’17年8月末から、全国MOVIX系列で公開されている『ボブという名の猫、幸せのハイタッチ』は、35か国に翻訳されたベストセラーが原作だ。
映画のモデルとなったジェームスは、1979年英国南東部サリー生まれ。
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3歳の時に両親が離婚し、母親に引き取られるが、内向的な性格もあり、いじめの標的にされ、暴力的な母親の再婚相手には相手にされず、18歳で父親の住む英国ロンドンに渡英、ミュージシャンを志す。
しかしミュージシャンの道を挫折し、麻薬に手を出した彼は、所持金が底をつき、気が付けばホームレスに。
路上で演奏しても人々が素通りする生活を送っていた彼は、ある日倒れ、病院に搬送され、国の麻薬中毒更生プログラムを受ける事を前提にアパートを提供して貰えるようになったものの、一か月の所持金は25ポンド(3192円)しか支給されなかった。
映画では、ジェームスが父ジャックにクリスマスに家に行ってもいいか尋ねる場面が出てきて、父の再婚相手の女性に露骨に嫌われ追い返されるシーンがある。
その時にジャックは、ジェームスに、当面の生活費を渡してた様だが、実際はそんな甘くはなかったようだ。
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映画でも、怪我をしていたボブを治したのは、父に貰った金でと説明されているが、実際は、国から支給されている一か月の支給金だったので、もしもその月、ストリートパフォーマンスで稼ぐ事が出来なければ彼は飢え死にしていたかもしれないのだ。
ジェームスがボブと出逢ったのは’07年。ミュージシャンを目指し始め、早10年が経過し、彼も30前となっていた。
それでもボブの治療に28ポンド(約3575円)を払い、所持金がなくなったジェームスは飼い主を探しはじめるが、飼い主は現れず、公園にボブを放すが、どこに置いて来てもボブは彼の後をついてきた。
仕方ないので、ジェームスはボブを連れてストリートパフォーマンスをすると、最初は不思議そうに見ていた人も、チップを置いて行ってくれるようになり、ジェームスのパフォーマンスには人だかりができるようになった。
しかしそれを快く思わない近隣の住民から恨まれ、ジェームスは『チップをくれと要求してる』と脅迫していると容疑をかけられ脅迫罪で逮捕されてしまう。
映画では、いかにもジェームスは何も悪い事をしていない冤罪という風に描かれているが、原作では、ここまで成功する以前に警察と何かと揉め事を起こしていて、目立つ事でいつなんどきつかまっても可笑しくなかったと後から言っている。出る杭は打たれるというが、中途半端に出た杭が打たれる事を彼は身をもって知っていたのだ。
ストリートパフォーマンスとして人々に人気が出た頃、ジェームスは客と揉め事を起こし警察に抑留され、今度は路上パフォーマンスそのものを禁止されてしまう。
食い扶持を奪われた彼が、次の就職先として選んだのは、ホームレスの自立支援として知られる『ビッグイシュー』の販売員の仕事だった。
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ボブを連れて販売するジェームスの売上は瞬く間に人気となり、他の販売員の妬みを買うことに。
ジェームスは、ファンに請われ販売区以外でビックイシューを売ってしまった為、営業妨害として一か月の販売自粛を命じられる。
映画のこのシーン、ジェームスは、販売自粛期間中の一か月、目立たない所でストリートパフォーマンスをして糊口を稼いでいたというが、実際は販売区間外でビックイシューを売っていた事もあったというのだから、映画は美化しているのだろうと思うし、きれいごとを書かなかったからこそ原作は売れたのだろうと思う。
だが販売自粛から解けたあとも、彼を試練が襲う。ボブが居なくても彼は『彼らしく一人で生きていけるか』ボブに試されるのだ。
ジェームスはある子連れのお客さんから、ボブを売って欲しいと頼まれる。
勿論売り物ではなく、ジェームスにとって命に代えられない存在になっているボブは売る事は出来ない。しぶとい母親と口論になったジェームスの間に、運悪く大型犬を散歩させていた通行人がリードを手放してしまい、ボブを追いかけた事から、ボブが行方知れずになってしまう。
数日、ボブが帰ってこなかった事によりジェームスは情緒不安定になり何度も薬物を買おうとするが、振り切って逃げる。
路上ライブ中止になった時に、代用薬物を買う所を恋人に見られ信頼を失ったジェームスにとって、今、薬物に手を出すという事は人生の終わりを意味していた。
部屋に戻ると、そこに居たのはボブ。
ジェームスは、ボブの姿を見て今度こそ薬物を絶つ事を近い、それと同時に彼には、本当の幸せという名の道が開けてくる、つまり、今までのボブとの道のりを本にするという事だ。
映画は、今まで疎遠にしていた父親との和解、恋人との復縁、見守ってくれた更生プログラム担当者からの支援を描き終わる。
現在ジェームスは、ストリートパフォーマンスで貯めた金で家を建て、印税は寄附に回しているという。
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昨年の11月には、ジェームスは猫カフェをつくろうと寄附を呼び掛け、英国の多くの猫愛好家が寄附した。
寄附で18か月で162.000ポンド集める事が出来たものの、猫カフェ開業資金には到達できなかったのが現状だったらしい。
『彼は、文筆業やビックイシューを売るのには長けていても、リチャード・ブランソン(英国の実業家で、ヴァージン・グループの社長)の様な
大会社や一大プロジェクトを動かす実業家ではないという事かもしれないね。』とジェームスの代理人は語った。
が、今回映画が公開されているので、もう一度猫カフェの寄付を呼び掛けてみてはいかがだろうかとおもう。