米国を襲ったバイオハザード・サル痘ウィルス英国上陸!


50代~60代の主婦層にメキシコやアフリカ旅行が人気だそうだが、その旅行を脅かす出来事が起こっている。サル痘の爆発的流行だ。

天然痘に似たウィルスにサル痘(monkeypox)というものがある。
今から58年前、サルから見つかった事でこの名前がついたが、アフリカに生息するネズミやリスなどの体内に存在しているものだ。

©US Department of Health

ネズミやリスの中では抗体が出来ているので猛威を振るう事はないが、サルや人間に感染すると、高熱、発疹、末梢神経を犯し、特効薬がないという事が天然痘と似ている。人への感染は、1970年にコンゴ民主共和国は初めて確認され、アフリカで主に流行しているものだ。

その英国初めての患者が’18年9月7日に出た。
ナイジェリアに滞在していた海軍兵士が帰国し、コーンウェル海軍基地に付いた時、感染が発覚。患者は疾病捜査官の手によりロンドンにあるRoyal Free Hospital に隔離された。

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が、’18年9月11日、2人目のサル痘が発見されたのは、Blackpool Victoria Hospitalだった。この患者は血液検査の結果、サル痘と診断されRoyal Liverpool University 病院で治療を受けているが、血液検査までに関わった看護婦、医師、および周辺住民への徹底調査がいまだされていない。


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ナイジェリアは、昨年9月サル痘が大流行し、9割近くの人間が感染。6人の国民が命を落とした。英国にはナイジェリア国籍の人間が現在19万人住んでいる。軽い気持ちで故郷に里帰りした軍人が病を持ち込んだとあれば、国内にいるナイジェリア人排斥運動も起こりかねない。

そして三人目の感染者は、Blackpool Victoria Hospitalに勤めていた40代の看護婦だった。つまり2人目の患者が、サル痘と知らずに受診し、看護婦を感染させてしまった事になる。

ランカシャー在住の彼女は、建築士の夫との間に2人の子供がいる。夫や子供に感染させてしまったのではないかと思うと、身を切るような思いだという。

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彼女はこう言う『私たちがはめている衛生用のグローブは小さめに作ってあるの。これではきちんと皮膚を危険なウィルスから守る事は出来ないわ。もし罹患したとすれば、患者が寝ていたベットのシーツを変えた時。あの時に私の左腕が変える前のシーツに触れたから、しまった、と思ったわ。』

すぐにアルコールで拭き取ったという彼女だが、潜伏期間後、彼女は高熱にうなされ、発疹が出てきたという。それは彼女の50代の夫も同じだった。

看護婦は現在、ニューカッスルにあるRoyal Victoria Infirmaryに夫と共に隔離されている。

©Andrew Curtis

Public Health England (PHE)のニック・ピン博士は『現場で働く医師や看護師が犠牲になる事で、感染経路が特定できず、パンデミックを起こす危険性がある。少しでも自分の症状に疑いがあるのであれば、国の疾病センターに来てほしい。』と訴えた。

政府はサル痘の症状の一つである発疹が出るまでに特定疾病センターに来る様国民に呼びかけている。昨年から今年にかけてアフリカに渡航した人も含めてだ。

英国でのサル痘の流行は、ナイジェリアから帰国した海軍兵士により感染が発覚した。

だが今回の事件よりも15年も前に、米国ではあわやパンデミックが起こったかもしれないという事態にまで追い込まれたのだった。

時は’03年5月、米ウィスコンシン州に住むシャイアン・カウツアー(当時3歳)は、一週間も高熱にうなされていただけでなく、最初は顔と首にできていた発疹が全身を覆うようになっていた。

両親は心配し娘を病院に連れて行くと医師は、子供がよく罹患する『猩紅(しょうこう)熱』と診断。だが容態が悪化したシャイアンちゃんは緊急搬送され血液検査を行った所、天然痘ウィルスに似たものと判明。隔離病棟に移される事になった。

シャイアンちゃんを担当していた看護師にも同じ症状が現れはじめ、感染の疑いがある看護師も隔離病棟へ移されてしまう。
病院には世界最高峰の感染症の研究機関・米国疾病予防管理センタ(CDC)の研究員がシャイアンが感染したウイルスの検査を開始し、シャイアンちゃんの自宅、所有する農場も立ち入り禁止にし、徹底した隔離、除染を行った。


©bbc.co.uk

だが同じ症状は、彼女の住む町から800kmも離れたインディアナ州の病院でも見つかった。その他にも感染の疑いのある人間はイリノイ州12人、インディアナ州16人、ウィスコンシン州39人、オハイオ州1人、カンサス州1人、ミズリー州2人と、71人にのぼった。

感染経路も原因も判らないまま、シャイアンちゃんをはじめとする患者の体力は弱り、血液サンプルを取る事すらできなくなっていた。
その時、シャイアンちゃんの母親のタミーさんは、防護服を脱いでシャイアンちゃんに触れて自らウィスルに感染。体力が弱り死の淵をさまようわが子代わりに検査を受けると言い出したのだ。

研究員は血液サンプルや皮膚細胞など検査材料をタミーさんから採取し、CDCで専門的な検査を行った、その結果断定出来たのが『サル痘ウイルス』だった。
問題が解決に向かったのは、タミーさんの娘を思うあまりの勇気ある行動と、CDCにいる感染経路の特定を専門にするエキスパート・疾病捜査官の尽力だった。

シャイアンちゃんは、発症する一か月前、ペット販売のイベントでプレーリードックを買ったという。
他の患者にも共通していたのが、同じイベントでプレーリードックやウサギを購入していた事だった。しかもこれらの動物は購入後1か月もしないうちに死んでしまった事や、ペットの死骸を庭に埋めていたことが共通点だった。
シャイアンちゃんの家の敷地からプレーリードックの亡骸をみつけて検査した所、血液からサル痘ウイルスが発見された。

©bbc.co.uk
プレーリードックは北米の草原地帯のみ生息する動物で、サル痘ウイルスの発生源はアフリカなのに何故、捜査官たちはプレーリードックを卸していたテキサス州の業者の所に向かうと、そこは何百匹も動物がいる動物園の様な所だったという。
狭いケージの中で、不衛生な状態で飼育されたペットたち、その中でサル痘ウイルス発生源になっていたのは、アフリカオニネズミだった。

アフリカ中西部に生息するネズミで、卸業者はガーナから輸入したのだという。しかも輸入業者もウィルスに感染していた。

CDCの水際作戦の効果もあり、感染は6つの州でとどまり、死者は一人も出ず、シャイアンさんとタミーさんは幸いにも無事だった。

厚生労働省によれば、この時に米国から輸入されたアフリカ産のネズミの中から17匹が、5月8日に日本に輸出されていた。
だが、7月3日の時点で、共食いなどの理由で15匹が死亡、残った2匹は、国立感染症研究所でサル痘ウイルスの検査をし、2匹とも、PRC法、ウイルス分離試験、抗体検査で、感染は認められなかったが、以後こうした動物の輸入が禁止されるきっかけとなった。

英国では狭いケージの中で子犬を産ませる問題が表面化し、法律が定められた。

これらの問題は動物輸入業者の悪質な管理の悪さや、発展途上国に行く人々の考えの甘さから来ている面もある事は拒めない。

I caught monkeypox off a patient because of useless NHS gloves and I think I’ve given it to my builder husband, says hospital worker who is third person in Britain struck down with the illness

Monkeypox in the United States

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