『食べることは生きる事』と判っていても、私たちは気が付けば食べたいものを食べ、3食ジャンクフードという人もいるのではないだろうか。
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母の手料理はスーパーの総菜に変わられ、食中毒事件も起こる様になりました。
そんな中、世界各国の一週間の必要な食料と食費ってどうなっているのでしょうか。
01:日本
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東京都小平市のUkita家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:3万7699円
好きな食べ物:刺身、果物、ケーキ、ポテトチップス
作り置きも出てきた現在、食材、調味料は贅沢というより、ほどほどで慎ましく平均的ではないでしょうか。
サービス業の第一線で働く人の中には、ファーストフードや3食外食一辺倒の人も当たり前になってきた日本で、食材をきちんと使う家庭を探してきた事が珍しいと思います。
02:イタリア
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シシリー島のManzo家の人々と1週間で必要な食料。
1週間の食費:約2万1000円(214.36ユーロ)
好きな食べ物は:魚、ラグー(肉や魚介類を煮込んだソース)パスタ、ホットドッグ、フローズン・フィッシュ・スティック
日本と比べてみると、あざやかですが、同じパンがズラリ、同じ炭酸飲料、トマトの水煮缶ズラリ。これで一生飽きないの?ですね。
03:チャド
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Breidjing難民キャンプのAboubakar家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約100円(685CFAフラン)
好きな食べ物:新鮮な羊肉スープ
この食料が、家族の一日分じゃなくて、一週間分である事をどう思うでしょうか。
日本も江戸時代まではそうだったと思います。コンビニの恩恵にあずかれなかった40代までの女性に極端に太っている人が少ないのは、その為かもしれません。
この食料の量と、私たちが普段食べている食べ物を考え、戒めるべきではないでしょうか。
04:クウェート
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首都・クウェート市のAl Haggan家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約1万8000円(63.63クウェート・ディナール)
好きな食べ物:バスマティ(玄米に香りを持つ米)のチキン・ビリヤーニー(炊き込みご飯)
今難民問題で揺れるクウェートですが、中近東の人々が口を揃えて言うように、政治情勢さえ安定していれば、
安くていい食材が市場で手に入る最高の所というのが判ります。
映画『タッチ・オブ・スパイス』では欧米各国がこれらの国の資源や領土問題に干渉した為に、家長を中心とした
中近東の古き良き食文化が奪われていく様が描かれていました。
戦争や領土干渉問題で、彼らの良き文化や食料が奪われたのであれば、いかがなものでしょうか。
05:アメリカ・ノースカロライナ州
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ノースカロライナ州のRevis家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約2万8000円(341.98ドル)
好きな食べ物:スパゲティ、ポテト、セサミチキン
米国の貧しい地域の食生活は、お腹を満たす事が先決で、お金をかける事ができません。
大きいピザ、カラフルなチルド食品、いかにも大型スーパーで買えそうな食料品で、同じ米国でもNYとは違います。
06:メキシコ
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モレロス州の州都・クエルナバカのManzo家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約1万5000円(1,862.78メキシコ・ペソ)
好きな食べ物:ピザ、カニ、パスタ、チキン
まず目に映るのが、色とりどりの果物や野菜、そしてパン。野菜や果物が高い日本人としては羨ましい限り。
その一方で、その後ろにならぶ大量の1.5リッターコークに、不安の影が。
彼らはこれを水代わりに飲む事で激太りするのだと思います。これが日本とメキシコの違いなのでしょう。
食費は安くても、治安も悪く水事情も悪いメキシコでは、飲み物も変わるのです。
07:中国
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首都・北京のDong家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約1万3000円(1,233.76人民元)
好きな食べ物:酢豚
都市により格差のある中国では、どの家庭が標準の暮らしをしているのか一概には言えません。
文化大革命以降、食生活の欧米化が進んでいますが、その一方で古き良きものを大事にする人も。
08:ポーランド
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Konstancin-JeziornaのSobczynscy家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約1万2000円(582.48ズウォティ)。
好きな食べ物:ブタの脚や膝関節の肉と人参、セロリとパースニップ(サトウニンジン)
朝食はパンに紅茶がメイン、遅めの昼食に肉や魚とスープが出てくるポーランドの食事。
一日細々と5食とる事でも知られていますが、こうして並んだものを見ると、乾物はストックし、
新鮮なものはその度に市場に買いに行くのが判ります。
09:エジプト
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首都・カイロのAhmed家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約5600円(387.85エジプト・ポンド)
好きな食べ物:オクラと羊
エジプト人の薄焼きパンはアエーシと呼ばれ、オルズ(米)とならんで主食となっています。
パンはスープに浸したり、具をはさんでサンドイッチにして食べたりします。
