日本語は、世界の人からみれば『習得しにくい言葉の一つ』に挙げられるらしい。
私たちは、普段慣れ親しんでいるからそう思わないだけで、文法や語法が簡単な国の人からみれば日本語は複雑怪奇そのものなのかもしれない。
世界には、日本語と同じ様な理由で『諸外国からみれば習得するのが困難な言葉』を母国語なり、地域の共通言語にしている人たちがいる。これらは時に戦争に利用されたり、テロに利用されたり、はたまた宗教に利用されたりするのだから不思議だ。
そんな『外国人が学びにくい言語』と理由を挙げてみることにした。
1:タカログ語
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日本にもフィリピン人の働き手の人が沢山居るにも関わらず、タカログ語が浸透する気配がみられない。
首都マニラやルソン島南部を中心にフィリピン人の4分の1の人が話すと言われているタカログ語。表記はラテン文字で、母国語として話す人は2200万人、第二言語として話す人も居れると5000万人にものぼる。
英語のABCDにあたる先頭文字がABKD(アバカダ)である事から、スペイン語の文法を取り入れつつ、英語由来の固有名詞をミックスさせ独特の発展を遂げた言葉とみられている。
2:ナバボ語
ニコラス・ケイジ主演の映画『ウィンド・トーカーズ』で、米国先住民のナバボ族の青年が話す言葉を暗号代わりに使うシーンが出てくる。動詞変化が900以上あり暗号に適していたのが判る。
ナバボ語は、アリゾナ州からニューメキシコのフォーコナーズにかけて自治区を持つナバボ族を中心に発展した言語で、12~17万人が話すと言われており、母国語としている人だけでも10万人は居る。
3:ノルウェー語
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長年に渡りデンマークの支配下にあり、19世紀までデンマーク語がつかわれてきたノルウェー。
デンマーク支配前の保守的な言語に戻るべきというニーノシュクと、現在デンマーク語と言われるブークモールに別れる。
ブークモールは、音韻、動詞の活用、数詞の違いさえ気を付ければデンマーク人と意思疎通が出来る言語であるが、ニーノシュクでは出来ないとされていて、ブークモールを使う人が国の9割を超えている。
表記はラテンアルファベットと3文字の子音を使い、ブークモールとニーノシュクの違いは、名詞の呼び方。ニーノシュクは男女、中性の呼び方がある。
4:ペルシャ語
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現在のペルシャ語は、アラビア語からの借用が多く、イランでは唯一の公用語で半分以上の国民が話している。歴史的経緯によりタジキスタンではタジク語と呼ばれ、かつて支配を受けていたソ連の影響でロシア語を話す人も居る中、タジク語を母国語とする人も居る。
28文字のアラビア文字と4文字の独特の文字を加えた32文字で構成され、性別、代名詞、接続詞がないという独特の文法の為、動詞で誰が話しているのか察する必要がある。
5:インドネシア語
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オランダから独立する際にマレー語をベースにしてローマ字を使う言葉を母国語として確立させた。
だが独立宣言の時に、インドネシアは様々な民族がある多民族国家として扱う為、ジャワ語、スマトラ語もインドネシア語同様に扱われている。
6:ウルドゥー語
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世界で20番目話す人口が多い言葉で、6100万人の人々が、第一言語もしくは第二言語としている言葉である。
インドでは憲法8条で定められた22の言語のひとつで、パキスタンの公用語でもある。
インドではヒンディー語が英語以外の公用語になっているが、ヒンディ語を公用語とすると、イスラム教徒が英語以外の第二公用語がなくなってしまうので、イスラム教徒の第二母国語となっている。
この様な背景からウルドゥー語の構成や文法は、ペルシャ語やアラビア語からの借用が多いのが判る。
7:ヘブライ語
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古代パレスチナに住んでいたヘブライ人が母国語にしていたものは聖書の原語だが、イスラエルに居住していたユダヤ人が離散してから話すものが居なくなった。
現代使われているのは、イスラエルに居住しているユダヤ人が母国語としているもの。
アラム文字に由来し、子音はあっても母音がないという特殊な発音方法を用いる為、習得が難しい言語のひとつでもある。
8:サンスクリット語
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インドの公用語だが梵字と呼ばれ宗教の礼拝用語として知られる。『完成、洗練された』という意味も持つが、1つの名詞が24通りにも変化する為、代名詞が独特の活用をする。
時制や動詞は、話し手の願望を込めたものまであり、文法を覚え、話してに意図を完璧に伝えるまでが難しく、かつては男性のみ話せる言葉だったという。
