【閲覧注意】頭蓋骨コレクションや、アインシュタインの脳のスライス…ムター博物館がオカルト化している


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建築当時は、近代医療の発達と謳っていたが、現代では『オカルトを通り越して、クオリティ高いCGやメイクも真っ青のグロホラー』な博物館と化している所がある。

それが米ペンシルヴァニア州フィラデルフィアにあるムター博物館だ。
今日もここには医療研究目的というよりも、オカルト目的の来場者が後を絶たない。年間来場者数は6万人に及び、隠れ観光スポットとなったこの博物館、土日は特に込み合うという。


来場者の主な目的はというと『アインシュタインのスライスした脳を見る事』というのだから、ゲログロに趣味が悪い。元々そんな目的で建てられた訳ではないのだろうが、この博物館、いつ建てられたのだろう?

世界最大の頭蓋骨コレクションがお出迎え

ムター博物館は、1858年、ジェファーソン医科大学のトーマス・デント・ムター(Thomas Dent Mutter)博士が、引退する時に、個人所有の医学標本を、フィラデルフィア医師協会に寄贈した事がきっかけだったという。

今年で何と創立160年。建物の中身は歴史を感じさせ、オカルトチックな人体標本さえ並んでいなければ、由緒正しきお屋敷だ。
博物館は一般公開されており、感謝祭、クリスマスイブ、クリスマス、元旦以外は、10時~17時まで開館している。入場料は16ドルだ。

ムター博士の人体標本だけでなく、標本は増え続けて、ヨーゼフ・ヒルトル(Joseph Hyrtl)博士が寄贈した医学標本は、この博物館をホーンテッドマンション(幽霊屋敷)にしてしまった。

何故なら139個の世界最大の頭蓋骨コレクション、ホルマリン標本、ワックス標本、難病、奇病、奇形児のホルマリン漬けを、ばんばかと送り付けてきたからだ。いくら当本人がなくなって遺族が処分に困ったからといっても、これではフランケンシュタインかと思う。

当時は、MRIもCTスキャンも、カテーテルもなかった。これらの標本な脳外科手術を行う際に、大いなる見本になったそうなのだ。今からしてみれば、単なるグロすぎるオカルトなのだが。

頭蓋骨標本をヒルトルが集めたのは理由がある。
戦時中、頭蓋骨の形状で、人間の知能や性格に影響しているという骨相学という考えが医学で浸透していた。それが後にナチスのユダヤ人排斥に繋がった。

ヒルトルは、骨相学では人間は決められないと、DNA鑑定もなかった時代に、頭蓋骨を片っ端から集めて研究していたのだ。
頭蓋骨のアイデンティは幅広く、欧米を中心に江戸時代の日本人、東欧人、ジプシーも含まれており、内訳としては戦死者、犯罪者、娼婦と、DNA鑑定がなかった時代に、詳しく素性が判る様になっている所が評価されているのだそうだ。

その一方で、これら頭蓋骨は今では信じられない、ずさんな外科手術の痕跡も多数垣間見えるので、賛否両論の嵐が今でも沸き起こっている。

食欲が失せそうなものも中には展示してある

その他にも、この博物館、医療目的とはいえ『そんなの今見てどうするんだよ…』と食欲が失せるモノが由緒正しき館に展示してある。医学標本として現在に通じるものは僅かだろう。

有名なのが『石鹸おばさん』こと、死体がミイラ化したおばさんだ。
たまたま死体を埋めた土壌がアルカリ性だった為に、体内の脂肪分が石鹸と化して浮かび上がり保存されてしまった、おばさんである。表情が阿鼻叫喚になっている所がキモさを増している。

マトモな路線では、第22代および24代米国大統領クリーブランドは、大恐慌時代の大統領だが、議会工作も苦手で、拒否権を400回も使うという米国市場稀に見る事なき『腰抜け大統領』だが、彼は百貫デブで、演説下手と言われていた。演説下手の原因は下あごにある腫瘍が原因と言われており、取り除いた腫瘍が、この博物館に展示されている。見る必要ってあると思うが何故か展示されている。

一見何かさっぱり判らないが、アブラハム・リンカーンの暗殺者であるジョン・ウィクス・ブースから摘出された脊髄というものまである。脊髄を取り出して何の為になるのかよく判らないが展示してある。


©muttermuseum.org

このワックス標本は、マダム・ディマンシュと呼ばれていて、額から25cmの角が生えていた。放射能の影響とも突然変異とも言われているこの角。

19世紀初頭にパリに住んでいたディマンシュ夫人は、76歳の時に、額に1cm弱のコブが出来たと思って放置したら、6年間で25cmの長さに伸びてしまい、仏の外科医ジョゼフ・スーベルビエルによって外科切除してもらったのだという。

つい最近も顔の腫瘍がボール大になり、外科手術を施す事になった少年がいたが、これほど昔にも前例があるという事は、やはり『医療博物館』なのだろう。

他にもシャム(タイ)の双生児チャン&エン・ブンカー兄弟の結合した肝臓や、北米で最も背が高い人間の骨格標本が並べられている。


©ja.wikipedia.org/

これってどうよというものも展示してある事は確かで、18kgも便が詰まった人間の大腸標本は見たくないだろう。どんなものを食べていたのかと思う。

アインシュタインの脳のコーナーの次に人気なのが、何故かロボトミー手術用具一式が揃った手術室の再現だという。
こんな部屋を見てピネル病院の恐怖が再燃しなければいいがと冷や汗をかくのは筆者だけではないはずだ。


©muttermuseum.org

人類最古マヤ文明時とみられる頭蓋骨標本もあるが、頭蓋骨に穴をあけただけというものだ。これでよく人が死ななかったなと思う、というよりこれじゃ死んでるだろ。
これら人体標本が2万以上も集められているこの博物館。ムーア博士が寄贈しようとした、フィラデルフィア医師協会とはどの様なものだろうか。

何故ムーア博物館がオカルト化しているか

フィラデルフィア医師協会は、1787年、アメリカ近代医学の発展を目指し『米合衆国建国の父』の1人であり、臨床の父として知られるベンジャミン・ラッシュ(Benjamin Rush)らが立ち上げた私設団体だ。
ラッシュは医療は国家の独裁になるといけない、自由であるべきであると唱え、医学の進歩の為に、この博物館の建築を許可したと見られている。


©ja.wikipedia.org

残念な話だが、この博物館が現代人から見てオカルト化しているのは、ベンジャミン・ラッシュの思想が反映されているからではないだろうかと思う。

ラッシュは、依存症を初めて病名として世界に知らしめた人間だが、その一方で有色人種、同性愛者、精神疾患者に対しては人間とも思えない様な考えがあった。

黒人が黒いのは遺伝病のせいだと思い込んでおり、奴隷制に反対しながらも、黒人と白人が結婚すると遺伝で黒人の悪い病がうつると本気で信じていて、それを治すためには、全身の血を入れ替える瀉血(しゃけつ)療法を三世代にわたってすれば白人になると思い込んでいた。
その証拠に自分の息子を27年間も病院に缶詰にしていた事実が発覚している。

同性愛者や精神病患者に対しても理解が偏っており、精神病院を初めて作ったにも関わらず、その管理がずさんだったことや、ロボトミー手術、水銀療法もいとわなかった事は、現在医学の黒歴史とも言えよう。

いががだろうか。

ムーア博物館は、目的こそ立派だが、オカルト化している理由は、医学の黒歴史が、患者の遺体を通して語られているからではないだろうか。

ムター博物館

ベンジャミン・ラッシュ

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