’16年6月19日、俳優のアントン・イェルチンが、車の圧死事故で死亡した、
享年27歳、若すぎる死だった。
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アントン・イェルチンは、’89年3月旧ソ連・レニングラード生まれ。
両親は元フィギュアスケート選手だったが、ユダヤ人であるが故に迫害を受け、
米国に移住する事になったという。
イェルチンの名前が知られるようになったのは、彼が9歳の時に
アンソニー・ホプキンスと共演した『アトランティスのこころ(’01年)』だろう。
日々の生活を維持するのに精一杯な母親に愛想をつかし、
ホプキンス演じる不思議な力を持つ老人テッドから人生を学ぼうとする
多感な主人公の少年ボビーをイェルチンが演じている。
その後、クリス・パイン主演の『スタートレックシリーズ』のチェコフや、
『ターミネータ4』で後のジョンの父となるカイルを演じるなど、
SF映画への出演というイメージが強くなるが、
他の出演作を見ていくと、彼の繊細なイメージを大事にした、
ドラマ性の高い出演作が浮彫となっている。
フェリシティ・ジョーンズ、ジェニファー・ローレンスと共演し、
留学後の男女の恋の行方を描いた『今日、君にあえたら』や
銃乱射事件で死んだ息子の歌を歌い続ける元やり手の広告マンに惹かれ
一緒に歌を歌おうとするロック青年を演じた
『君が生きた証』も良かった。
イェルチンの死因は、車のギアがニュートラルになっていた事だが、
家から門までが平地であれば、この様な事態にはならなかったはずであり
事件以来、花束を添える人が後を絶たない。
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しかし彼の家から門までは坂道になっていて、
車がサイドブレーキを引くかもしくは、エンジンを切らなくては
門にぶつかる事になってしまう。
車も軽自動車ではなく、写真の様なグランドチェロキーだったらしい。
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ポール・ウォーカーも不審な車の事故死で陰謀説が既に広まっているが、
彼の死に、その様な話がない事を祈る。