9:バスク語
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スペインとフランスにまたがるバスク地方を中心に分布する孤立した言語で、話者は約60万人。最も習得するのが難しい言語のひとつと言われている。
インド=ヨーロッパ系の民族がイベリア半島に侵入してくる以前から居住していた民族の言語と言われており、どの系列の言葉か未だに不明という。
新しいものを表現する存在せず、数字は10進法でなく、100までは20を区切りとした20進法であるなど、独特の数え方をする事から、欧州では昔、バスク語の取得が刑罰としてあった。
10:ゲール語
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ゲール語は三種類あると見られ、アイルランドで話されるものは、アイルランド語として明記されており、アイルランドの義務教育で必須となっている。
一般にゲール語と言えばスコットランドのもので、マン島で話されているゲール語は絶滅しかかっていたが、最近になって復興のきざしが見えている。
名詞に男性名詞、女性名詞があり不定冠詞がないのが特徴である。
11:アルバニア語
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アルバニア国内で母国語として話しているのは350万人、その他はコソボ、マケドニア、モンテネグロ、セルビア、ギリシャ北西部というアルバニア語。
発音が難解で、子音は29もあり、英語の『r』のはツインは『rr』と二文字を使い表現するなど発音ルールも複雑で一度聞いただけでは理解しがたいものばかり。
口頭で伝えられた言語で、文書として残されたのは比較的遅く、15世紀に入ってからという。
12:アイスランド語
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アイスランドに住む30万人の人が母国語にしている言語。
アルファベットはラテン文字をベースに、独特の展開がなされている。C、Q、WとZがなく母音は14種類、子音は18種類あり、ノルウェー語に一番近く、北欧の人でなければ耳慣れない発音や文法が多い。
サーガ(Saga)など、アイスランド語が語源のものもある。
13:タイ語
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観光や永住目的の人ですっかり有名になったタイ語。
文法はサンスクリット語やマレー語などから来ていて、あの難解な文字はインド系の表音文字で、左から右へ横書きする。文字は簡易化したものと、文書用と何種類かある。
観光に使える程度のタイ語が何とか喋れる様になった日本人がタイ語習得でつまづく理由は、母音と子音が多く、さらに組み合わせが複雑怪奇な事だ。
日本語の母音が5つしかないのに対しタイ語は9つ、子音は42つもあり、発音に至っては、母音と子音で明記する。しかも文の完成系ないと意味も判らないようになっているので、現地の人に全く通じないという事が普通に起こる。
14:アラビア語
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27か国で公用語とされていて、世界で三番目に多くの国及び地域で話されている言語となっているアラビア語。
共通語として存在するフスハーは、西暦4世紀にさかのぼるもので、アラビア文字で書かれている。書籍、雑誌、新聞でみられるものはフスハーと呼ばれるもの。
アーンミーヤは日常会話で用いられる『各地方の方言』で、その方言の差異は、同じアラビア語なのかどうかも判らないほど変化している。
アーンミーヤは文字がないのに対し、フスハーは、文字で記述する。
15:中国語
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世界中で16億もの人が話すといわれている中国語。日本人からみて最大の難点は、発音で、日本語は51音なのに対し、中国語は405音と、基本となる4つの声調。
標準語と言われる北京語でこれをマスターし、次に広東語を覚えれば、中国語は怖くないと言われるが、そこまで行き着くのが難点ともいえる。
15:日本語
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私たちが普通に使っている日本語だが、外国人から見ると『かなり難しい』という人と『そうでもなかった』という人の二派に分かれるという。
前者は英語など比較的言語習得が簡単な国から来た人で、後者は北欧など言語習得が難儀な国から来た人に多い。
確かに舶来製品や音楽にカタカナを使い、ことわざに四字熟語を使い、元号は二重表記、話し言葉では絵文字スタンプも炸裂する様は、理解しがたいと思うだろう。
世界各国のカレーが食べられる国ならではの、言語アレンジ力を目の当りにして、驚く外国人はまだまだいるはずだ。
The Most Difficult Languages To Learn In The World