英国の有名な失踪事件のひとつに『ルーカン伯爵失踪事件』がある。
ギャンブラーとして有名だった第7代ルーカン伯爵(1934年~)は、’74年に地下室で乳母のサンドラ・リベットを殺害した容疑をかけられた。
その翌日彼は失踪。今日まで見つからない。謎の失踪の末路には幾つもの都市伝説が浮上しているぐらいだ。
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石を抱いて海峡に沈んだ、拳銃自殺した、はたまた友人の経営する動物園の虎の餌になったなど、数え切れない。
その中で、ロンドン警視庁(スコットランドヤード)が有力視したのは、ルーカン伯爵は近年まで生きていたという説だった。
ルーカン伯爵は、事件後、旧ドイツ領(一部英国)のナミビア共和国に逃げ込み、昨年まで生きていたという説が有力となったのだ。
その説が確定した後、英国高等法裁が正式にルーカン伯爵に認定死亡を通達。息子のジョージ・ビンガムが爵位を継ぐ事となった。
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ビンガム氏は、まさか爵位を継ぐことになると思わなかったので結婚し娘にも恵まれ普通の生活を送っていた。
『父は有罪無罪に関らず、父は40年以上前に失踪してから自分の人生はないも同然だったに違いない。失踪してから私生活も、私たちを取り戻すチャンスも与えられなかったのだから。』とコメントしている。
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そんな中、ルーカン伯爵の妻である、伯爵夫人が、伯爵についてのドキュメンタリーを撮る事に了解したというのだ。
関係者一同が『終わった事』として了解しているにも関らず、彼女だけが自分の人生は台無しにされたと言わんがばかりに、悔恨のドキュメンタリーを作るという。
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しかもその映画に出演する事も了解しており、出演料の5600ポンドは受取り済という。
夫人の関係者の話では、満足な慰謝料も地位も名誉も伯爵なしではもらえなかった夫人の最後の復讐なのではないかと言われている。
一方被害者のサンドラ・リベットの息子ニール・ベリアンは、ビンガム氏に何ら恨みはないという。
『あの夜に起きた事実から、ビンガム氏や関係者が逃れる術はないだろう。ルーカン伯爵に何か後ろめたいところがあるから、こういう事になるのでは。』とコメントしている。
夫人と彼女の娘、息子とは疎遠になったのも今回のドキュメンタリー作成のきっかけになった事は確かだろう。