奥さんはまだ死んじゃいない…人気絶頂でアルツハイマーになったライフスタイルのカリスマの今


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米国で『ライフスタイルの教祖』、『黒人版マーシャ・ステュワート』と呼ばれた黒人モデルが、6年前にアルツハイマーを発症。表舞台から姿を消し、話すこともままならなくなった。

長年のビジネスパートナーの夫は、献身的に妻を支えてきたが、’18年冬、夫は妻、そして白人の若い女性の3人と家に暮らしている写真を、自身のFacebookにアップ。

非難が集中する中、3人の向こうにある、人間関係とは何なのか。

誰もがうらやむ、セレブの道を歩んだ女性だった


©Craig Herndon/The Washington Post

バーバラ・エレイン・スミスは、’19年現在69歳。6年前に、アルツハイマーと診断される直前まで『ライフフスタイルのカリスマ』とあがめられた黒人モデルで、誰もが羨むセレブリティだった。

髪がロマンスグレーのベリーショートになった事以外は、現役時代と変わらない。スマートな体形で、よく喋るキュートな女性だ。だが今の彼女は現役時代と違い、話す言葉に脈略はない。

バーバラのキャリアは、’60年代後半にさかのぼる。


©pinterest.jp

ペンシルバニア州の田舎町から都会に出てきたバーバラは、ベビーシッターや、クラブ歌手の仕事を経て、モデルに転向。’76年にファッション雑誌『マドモアゼル』の表紙を射止めた。黒人モデルで2番目にカバーを飾ったのが彼女だった。

彼女は一流事務所『ウィルヘルミーナ』から声がかかり、活躍の場を欧州に広げた。’80年代は、欧州に活動の拠点を置き、そこで美術品や料理、インテリアに対する造形を深めた。美に対する総合的な造形を深めた彼女は、モデル業で資金をため、レストラン経営に乗り出すことにした。


©Courtesy of Dan Gasby

ダンとの出逢いは、’90年に入ったばかりの頃。バーバラは手掛けたレストランの経営が軌道に乗り、順風満杯だった。ダンはTV局の幹部で派手な生活を送っていて、既にバツイチ子持ちだった。そんな彼の目に、バーバラは落ち着きがあり魅力的な女性にうつったのだ。

バーバラとダンは、’92年に結婚。バーバラはレストランを3店経営する一方で、自分の名前を冠したライフスタイル番組を持ち、朝の番組の料理コーナーを持つ事になった。


©Courtesy of Dan Gasby

ダンの連れ子であるデーナをわが子のように育て、料理への愛を説き、家にはアレサ・フランクリンの様なセレブリティを招き入れていた。

黒人エリートが住む海辺の高級住宅氏サックハーバーと、NYマンハッタンの豪華なフラットを往復する日々がずっと続くと思っていた。そんなある日、バーバラの身に悲劇が襲った。

人気絶頂を襲った突然の悲劇


バーバラが、アルツハイマーを発症したのは、’13年の時だった。

その前兆が現れたのが、’13年の朝の料理コーナーの収録時の時のことだった。鶏の手羽先のレシピの説明をしていた時、バーバラは突然、目の前にある調味料の名前が出てこなくなったのだ。その時は誰もが、仕事のし過ぎだと思っていた、だが実際は違った。

2人の長年に親友でジャーナリストのマイケル・シュネイヤーソンは、バーバラの病がなかなか公にならなかった理由をこう話している。


©Facebook

『バーバラは、自分はまだ健康で仕事ができると世間に思わせるのが巧かった。大統領や俳優とも交友関係があったから、簡単に身を引くわけにはいかなかった。短い言葉を喋って、頭を使うであろう長い説明をする所はみんな、ダンに任せていたんだ。僕らはバーバラの身に何かが起きていると気づいたけれど、番組を見ている人が何故気付かなかったのかと、ひやひやしたよ。』

病が進むにつれ、バーバラは家の周りを徘徊するようになり、海辺の周りを歩いているのを近所の人に見つかり、保護された事もしばしあった。彼女の病がメディアで明かされるきっかけになったのは、’14年。マンハッタンから、サックハーバーに向かう途中だった。バーバラはバスを降りてしまい、行方不明になったのだ。捜索は翌朝まで続き、バーバラはミッドタウンのカフェで保護された。


©Facebook

ダンは、バーバラが経営していたレストランを閉店し、番組を降板させ、イーストハンプトンに引っ越した。ここはプールやテニスコートがある膨大な敷地の屋敷だが門がある。バーバラが表に出ていく事はない。

