼ごうとするのは何故なのか。有料動画サイト『Off Camera with Sam Jones』で語った。

見られる恐怖に苛まれて飲んでいた


©BBC Wall to Wall Media/Marcia Gresham

ラトクリフは、過去にメディアで、自らの複雑な血筋を告白。母方の祖父が白豪主義の南アフリカ系であった事。ポーランド、ロシア、ユダヤ、北アイルランドの血筋を引いていて、周りにいる同年代に比べ自分のルーツを知りたくても知れないという事を強調していた。

子役としてデビューしたものの、世間が求める『賢くて、もの判りのよい好奇心旺盛な少年』というイメージと現実とのギャップで、ラトクリフは戦わなくてはいけない羽目に陥った。


©cinemacafe.net

『ハリー・ポッターシリーズ』は8作続き、映画会社としては『ワイルドスピード」に続く異例のドル箱シリーズとなったが、その陰でラトクリフは精神的に追い詰められ、蝕まれていった。

普通、子役が主役の映画は、シリーズものがどんなに続いても3作か4作で終わる。だが同じ役を演じ続けなければいけない事で、ラトクリフの私生活は荒らされていた。

『どこに行ってもハリー・ポッターで、ダニエル・ラトクリフじゃない。見られているという意識が僕をむしばむんだ。あの頃の僕の芝居は一本調子なのに自己満足。何一つ成長していない。過去の作品は観るのも嫌だ。成長していないからね。あの頃のプライベートの写真は両親が保管してるけど見たくない。何様のつもりなんだって顔して写ってるんだ。』


©BBC Wall to Wall Media/Marcia Gresham

なのに外に出れば、ハリー・ポッターだとチヤホヤされる。そんな日々をどうすれば忘れられるだろうと思った答えがアルコールだったという。飲めば苦しさから逃られると思い、飲むがそれが悪循環になる。

酔いが回り醜態を晒すと、普通の人であればだれも気付かないのに、セレブであるが故に世間沙汰になってしまう。そして『なんだまた見られたのか』とヤケクソになり、また飲んでしまうというのだ。ラトクリフ曰く、有名人のアルコール中毒はそうやってはじまり、重症化してしまうという。

今となっては失礼極まりない話だが『ハリポタ』の新作を世界中の人々が心待ちにしているその裏で、ラトクリフは酔いが回ったまま撮影に臨んだこともよくあった。『共演者、クルー、両親、周りの人々の対する感謝が完全に欠落していた。』当時を振り返りラトクリフはそう語る。

『クレイジーでクールで居なきゃハリー・ポッターシリーズ消えれば僕も干されると思っていた。本気で演技に取り組めばこれ以上にない素晴らしい仕事で人生の代表作になるぐらい素晴らしい仕事なのに。常にマスコミ相手に不機嫌そうにしてなきゃいけないし、哀しんでもいけない。素の自分を出せないのは真綿で自分の首をしめる様なものさ。』

そんな彼が自分のルーツを探り、今の様な生活に行きついた所以は、どこにあるのか。

事業を起こし一文無しになった曽祖父


©BBC Wall to Wall Media/Marcia Gresham

ラトクリフは、北アイルランド出身の元著作権エージェントの父、ユダヤ系英国人のキャスティングディレクターの間に一人っ子として生まれた。

『テーラー・オブ・パナマ』でピアース・ブロスナンの子供の役を演じた後、両親が『ハリー・ポッターの賢者の石』のオーディションに連れていき俳優としての道が開けた。


©Columbia Pictures.Inc

『僕がハリー・ポッターで資産を築いた時、心無い周りの人たちは、ユダヤ人の母が資産管理をしていたんだろうと陰口を叩いた。資産管理をしていたのは事実だけど、僕の先祖は事業を起こして倒産した哀しい過去がある。その教訓に基づいているだけなんだ。』

ラトクリフの曽祖父、サミュエル・ガーソンは、1900年~30年代前半にロンドンのハットンガーデンで宝飾店を営んでいた。

だが折しも不況で倒産寸前になり、金庫から3000ポンド(現在貨幣価値で7000万ポンド=約97億)の宝石を盗み換金しようとして警察に捕まった。

事情聴取をしても自分が悪かったとしか言わないガーソン。警察の裏付けの結果、ガーソンは悪徳保険金詐欺に巻き込まれ多額の借金を背負わされ店が倒産に追い込まされた事が発覚した。


©BBC Wall to Wall Media/Marcia Gresham

『ユダヤ人は自分より賢い人物や騙す上手が居ても、口を割ろうとしない。自尊心が高いからだ。』ラトクリフはその話を母方の祖父から初めて聞いた時、嫌な気分だったという。

ガーソンはその後自殺。妻に遺書が残されていたという。ガーソンについての詳しい話を、ラトクリフは英国人の老警官から聞いた。

『曽祖父も何かあって保険詐欺に巻き込まれたと思うんだ。そんな中、曾祖母が僕の祖母を女手一つで育ててくれたおかげで、こうして今の僕があって、銀幕や舞台に作品を送り出せると思うと嬉しいし、自分だけの力で生きているんじゃないって思えたんだ。』


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彼の家には遠い昔騙されて倒産、自殺に追い込まれた祖先の教えが活かされているのか、ハリーを演じたラトクリフのギャラは作品を重ねるごとにヒートアップ。

一作目の『賢者の石』は3000万、五作目で本人が一番よかったと認める『不死鳥の騎士団』の時には17億に跳ね上がった。彼の幼い頃は両親が預金や不動産を管理し、八作で合計100億近く手にし、彼の資産は130億近くに上る。資産合計額は英国王室を上回るとされ、質素に暮らせば、資産が生み出す利子だけで暮らしていける。

子供のアイドルから硬派な青年へ


©Shutterstock/アフロ

そんなラトクリフの次回作は、『エスケープ・フロム・プレトリア(原題名)』

アパルトヘイトの反対運動に参加し、刑務所に入れられた青年が脱獄を企てるというティム・ジェンキンの自叙伝だ。ラトクリフの自分探しはまだまだ続くらしい。

今回ラトクリフが出演した『Off Camera with Sam Jones』は、’14年からケーブルTVで放映され、バックナンバーは動画配信サイトで見る事が出来る。公式サイトでは1エピソード1.49ドル(160円)月額4.99円(537円)で、今までのゲストはロバート・ダウニーJr、マット・ディモン、ジェシカ・チャスティン、ジェイク・ギレンホール、アンドリュー・ガーフィールドと幅広い。


©BBC Wall to Wall Media/Stephan Perry

豪華なゲストたちに出演作の裏側から人生について聞くのが番組最大の魅力だが、’19年現在ラトクリフは以前から続く群発頭痛とも戦っている。最後にラトクリフは、こう言った。

『稼ぐ事が人生の目的じゃない。人生をよりよく豊かにすることなんだ。それが僕の人生の目標だよ。』

『Off Camera with Sam Jones』Daniel Radcliffe

Daniel Radcliffe cradles his dogs in a Gryffindor T-shirt and feeds the ducks with bowl cut hair as he shares never-before-seen pictures on Who Do You Think You Are?

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