脊髄性筋萎縮症(SMA)で、国が特効薬使用を認可せず余命3カ月の危機に


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産まれて半年弱で脊髄性筋萎縮症(SMA)となり、自力で呼吸する事もできない赤ちゃんが命の危険に晒されている。

SMAの特効薬は、’18年11月に認可されたばかりの、バイオジェン社がリリースした『スピンラザ(一般名・ヌシネルセンナトリウム)』だが、英NHSは新薬が高額である事と患者の数が少ない事を理由に、使用を許可していない。


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命の危険に晒されているのは、英マンチェスター・ウィゼンショーに住む、パキスタン移民二世のシャキール・カーンさん(31)と妻のレナータさん(26)の間に生まれたハリス君(生後6カ月)だ。

ハリス君は、ウィゼンショー病院で、’18年8月に生まれたばかりの頃は、元気がよく、いつもニコニコしている赤ちゃんだった。

しかし生後8週間の定期健診があった10月に首がすわらない事が判った。首だけではなく手足や腰の関節も全く固定しない。『体全体がぐにゃぐにゃで、自分で動けなかったんだ。最初は首のすわりが悪いんだと思っていたら体全体がそうだったから病院の定期健診のついでに診てもらったんだ。』シャキールさんは当時を振り返る。それがすべての始まりだった。

が、ハリス君を診察した医師は、ハリス君の全身の関節が、ぐにゃぐにゃなのは他に重大な病が潜んでいるとし、緊急入院させ検査をする事に。

ウィゼンショー病院では正確な病状が判らない為、ハリス君は’19年1月に国立マンチェスター小児病院に搬送された。この時まではカーン夫妻も、ハリス君の兄のマリジャス君も、ハリス君の身に難病が降りかかるとは思っても居なかった。


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検査結果が判ったのは、今年のバレンタイン・デー。看護婦が夫妻に告げたハリス君の病名が、SMAだった。

SMAは、発症時期により、5つの型に分類されるが、0は出生前で、患者の大半を占めるのが生後6カ月までに発症する1型だ。
呼吸や嚥下といった生命維持に必要な身体機能に支障をきたす上、呼吸補助なしに生き残れる患者は1歳まで、ほとんどいないという難病だ。

SMAは日本では指定難病の一つになっており、国内の罹患率は10万人に1~2人。国内でSMAの特定疾患医療受給者証を持っている人は、’16年で855人。1型は赤ちゃん2万人に1人とされている。

ハリス君が診断されたのは、生後6カ月を迎えるか迎えないかという時。だが国立マンチェスター小児病院が、ハリス君に施した治療は人工呼吸器をつけるのみだった。
’18年11月に認可されたバイオジェン社のスピンラザの使用が認められていなかったからだった。
©biogen.com

日本では1瓶1000万円する高額な新薬で、最初の1年の治療で5000万円以上要る。バイオジェン社は希少疾患や特別疾患を持つ患者に的を絞ったバイオテクノロジー製薬会社だ。研究開発費用も高額である。

英・保健省配下でNHSのガイドラインを作る英国国立医療技術評価機構(NICE)は、NHSに対し、スピンラザの処方を現場で勧めないように指導していた。

NICEの幹部の1人は、Dailymail社の取材に対し『英国の保険医療の現状を考えるとSMA患者に対し、これ以上のケアを施せない』というのだ。

シャキールさんは、英国のふがいなさに嘆く。『この病気になる子供は、うちのハリスを入れても国内で僅か100人。その100人を英国は見捨てるのか。ここは発展途上国じゃない。先進国だったはずだ。医療を受けられると思い私の父がパキスタンからやってきた国のはずだ。』

ハリス君の病が見つかった時、シャキールさんは父親の体にガンが見つかり看病しなければいけなくなり、仕事をクビになった。その為一家は無職だ。無職の上に親の看病と子供の難病が一気に降りかかってきた。

世界初のSMAの特効薬スピンラザは、日本初のアンチセンス核酸医薬だ。体の中で疾患の原因タンパク質の情報を書き換え、正常なタンパク質情報に書き換える事で、SMA特有の肢体不自由をなくす働きをする。

負荷投与終了後の注射が必要で、年に4回注射を打たなくてはいけない。スピンラザの承認を皮切りに、SMA分野での新薬開発、承認申請が相次いでいる。

しかし価格がネックとなり、広まりそうにないのが現状だ。1回原価1000万円の新薬に、おいそれと飛びつけない。

それだけに治療の効果は目覚ましい。
薬学で異例のスピード承認となったスピンラザだが、英国で初めてスピンラザ治療を行った、アナベル・ローズ・トーマスは投薬開始から2年で、呼吸器を外し、ふつうに歩ける様になり、馬にも乗れるようになった。


©Danyelle Sun

米ミルウォーキーに住む、ルビー(6歳)とランドン(3歳)は、2人ともSMAで、ルビーはスピンラザの治験に参加した。
二人は車椅子だったが、スピンラザを処方する事で、歩ける様になり今ではスイミングプールで水中ウォークも出来る様になっているという。ランドンは体を動かす事もできなかったが、治験の最終段階から親が参加させ、この通り元気になった。

世界には多くのSMA患者がいて、スピンラザが安くなれば使用したいと思う人が居る。
英国の様に、EU離脱により、医療財政破綻問題を抱える事になるかもしれない国家にとって、新薬の費用を国が負担するとなれば国の医療そのものは破綻する危険性はある。


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シャキールさんは、’19年3月に、NICEの本部前で、スピンラザの使用承認を求めデモを行うという。それは自分の息子のためだけではない。同じ病気で苦しむ子供たちの為でもあるのだ。

『新薬が発売されても、高額な為に使用できず死ぬのを待つしかない子供たちの方が多いはずだ。私たちがデモをする価値は大いにあると思う。』

NHSの代理人は、シャキールさんの様な貧困家庭に満足な医療サービスを届けられない事を非常に残念に思う。だが、これは薬価を下げようとしないバイオジェン社に責任の一端はあると製薬会社に罪をなすりつける声明を出した。


©Just Giving
現在、カーン夫妻は、ハリス君の為に国外で治療を受ける方針を模索し、
募金を募っているという。

Boy, six months, whose rare genetic condition leaves him unable to breathe has just MONTHS to live because the NHS can’t agree a price for a ‘miracle drug’ that costs £450,000
https://www.dailymail.co.uk/health/article-6751085/Six-month-old-boy-just-months-live-NHS-refuse-pay-miracle-drug.html


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