バーバラの病が公になってからもダンは、妻の後始末と介護に奔走した。2人で立ち上げたFacebookは、いつの間にか、ダンの介護日記になっていた。ダンの献身的な姿に、3万人を超すフォロワーたちから同情と称賛の声が毎日の様に送られていた。

だが’18年12月、ダンのFacebookに現れた謎の白人女性により、3万人のフォロワーは、一斉に攻撃を加える様になった。にも関わらず、ダンは開き直っている。

『何とでも言え。オレは最高にハッピーなんだ。』ウソをつけない性格とはいえ、あんまりだった。

奥さんは死んだんじゃないんだ


©Karsten Moran for The Washington Post

ダンは、バーバラに対し、彼女はオレの恋人だと正直に話したという。
アルツハイマーになる前のバーバラは、夫が他の女性とちょっと仲良くしただけでも、かんしゃくを起こしていた。だが今の彼女は謎の白人女性を『時々遊びに来る友達』としか認識していない。

かつてライフスタイルのカリスマと言われた女性が、夫の浮気相手の女性と判らず、無邪気に何度も話しかける姿に、世間の怒りは爆発した。


『奥さんが暮らしている家に、愛人を連れてくるんじゃない。奥さんは死んだんじゃないんだ。』

『愛人は黒人女性(バーバラ)が稼いだ金で優雅に暮らしている。この白人女は苦労一つしてないじゃないか。』

バーバラを救おうというネット上の署名運動まではじまったにも関わらず、ダンはFacebookで、次々と3人が映る写真をアップし、こんなことをのたまった。『26年間、黒人女性と結婚してきたんだ。黒人との恋愛は卒業したよ。』

ダンが罷免されるのも無理はない。白人女性アレックスは、’17年12月、ダンがバーで出逢った女性で、ナイトクラブで働いている『夜の女』だったからだ。夜の稼ぎで、昼間はブランドの路面店に入り、高そうなセーターをつまんで、車はポルシェを乗り回すという鼻もちならない生活を送っている女性だった。


©Karsten Moran for The Washington Post

アレックスは、自分の身の程は判っていたので、既婚男性でTV局幹部のダンとは付き合うつもりはなかった。そんな彼女がダンと付き合うきっかけになったのは、アルツハイマーの慈善活動でバーバラに出逢い、そこでダンがバーバラの夫と知ったからだった。

そこでアレックスは確信した『この人は奥さんを見捨てる人じゃない』

そしてアレックスとダンの付き合いは始まったのだが、ダンの前妻の娘デーナは、父親が軽々しくFacebookにプライベート写真をアップする事を快く思っていない。

『世の中好意的に物事を見てくれる人ばかりだと思う?投稿する内容が炎上してるのは、誰の目にも明らかでしょう。』

『ハンサムな人ね』夫の顔も判らない妻


©Karsten Moran for The Washington Post

娘のデーナが、バーバラとダンの若い頃の写真を見ていると、バーバラがダンの若い頃の写真を見て微笑んで、こうつぶやいた『ハンサムな人ね』

写真の男性が夫だと理解できない。今目の前にいる若い女性が夫の恋人とも理解できない。バーバラにとって最大の悲劇であり『知らなくてよかった事』になってしまっている。

バーバラの友人であるシュネイヤーソンは、ダンを酷評する人は、アルツハイマーの実態や結婚生活の実態が判らない人だというが、果たしてそうだろうか。

ダンとアレックスが話をしていると、『ハッロー!』とバーバラは、明るく割り込んでくる。だがその後の、おしゃべりは単語の羅列で意味をなさない。考えようによっては嫉妬もケンカも出来ないが、せめてもの抵抗なのだろう。

『ラスト・ムービースター』でバート・レイノルズ演じる落ち目のアクション映画俳優ヴィックは、バツ4の末に、糟糠の妻だった初婚の妻に逢うため、老人ホームに行く。最初の妻は既にアルツハイマーになり彼を憎んでいる事も忘れている。
だがヴィックは、1000回恋をしたが、愛したのは君だけだという言葉で奇跡を起こす。

アレックスは『今は、バーバラに何かしてあげられることがないかと考えるのが幸せ』というが、その思いがいつまで続くかも疑問だ。パートナーが認知症になってしまったといっても、この様な事が許されるべきだろうかと思う。

Lifestyle guru B. Smith has Alzheimer’s. Her husband has a girlfriend. Her fans aren’t having it.

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