長年住んでいる変わり映えしない家を、お金も時間もかけずにオシャレにしたいのは万国共通の悩み。
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そんな悩みに答えてくれるのが、セレブ御用達のインテリア・デザイナー、リタ・ケーニッヒ(Rita Konig)だ。
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彼女の母親は75歳の今も英国で第一線の現役トップインテリアデザイナーとして活躍するニナ・キャンベル(Nina Campbell)。
王室邸宅デコレーターに選ばれ、サヴォイ・ホテルのインテリアを手掛ける母親の下でキャリアを積んだケーニッヒは、母親の持つ優雅かつ実用的なインテリアのセンスと同時に『使いよさ、ここちよさ』を追求したインテリアデザインを提唱している。
ケーニッヒは、顧客の名前を口外しないことでセレブから一目置かれているが、彼女のポートフォリオをみれば一目瞭然。NYアッパーイーストサイド、ノッティング・ヒルなど、手掛けた所で、どの有名カフェもしくはセレブのフラットを手掛けたか一目瞭然なのだ。
住みやすい家はどんな家ですかと聞かれたら『あなたが部屋の中でどう感じるかよ』と答えるケーニッヒ。
『バッキンガム宮殿やサン・ビセンテ・バンガローズで足のばして、伸び切ったセーター来てスマホできる?出来ないわよね。自分が自分らしくなれない家なんてありえないわ。』
そんな彼女が提唱する『誰にでも出来るオシャレで明日から出来るセレブ風リフォームのコツ』は、どの様なものだろうか。
英誌記者の玄関も、お金かけずにスッキリ!
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今回彼女が 久々に故郷英国ロンドンに帰りDailymailの女性記者・Jennie Agg(写真左)の家をリノベーションする事になった。玄関前をリノベするのだが、下の写真はリノベ前だ。
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リノベ前は玄関前の両脇に靴箱があり何となく狭いイメージがある上全体的に、どよんと暗く見える。変わった点は以下の通りだ。
1:玄関前の靴箱と白い収納箱撤去
2:代わりに、長イスと木製の椅子を体面に置く
3:玄関側の壁に壁と黄色のボックスと籐の籠を置いて収納にする
4:玄関の窓際に鍵や、メガネなど細々としたものをいれたボックスを置く
5:全体的に明るく見える様に細い玄関ライトを設置
6:壁と玄関ドアの色調を合わせる為に、ペンキで塗る
7:壁はギャラリー風に絵を飾る
8:玄関中央に丸テーブルを置いて花をいける
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『家の大きさを変える事は出来ないけれど、雰囲気は変える事は出来るわ。今回は家具の配置や壁の色を変えて、狭く見えないようにしたの。間取りを広くみせて空間を広くとる、これも住みやすい家にするコツよ。』
『顧客によればシルクのラグが敷いてある家もあれば、犬8匹飼ってる家もあるわ。人によって住み心地もインテリアも違うし要望は違うけど、私が顧客の要望に応える為に大事にしている事はいつも同じなの。』
彼女が顧客の要望に応える為に、常に心がけている事とはなんだろうか?
寝具に一番お金をかける
彼女が、リフォームを思い付いたのは、仕事の都合でマンハッタンやロンドンのフラットに住まなくてはいけなくなったからだった。
『どんな条件の不動産でも、住みやすく居心地のいい家にすること。それが私のポリシーよ』
そんな彼女のポリシーは以下の通りだ。
1:家の中で一番質とお金をかけるのは寝具
2:ダイニングはラボの様に冷たくせず見栄えと機能を両立させる
3:キッチンツールは、手に届く所に置く
4:鍵や時計、ジュエリーは、トレーやボックスに入れる
5:柄物を取り入れる事を恐れない、壁に絵をギャラリー風に飾る
6:もし壁の色を塗るのに迷ったら白、壁とドアトリムの色は合わせる
7:テーブルを置くのはセンターか窓際、花を飾る
意外かもしれないが、彼女が一番お金をかけるのは寝具であり、重視するのは質と、ブランドが長年生産国で支持されているかどうかという事だそうだ。
彼女が選んだのはフランスの最高級リネン、デ・ポルトー(D.Porthault)のベッドカバーやピロー。SOAK AND SLEEPのピュアフレンチ・リネンや、Peter Reedのエジプト綿の寝具だという。
さすがに海外製品は手が出ないので、日本国内で手に入る綿や麻で評判の寝具にお金をかけるべきという事になるのだろう。
家の中に花や絵を飾るというのも判る。
『難しければ家の中に常緑で強い植物を日当たりのいいところに置いてみて。それだけでも変わるわよ。』
テーブルを窓際に置くのは何故か?