トマトの生産量が世界第5位など、野菜み恵まれた土地なのと宗教上の理由で肉が食べられないので、野菜が多いのもうなずけます。
10:エクアドル
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コトパクシ県ティンゴのAyme家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約2600円(31.55ドル)
好きな食べ物:キャベツ入りポテトスープ
エクアドルの主食は塩と油を入れて炊かないと炊けない程硬い米と言われ、写真にも写っていますが、それ以上に有名なのが硬いバナナ。
揚げないと食べられない程、里芋状態を通り越した、八つ頭状態のバナナが有名です。
他にも肉団子や、キャベツの入ったスープは出てきますが、味は薄く、何よりもバナナを食べる頻度に驚かされます。
11:アメリカ・カリフォルニア州
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カリフォルニア州のCaven家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約1万3000円(159.18ドル)
好きな食べ物:ビーフシチュー、ベリーヨーグルトサンデー、クラムチャウダー、アイスクリーム
いかにも’60年代のアメリカ~ンにタイムスリップしたようですが、これが米国西海岸…の庶民らしいです。
日本の70歳以上の人は、この生活にあこがれていたのではないでしょうか。
12:モンゴル
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首都・ウランバートルのBatsuuri家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約3300円(41,985.85トゥグルグ)
好きな食べ物:羊のダンプリング(蒸しだんご)
アメリカに憧れてみた’60年代の日本人が真似したような感じ…が今のモンゴル人みたいになってるのですが。
一週間の食材をムダに使わず計画的に作り置きして、食べているのが判ると思います。
13:イギリス
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イングランド南部ウィルトシャー州Cllingbourne DucisのBainton家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約2万円(155.54ポンド)
好きな食べ物:アボカド、マヨネーズサンドイッチ、クルマエビのカクテル、クリーム付きチョコレートファッジケーキ
ジェレミー・オリヴァーをはじめとした有名シェフが出てきた事で、台所事情も変わってきたと言われる英国。
美味しくなったものもあるけど、おいしさは全体的に平均値以下というのは、この食材でも一目瞭然?
外食にバカっ高い消費税が付くお国柄という事もあり、シェフお勧めの料理を頻繁に食べに行けないのも事実。
英国留学して、英国の食習慣を身に着けると太ったという人がいるかもしれません。
14:ブータン
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Shingkhey村のNamgay家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約400円(224.93ヌルタム)
好きな食べ物:マッシュルーム、チーズ、豚
幸せの国と呼ばれるブータンの一週間の食費がたったこれだけ、しかもこの家族の人数って事にも驚かされます。
ここ数年、ブータンはマツタケが取れるという事で有名になったのだそうです。
15:ドイツ
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ドイツの最北端に位置するシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州のシュトルマルン郡Bargteheideという町に住んでいるMelander家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約4万円(375.39ユーロ)
好きな食べ物:フライドポテトと玉ねぎ、ベーコンとニシン、タマゴとチーズの中華風焼きそば、ピザ、バニラプリン
ドイツ=天然酵母のパンなど、オーガニックへのこだわりも感じられるのですが、この家の食材を見て驚くのが、ブリックパックのオレンジジュースやビール、ミネラルウォーターの多さ。
家の食材の半分をこれらが圧迫してるという生活事情に驚かされます。
16:オーストラリア
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リバービューのBrown家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約3万円(375.39オーストラリア・ドル)
好きな食べ物:クワンドン(桃みたいなオーストラリアの果物)のパイ、ヨーグルト
驚くのがお肉の固まりと卵の量。これって酪農家なのかそれとも大型スーパーで買って来たのか、もしかしてこれを1週間で食べきるって焼き肉屋って量です。
その他にもミネラルウォーターがありますが、ミネラルウォーターを、ガソリンタンクの様な大きなサーバーで買わないと間に合わないという家庭の事情もハンパではありません。
横にあるシリアルや乾物が小さくみえてしまいます。
17:ガテマラ
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トドス・サントスのMendoza家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約6200円(573ケツァル)
好きな食べ物:トルコ風シチュー、羊のスープ
コーヒーの産地、ガテマラ・ウエウエテナンゴからさらに奥地にある、トドス・サントス。
イーグルズの『ホテルカリフォルニア』がある場所として有名。
『ホテルカリフォルニア』がボったくり名所になっているのに対し、庶民は色鮮やかな民族衣装をまとっている以外はいたってシンプル。
18:ルクセンブルク
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エルペルダンジュのKuttan-Kass家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約3万8000円(347.64ユーロ)
