日本では、子連れの母親がスタバや新幹線のグリーン車を利用しても咎められなくなったが、英国では事情が違うらしい。
英国のカフェで『12歳未満のお子様、入店お断り』を掲げた喫茶店が出てきた。
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話題の人は、英デヴォン州ブリクサムにあるカフェ『チャート・ルーム』のオーナー、ボブ・ヒギンソンさん(61)。
ヒギンソンさんは、1920年代~1950年代の遠洋定期船をテーマにし店の名前も『チャート・ルーム(海図室)』となっている。
店にはアンティークのガラス工芸品や船のエールがショーケースに入れられることなく飾られており、店の中に居ながらクルーズを楽しめるというものだ。店のコンセプトを理解しない客は利用して欲しくないという事なのだという。
優雅でぜいたくな、かつての蒸気船の旅をカフェで味わって貰うのが店のコンセプト。それを判らない人には利用して欲しくないというのだ。
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犬を連れて入店する分にはOKという事もあり、議論の的となったこの店。オーナーのヒギンソンさんは、テレビ番組に出て、何故12歳未満の子供を入店禁止にしたのか経緯を説明した。
『かつてのお客様は、年齢に限らず、躾も行き届いていて、お店の雰囲気をよく理解している方ばかりでした。ですが、店内の工芸品を、子供に壊されてしまったのです。最近のお客様をみていますと、ただこの店の雰囲気がいいからという理由で無理に子供を連れてくる親御さんがいらっしゃるのです。その子供さんのマナーの悪さが目立ちます。だから入店禁止にしたのです。』
ヒギンソンさんの言い分は賛否両論が沸き起こり、常連の一人だったウェンディ・ムーアさんは、
『一体何様なの? それなら自分が気に喰わないなら障碍者や皮膚の色、宗教が異なる人や高齢者も入店禁止にするんでしょ?普通そんな事しないわよね?じゃぁなぜ12歳未満の子供だけ禁止にするのよ。露骨な差別じゃない』といいヒギンソンさんが12歳未満の子供の出入禁止にした途端、行かなくなかった。
『言いたくないけれど、オコチャマとは一緒に食事したくない。例え親が、この子は大人しく躾が行き届いている子といってもだ。子供はうるさいものだし、子供がいるというだけで(くつろぐ場所)を変える必要もこれでなくなる。店主の決断には感謝している。
『いいアイデアだ、全ての場所が子供優先である必要もないしね。』
『子供をもつ親だけど、全ての場所に子供を入れる必要はないと思うよ。このアイデアは見習いたい。』
こうした意見が寄せられる中、当然のことながら反論もある。
『大人しい子供も一緒くたにして差別するなんてとんでもない話だな。だとすれば世の中には、お前が言う12歳未満のお騒がせな子供以上に、迷惑な大人だっているじゃないか。そういう輩ばかり集めてビジネスが成り立つのか?』
『もうこの店にはいかない。オーナーは自分の気に入った客だけ集めればそれでいいんだろ?だったらニッチな分野で客商売をすればいいじゃないか、知ったこっちゃない。』
『うちの娘は賢いし、公共の場じゃ大人しくていい子にしているのに、子供が目障りだという人の為の意見の様ね。これっておかしくない。』
両者の意見は、ぶつかることはあっても接点はなく、混じる事もない。
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『チャート・ルーム』は、日本で言うならば、私語厳禁の厳格な会員制の昭和の名曲喫茶の様な雰囲気を醸し出している。名曲喫茶は私語厳禁で、かかっている音楽がクラッシックレコードなのが殆どだ。そういう所に『自分が好きだから』という理由で暴れ叫ぶ子供を連れてくるだろうか?間違いなく出禁になるだろう。
事実ブリックハムのトーベイ協議会スポークスマンによるとカフェの子供を入店規制に関してはオーナーの一存で決められることが多く、こればかりは法律で裁く子事が出来ないのだという。
旅行サイト『latedeals.co.uk』の調査によると、英国人の3割が機内に子どもの立ち入り禁止エリアを設けるべきだと答え、大人専用の便に乗れるなら喜んで追加料金を支払うと回答した割合も約3割となっていた。ヒギンソンさんの行動は世論にのったものともいえる。
ヒギンソンさんは、ここまで自分のカフェに対する方針が物議をかもすとは思ってもいなかったらしく、かえって戸惑っているようだ。彼は子供嫌いでもなんでもなく21歳と24歳の子供がいる。
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日本では、さすがに12歳未満入店お断りと書いてある喫茶店は、ごく一部しか見かけないが、ヒギンソンさんと同じような理由で、就学前のお子さんの入店をお断りしますという張り紙を施した町屋カフェが、ここ数年で何軒も出てきた。原因は、子供を連れたママ友である。
子供を連れたママ友は、ママ同士のお喋りや情報交換に夢中で、子供を放置していた為、店内の設備を壊されたという店の苦情が相次いだ為だ。
今の親の親世代、つまり20年前だと、誰かの家に行くか、ファーストフード店やフードコートに子供を連れていくのが当たり前だった。それが、おしゃれな喫茶店に行くようになって、ヒギンソンさんの様なケースが起こったと思われる。
育児書『母親らしくない母親(原題:The Unmumsy Mum)』の著者サラ・ターナー(Sarah Turner)は、『米国では、子連れの親が周囲に迷惑をかけることをあらかじめ詫びる意味で、周りの乗客に、耳栓やガム、チョコレートバーを配るものよ』と話す。
さらに彼女はこう付け足す『食事の席で自分の子どもがナイフやフォークをドラムスティックのように打ち鳴らしていても平気な親はいるかもしれないけど、他の客はそうではないかもしれない。世の中の全員が自分の人生で子どもを持つ選択をしたわけではないでしょ?世の中には、子供を持つ人の意見が一番ってわけじゃないの。独身もいればDINKSも居るし、お互いの意見を尊重すべき。子供の居る親が私が私がというから、こんな問題が起こるのよ。』
日本では、新幹線のグリーン車に乗ってきた家族連れが、通路を走り回り叫び倒す子供を知らん顔して放置。回転寿司では子供が高級ネタを次々と注文しても、大人は戒めない。
スタバでは、空っぽのベビーカーを通路に置いた若い母親が、LINEに夢中で、子供は店内で暴れるか大声で泣いている。
大手フランチャイズ店も、これだけ店があるならば、子供や制服の学生が入店出来ない店を作ってみてはどうだろうか。
それはそれで客層が変わるだけで、店の売上は変わらないと思う。
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