この庭というかジャングル、どこの東南アジアのリゾートかと思うが、実はズブの素人のオッサンが20年かけて
自宅に作ったリゾートガーデニングなのだ。
©Benjamin Paul SWNS.com
その費用、15000ポンド(約218万円)。
20年で、これだけしかかかってない上、年間維持費は、200ポンド強(約3万円)というのだから、もしかしたら日本で自宅でオープンガーデン作ってる人よりもずっとコスト安いかもしれないという、オドロキなオッサンなのである。
しかし、このオッサン、手間暇だけはものすごくかけていた。
それだけでなくガーデンの本場、英国でやってるだけあり、ガーデンを作るだけにとどまらない活動をしたのだ。
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このオッサンの名前はニック・ウィルソン(61)。
英国北部のリーズ在住で、家族で20年以上前に、英国南西部のコーンウォールに出かけて以来、すっかりガーデニングに魅せられてしまったらしい。
コーンウォールといえば、ファルマスにある。敷地面積は34000坪のトレバーガーデンが有名。
ファルマスはコーンウォールの南部なので、温暖な気候で、地中海産やチリ産の亜熱帯植物も敷地内で植えられている。
英国なのに、アジサイや孟宗竹が観れるのもここだけかもしれない。
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が!英国北部のクソ寒い所で、ファルマスと同じガーデンを作ろう!と無謀極まりないたくらみをしたのが、ニックさんだった。
ミジンコ程でも知識があるガーデナーであれば、そんな事はしない。
彼がズブの素人で、なおかつ情熱をとめられない性格だったからこそ、20年も巧く行ったのだろう。
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さすがのニックさんも、コーンウォールの家族旅行から帰ってきた’90年代初頭は、家の隅っこで細々と孟宗竹を植えたり、亜熱帯植物を日当たりの良さそうな所に植えたりして、趣味の仲間と実験的にガーデニングをする程度にとどめていた。
それが留まらず、ニックさんの趣味の仲間が、もう少し庭を大きくしてみたらと背中を押したのがきっかけで、ニックさんの庭は本格的になってしまう羽目に。
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『まさかこんなに大きくなるとはね。観葉植物、亜熱帯性植物一つをとってみても、フワフワしているもの、スラっとしているもの、柔らかいものをバランスよく組み合わせようと思ったら、いつの間にか、庭の規模がこんなに大きくなってしまったんだよ。』
ニックさんは、’98年ごろから、本格的に自宅の庭の拡張工事に乗り出し、設計図、完成予想図まで、この通り書き出した。
まさかこれが20年後の完成になるとは本人も、家族もつゆ知らず。
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『僕の庭造りのコンセプトは、英北部のリーズに、コーンウォールのファルマスのあの植物園をもってくることさ。』
何をバカな事を、と思うが、ニックさんは本当にやってしまった。その為に、家は壊すわ、大掛かりなコンサバトリーは作るわ、やれやれである。
『亜熱帯風のガーデンにするために、欠かせないのが、シュロ、グンネラ(オニフキ)、ヘゴの木、孟宗竹だよね。』と嬉しそうに言うニックさん、が、これらの植物なり、木はタダモノでないぐらい大きい。
ちなみにオニフキは、日本では’90年の花博で初めて紹介された植物で、世界一大きな葉っぱをつける植物として紹介され、成長すると3mぐらいの大きさになるブラジル産の植物。
これを家に複数モソモソと植えよう!というのだ、しかも竹やシュロも植えて、ヘゴの木に至っては、小さいモノはミニ盆栽感覚で育てられるが、大きくなると8mになる代物。
その上、ガーデンの中に池もつくると言い張るのだから、やりたけりゃやれと言うだろう。
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『僕が一番幸せだったことは、家族のだれも反対しなかった事さ。妻も全面的に協力してくれたし、孫は遊びに来てくれた。息子もね。それだけでも嬉しいよ。』
オッサンの無謀な夢を支えていたのは、何よりも家族だったかもしれない。
ニックさんの無謀ともいえる庭は、6月25日に完成。
感性披露会を兼ねて、ニックさんは、St.Gemma’s Hospisに寄付するオープンガーデンイベントを開いた所、500人以上来場し、2500ポンド寄附が集まった。
これに気を良くしたニックさんは、7月の始め、キュリー夫人財団のガンチャリティに寄付するための、オープンガーデンイベントを開催。またもや来場者が殺到し、寄付金を集める事に成功した。
これだけ沢山の植物を、お世辞にも向いていない気候で育てているニックさんだが、何か秘訣があるのだろうかと、いうと。
『実は私のガーデニングは、実験の場でもあるんだよ。毎年新しく入れ替えている植物も三分の一ぐらいはあるしね。』と答えているという。
毎年新たな発見があるから、楽しみにしているガーデナーもいるのだろう。
それにしても、ここまでやると民間植物園の領域だ。