好きな食べ物:エビピザ、ワインソースのチキン、トルコ風ケバブ
日本の青森県とほぼ同じ経済規模なのに、一人当たりのGDPが世界首位のという国。
ドイツとフランスの国境にあるこの小国、企業を誘致し、グルメで、国民は稼いで使うらしい。
19:インド
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マディヤ・プラデーシュ州のヒンズー教の聖地・ウジャインのPatkar家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約3200円(1,636.25インド・ルピー)
好きな食べ物:Patkar家特製ポア(米から作ったフレーク)
主教上の理由から鶏肉しか食べられず、その鶏肉も高いので月一回しか食卓に上らないというインドの家庭事情。
この家も例外ではないらしく、炭水化物と糖分だらけになっているのがよく判る。
実はインドでは問題意識のなさから糖尿病患者が年々増えているのだそうだ。食費が安いのはいいが、健康な体はお金では取り戻せない。
20:アメリカ・テキサス州
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テキサス州のFernandez家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約2万円(242.48ドル)
好きな食べ物:エビのアルフレド・ソースあえ、チキンモレ、スペアリブのバーベキュー、ピザ
米国人の食生活で驚くのが、乾物の量に対して野菜があまりにも少ない事だ。こんな生活で病気にならない方が可笑しいのではないかとみる度に思ってしまう。
この家のお菓子をみたら、クラッカーのリッツが二箱もあるのだが、これって一週間で二箱もなくなるんだろうか。
21:マリ共和国
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中南部のモプティ州にある町クアクロウのNatomo家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約2100円(17,670CFAフラン)
定番レシピ:Natomo家自慢のご飯
同じ炭水化物だけで暮らしているといっても、欧米各国とマリでは大違いだろう。
彼らは食べる量も少なく、精製していない米をスパイスで炊くので、栄養をそのまま頂くことになる。彼らの方が逞しく育つだろう。
22:カナダ
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1週間の食費:約2万8000円(345ドル)
ヌナブト準州イカルイトのMelanson家の人々と1週間で必要な食料
好きな食べ物は:イッカク、ホッキョクグマ、チーズたっぷりのクラスト・ピザ、スイカ
カナダも場所によって気候はいろいろ、イカルイトは一年を通して極寒のツンドラ気候が続く、イヌイットが住む地域だった。
どうして好物がホッキョクグマなのと思った人もいるかもしれないが、彼らが住んでいる所を考えると、不毛の地域なのだから仕方がない。
船舶の便は夏の間しか運航してない為、新鮮な魚が入ってくる事は皆無だろう。
そんな中、これだけ食材が揃うようになったというだけ凄いと思う。
23:フランス
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モントルイユのLe Moine家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約3万4000円(315.17ユーロ)
好きな食べ物:アプリコットタルト、カルボナーラのパスタ、タイ料理
パリでも庶民雑貨が買える蚤の市が開かれる街として知られるモントルイユ。
まとめ買いをしない、新鮮なものを少しづつ、体にいいもの、質のいいものを食べるがパリ流。
そんなこの家でブームになっているのは、タイ料理なのだとか。
24:グリーンランド
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Cap HopeのMadsen家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約2万3000円(198.48デンマーク・クローネ)
好きな食べ物:ホッキョクグマ、イッカクの皮、アザラシのシチュー
伝統的なイヌイットの食事で、糖質制限食でもあるグリーンランドの食事。
主食を占めるのは、肉や発酵食である事が判ります。
25:トルコ
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首都・イスタンブールのCelik家の人々と1週間で必要な食料
1週間の食費:約1万2000円(198.48新トルコリラ)
好きな食べ物:Melahatのクロワッサンパン
イスタンブールは、クワランプール時代からグルメ大国。
屋台では美味しそうなケバブや、スイミット(ゴマパン)、スパイスの効いたひき肉をナスに詰めたナスのひき肉詰めや、鯖サンドなど、ロカタン(食堂)では、
様々な料理が楽しめます。
今回のインタビューで、好きな食べ物を答えたのは、どうやらこの写真に映ってる男の子のようで、伝統料理ではなく、欧米から入ってきた食文化に興味があるようですね。
米国の写真家ピーター・メンツェルとライターのフェイス・ダルージオは、
かつてパプアの密林の奥地に住む原住民を訪ねた時、原住民がインスタントラーメンを生のままかじっている姿にショックを受けたそうです。
それからこの写真を撮り、各国の食文化に沿った食料提供がいかに大事かを知らせようとしたそうです。
ひとつの鍋の粥を分け合うスーダンの難民キャンプ、雨季のわずかな水に頼るチャド、氷上の狩で生活を支えるグリーンランド、ファストフードの溢れるアメリカなど、様々なお国の『食べる事は生きる事』を描いています。
この写真は今や『HUNGRY PLANET(ハングリー・プラネット)』という写真集となり、写真集には1週間分の食品リストだけでなく、各家庭自慢のレシピ、食の問題を提起する6つのエッセイが収められています。
日本の写真は、いかにも作り置きをしている、腹八分目の家。ですが、この様な慎ましい家が大半なのでしょうか。
口の悪い人であれば、ここまで慎ましくしていると『渋い』という人もいるかもしれません。
日本は食材にも、食料の種類にも恵まれ、なおかつ外食をしても中食でも、家で食べても税金は同じです。諸外国の様な物価の偏りはありません。
この事に感謝しなければいけないのではないでしょうか。
Hungry Planet: What The World Eats