住み心地の良い家は、楽に掃除が出来る家だというケーニッヒ。
その点でテーブルは居間の真ん中に置くか、長方形のテーブルであれば窓際の隅に置くか、どちらかにした方が良いと勧めている。
『いつか掃除しようと思って数週間って家じゃ、いつまでたっても片づけられないわ。お客様様のテーブルの上に、色んなものが散らかりっぱなしってのは、よくあるわ。生活に必要なものは手に届く所に置いておくことよ。』
キッチンを機能的にしつつ美観を保てというのは、難しいかもしれないが、この写真の通り、工夫次第では、出来るかもしれない。
今までキッチンの隅っこに置いていたカップもこの通り色とりどりになる。
ボールペンやメモ用紙、調味料、果ては時計、ジュエリー、ネイルなど、ついつい出しっぱなしになってしまうものは、切手盆の様なトレーに入れておくことをお勧めしているケーニッヒ。
彼女は、英国のインテリアデザイナ、ジェムス・ローサーが立ち上げた漆器メーカー『ザ・ラッカー・カンパニー』とコラボし、オリジナルの切手盆を出している。
『日常のちまちましたモノを入れておくのに、オシャレなトレイがあればいいでしょう?これぐらいのサイズだと持ち運びに便利だもの。』
もちろんケーニッヒが発売するこのトレイは高い。切手盆サイズで2万以上もする手塗りの漆器だ。そこで彼女は、日常生活に取り入れる為こんな代替案を用意している。
『気に入ったお皿に時計を載せておく、お菓子の箱にいれておくだけでもいいのよ。』
インテリアの壁の色だが、もしも塗るとすれば最後の方に決めればいいというケーニッヒ。
『迷った時は白がベスト。白はどんな家具の配色のジャマにもならないわ。違う色や柄物の壁紙を組ませたい場合は、柄物の色、壁紙の色のトーンは必ず合わせてね。』
この家はベースは緑のペインティングだが、キッチンを白の配色にしたことで色は引き立つようになっている。ケーニッヒは『家の中に家具でも壁でもどこか一つ広い面積で白を入れてほしい』と言っている。
そんな彼女もマンハッタンのフラットにいた時は、自分の仕事部屋とキッチンを分けなければ、仕事モードに切り替える事が出来なかったという。
『家が片付かないという人は、この部屋、もしくはスペースの中だけは、ちらかしてもOKという所を作って。私の場合は自分の書斎よ。』
セレブ御用達のインテリア講座がオンラインで?
リタ・ケーニッヒは、1973年生まれの47歳。
母ニナ・キャンベルの店を手伝う事からキャリアをスタートさせた彼女は、産まれた頃から上質なインテリアに囲まれて暮らしていた。
母親がエレガントかつ華やかで実用性のあるものを追及したのに対し、ケーニッヒはエレガントとシンプルさ、なおかつ『住む人が過ごしやすい家』を目指した。
’14年にセレブのライフスタイル雑誌『T Magazine』の欧州編集員、同年にWSJ Magazineの欧州編集員となりパリに滞在。英国を代表するインテリア雑誌『House & Garden』の編集を手がけた事で英国での地位を不動にした。
『Elle Decor』でコラムを連載し、キャリアを積み上げ、セレブ御用達となり、昨年セレブの隠れ家的会員制ホテル『サン・ビセンテ・バンガローズ』のインテリアを手掛けた事と、顧客の個人情報を守ることで信用度を獲得した。
そんな彼女は言う『私は、House & Gardenを読んでいるクラッシックな英国風ガーデンが好きなタイプでもないし、いかにもドセレブってタイプでもない。いい仕事をしたいだけなの。』
この度彼女が手掛けるのが、オンラインインテリア講座だ。
『Create Amademy』が提供するもので、 127ポンド(17160円)で彼女のメゾットが学べる。
今回紹介させて頂いたことはオンライン講座のごく一部。
ケーニッヒのインテリアメゾットをこの価格で学べるというのは安いのではないだろうか。