事故で全身麻痺になった患者が脊髄電極埋め込みで歩ける様になるまでの奇跡


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米国4500ある病院ランキングで、毎年1位になる病院といえばミソネタ州・ロチェスターに本部を構えるメイヨー・クリニック。

医師と科学者の数は4200名、レジデントの数は2400名と豊富な人材を誇るだけでなく、医療、研究教育をしている事、先進的な技術の導入、徹底した効率化、医師、スタッフの育成はすべて患者の為というのが有名です。

その中でも今回は、ロチェスター本部にある、脊髄損傷患者の再生医療について焦点を当てたいと思います。


©LIFE Picture Collection/Getty Images

これは’95年に落馬事故で四肢麻痺となったスーパーマン俳優・クリストファー・リーヴと妻のディナさんが生前立ち上げた脊髄損傷患者の再生医療に基づく基金『クリストファー・ディナ・リーヴ基金』によるものでもあります。

ジャード・チンロックさん(29)は、アーチェリーや釣りが好きなアクティブなスポーツマンでしたが、’13年2月、スノーモービルの事故で脊髄を損傷し一生車椅子と言われていました。

©Facebook

『強風にあおられ、気が付いたら、スノーモービルごと地面に叩きつけられていた。息をしないと死んでしまうと思い必死で息をして、息ができるから助かったと思ったら、体が動かない。何が起こってるんだ?と思った後、自分の身に起こった事を受け入れるのに相当な時間がかかったよ。』事故当時の事をチンロックさんは、こう振り返る。


©Mayo Clinic

事故の時、チンロックさんは、地面に叩きつけられた為、あばら骨を数本折り、肺と横隔膜が圧迫され、ほとんど呼吸ができない状態だった。

奇跡的に命を取り留めたチンロックさんは、メイヨー・クリニックの本部に搬送され、神経外科医・ケンダル・リーさんが執刀する事に。『脊髄をつなぎとめる事は出来たものの、肝心の神経伝達が脳から全身に巧くいかない。このままではどんなにリハビリをしても上半身しか動かせないだろうと思っていた。』リーさんは語る。

その証拠に、チンロックさんは、手術後二週間経たずに、上半身を起こせるようになり、車椅子に乗り、積極的にリハビリに乗り出した。だがすぐに下半身に全く力が入らないという壁にぶち当たってしまう。

妻ジェニファーさん、一人息子を抱えたまま、自分の事故で一生車椅子で迷惑をかけるわけにはいかない。チンロックさんは、なんとか下半身を動かすリハビリはないかとメイヨー・クリニックの医師に喰らいついた。


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メイヨー・クリニックは、車椅子の患者の再生医療の答えを求める為、再生医療の研究に力を入れている、クリストファー・ディナ・リーヴ基金に助けを求めた。脊髄の手術は成功しているのだから、後は脳神経から全身に命令がいかないという問題を解決する為に、脊髄刺激電極装置を体に埋め込むという選択をチンロックさんに取る事にした。

昔はMRI検査が受けられないという欠点があった電極だが、現在は埋め込み後のMRIの検査も可能になっている。チンロックさんは電極を埋め込み、ペースメーカーは胃の脇に埋め込むという形で手術が始まった。

手術後、チンロックさんは自分の足で歩く為の集中リハビリを22週かけて行う事になった。これは基金が組んだ集中プログラムで、トレッドミルで太い筋肉を強化する運動と、ストレッチを組み合わせたもの。
チンロックさんは初めて自分の足で歩いた時の事をDailymailの取材に対してこう語っている。

『5年ぶりに自分のつま先に感覚が戻ったんだ!どう言えばいいんだろう、5年間、足が宙に浮いていたり、痺れていたのと同じ感覚で気持ち悪かった。自分の足であるける、自分の足が地面を蹴っているという感覚を感じられる事が全身で感じられるんだよ。』


©Mayo Clinic/Dailymail.co.uk

彼はこの感覚を誰よりも一人息子に伝えたいのだという。今ではリハビリ道具の力を使いながら16分歩くことができるようになったというチンロックさん。今後はリハビリ道具の力を借りる事なく歩く為に、片足立ちのバランスなどの特訓もするという。

チンロックさんの成功を受けて、同じ施術を行った大学病院がある。
フロリダ州のルイスヴィル大附属病院でリハビリを行う、ジェフ・マーカスさん(35)は、’11年、マウンテンバイクの事故で半身不随となった。

©University of Louisville

同じ大学病院に入院するケリー・トーマスさん(24)は’14年に車を運転中、大型トラックに巻き込まれ、半身不随になった。『前を走っていたトラックが突然向きを変えたのよ!私の車は、あっという前に吹き飛ばされて、気が付いたら私は指一つ動かすことが出来なくなっていた。』

©University of Louisville

2人は、大学病院を通じクリストファー・ディナ・リーヴ基金から、チンロックさんの成功例を聞いて、脊髄電極埋め込みを決意。今年の2月から歩行リハビリに励み、ここまで歩ける様になったという。
『もう自分の足で歩くことは無理なんじゃないかと思っていたよ、夢はマウンテンバイクにもう一度乗ることさ。』マーカスさんは語る。

脳からの神経伝達回路がないため、一生車椅子と言われていた患者が、電極を埋め込む事で歩くことができるようになるのであれば喜ばしい事だ。
だが、メイヨー・クリニック助教授のクリスティン・チャオは、3人の奇跡に対して『これらはまだはじまったばかり』と冷静に捉えている。

脊髄刺激電極は、ワーファリンなど血液が固まりにくくする薬を投与されている患者は埋め込むことができない。
合併症の問題もあり、感染症、血種、神経損傷、リードの断線問題もある。完璧な装置とはいえないのだ。

脊髄をIPS細胞で復活させるという案もあるが、これもいまだに実現していない。
脊髄損傷患者の戦いは始まったばかりと言った方が正しいのだろう。

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