ビヨンセが、ファッション誌『VOGUE』に、今まで語られる事がなかった家系図を明らかにした
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『つい最近、自分の家系について詳しく調べてみたのよ』ビヨンセはVOGUEのインタビューに、こう答えた。
彼女の母親がルイジアナ原住民・クレオール人の地を引く事は明らかになっているが、彼女の母方の祖先は、実は米国南部ルイジアナが仏植民地時代だった1800年に遡るという。
ビヨンセの家系は、1800年にルイジアナで生まれた黒人奴隷の女性・ロザイン・ジーン・ルイスという女性から始まるという。戸籍にはロザリンから先の名前はないが、ロザリンの母、ルイスもまた白人農場主に使える黒人奴隷だった事から、長年この土地で暮らしていたアフリカ系アメリカ人が受けた差別を受けた事が判る。
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ロザリンは、白人商人のジョセフ・レーシーさんと結婚するが、あまりの扱いの酷さに、娘のセレスティンさんを連れて逃げ出した。
残念ながらロザリンさんとジョセフの写真は残っていないが、セレスティンさんからの写真は残っている。
セレスティンさんは、母親と一緒に白人商人の元から逃げ出したものの、アフリカ系アメリカ人は学問をつける事も許されず、農場主の奴隷になるしか道はなかった。
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彼女は、当時ルイジアナで33万も奴隷を抱え、巨大なサトウキビ畑を運営していたフランス人、エロイ・ロザムンド・ブロウサード氏の元に家政婦として雇われた。
エロイは、24歳の地元の白人女性ローズと結婚していたが、子供はおらず、セレスティンさんとの間に、子供を13人作ったという。
この時代にしては珍しく、エロイはセレスティンさんを一人の女性として認めており、高齢になってイベリア半島に隠居する時も正妻のローズさんではなく、セレスティンさんとその子供たちの一部を連れて行ったというのだ。
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エロイは、イベリア半島で1904年に72歳で亡くなり、その当時、セレスティンさんの子供たちは10人いたという。残りの3人のうちの一人、オデリアさん(ビヨンセの曾祖母)は、ルイジアナのバーミリオンで農場主のユージーン・デロウェンと結婚し、18人の子供に恵まれたものの、読み書きが全くできなかった為に、戸籍上登録されているだけで、不遇の日々を送ったとされている。
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ビヨンセの祖母で、オデリアの18人いた子供の一人、アグネスは1909年生まれ。彼女がビヨンセの家系の運命の扉を開く事になる。
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アグネスは、17歳で結婚するがバツイチとなり、再婚。
製塩業に勤務するアルバート・ルマス・バインスと知り合い結婚し、ティナを含むテキサス州のガルベストンに移住。アルバートの稼ぎだけでは足りず、アグネスは自分の裁縫の腕を活かし、地元で洋裁店を営み、子供たちを私立の学校に通わせていた。
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『デスティニー・チャイルド』結成時、アフリカ系アメリカ人の無名の女性グループユニットに衣装提供するブランドがどこにもなく、ティナやビヨンセの叔父たちが、クリスタルやパールを付けたステージ衣装を作った事も今は思い出だ。
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アグネスの娘、ティナの旧姓がビヨンセで、生まれた子供がビヨンセ以外全員男の子だったので、彼女に旧姓を継がせた事が、思わぬきっかけとなった。
そんなティナとビヨンセの父、マシュー・ノウルズの出逢いもまた、きっかけといえばきっかけだった。
マシュー・ノウルズは、ジム・クロウ時代の人種差別が激しい南部育ち。
『母親に髪の縮れた黒人女性だけは家に連れてこないで』と言われて、黒人同士でも肌の色に気を使っていたぐらいだったという。そんな彼がティナに逢った時『肌の色が明るいな』と思ったそうだ。確かに家系図からして白人との混血でもあるので、明るいといえば明るいのだが、それはビヨンセの母方の家系が命がけでつないできた『成功の切符』だったのだろう。
その成功の切符をムダにすまいと、マシューは、娘の才能を見抜くや否や、勤めていたゼロックス社を辞め、マネジメントに転じた話は有名だ。
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だが、この家系、よく考えてみると『危機を乗り切る事で、家族の絆が強くなるわけで、安泰してしまうと家族に危機が訪れる』のではないだろうか。
事実、ビヨンセの両親、マシューとティナは、長年オシドリ夫婦と言われていたが、娘ビヨンセの社会的地位が安泰し、結婚し、子供も生まれた途端、夫の不倫不貞行動が露見し、離婚。
ビヨンセは、自分の家族が何故別れる運命にあるのか、その理由を探る意味でも家系を調べたのかもしれない。
危機やイベントには強いが、当たり前に感謝できなければ、この先のキャリアはあるのだろうかと、家系図を見直して、改めて思う事があったのだろう。