今でこそ災害救助犬の地位は確立されつつあるが、一昔、二昔前まではそうではなかった。
その先駆けとなった最後の救助犬・ブルターニュが6月6日永眠した。
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享年16歳。
その栄誉を称え、引退時や葬儀の日に、消防士たちが最敬礼して見送る姿は、
日本では異例かもしれないが、災害救助犬たちの最初の任務が、9:11と考えると、
救助犬の果たした役割がはかりしれないものである事が想像がつく。
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ハンドラ―であり飼い主のデニス・コーリスさんは、’99年、
捜索・救助犬養成に加わるように命令を受けてから、ブルターニュを飼い始めた。
皮肉にもブルターニュの初仕事は、911。
ブルターニュと共に、テキサスの特殊部隊からグラウンド・ゼロに派遣された救助犬は
300とも言われていた。
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1日に12時間も働き詰めで睡眠時間は4時間という過酷な任務もこなした。
ブルターニュが活躍したのは、911だけでない。
’04年9月のハリケーン・アイヴァン、’05年8月のカトリーナ、’05年9月のリタの時も
災害ある所にブルターニュは救助犬として出動していた。
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力強い災害救助犬という役割だけではなく、ブルターニュが評価される所以は、
心を開く事が難しい子供たちにも自然に寄り添えることだった。
確かに、9:11で活躍した災害救助犬はレトリバーが多く、ハンドラーのPTSDを
和らげることでも知られている。
が、ブルターニュは地元のロバート・ロード小学校への訪問をした時に、
読み聞かせ時間の時、学級に居る自閉症の子供たちの心を和ませていたという。
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しかしブルターニュも平均寿命には勝てなかった。
レトリバーの平均寿命は12歳。
13歳の時に、四肢の関節が強張り、家の階段も昇れなくなったので、
コーニスはプールで泳ぎリハビリをさせるようにした。
その甲斐もあり、奇跡的に回復し、昨年はNYで誕生パーティを開いた程だった。
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しかし今年に入り、ブルターニュは、腎不全が悪化、何も食べられなくなってた。
回復の見込みはなく、安楽死をとる形となった。
最後の夜は不安そうだったので、ずっと添い寝をしてあげたというコーニス。
サイプレスのボランティア消防団のデイヴィッド・パドヴァンはこう言った。
引退した後も、救助犬として活躍しようとしていた。救助犬の中の救助犬なのだと思う。
長く生きて誰よりも活躍していた。
大勢の人々と敬意に包まれ、ブルターニュは仲間のもとに旅立っていったのかもしれない。