元モサド(イスラエル諜報特務庁)の女性諜報員は、大枚はたかれても何故ワインスタインを裏切ったのか?
ハリウッド大物プロデューサーで、映画配給会社ミラマックスの元社長・ハーヴェイ・ワインスタインが、ハリウッド女優・俳優からセクハラ訴訟を起こされるのを恐れ、イスラエル退役軍人や元諜報部が所属すると言われるBlack Cubeに、揉み消しを依頼していた事が発覚した。
問題が発覚したのは、ワインスタインを訴えた女優の1人で『ワンス・アポン・ア・タイム』などの出演作がある、ローズ・マッゴワーンさん。
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彼女に近づいたとされるブラック・キューブの探偵が、元モサドだったというのだ。
名前はステラ・ペン。推定年齢30代半ばで、任務遂行時には『ダイアナ』もしくは『アン』という偽名を使って行動していた。
ワインスタインを訴えた女優、グィネス・パルトロウに似ていなくもない美女だ。
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ステラさんは、ユーゴスラビア生まれで、’94年にイスラエルに移住。
兵役時には空軍に従軍し、在米、在豪大使館職員経験もあり、英語、ヘブライ語、セセルビア語に堪能な才媛。
’10年には演技学校を卒業して女優としても活躍していた。
その経歴を見込まれブラックキューブにスカウトされたという。
ステラさんが、任務を受けたのは昨年10月。
ワインスタインが、自分を訴えるであろう10人の女優をブラックキューブにリストとして挙げ、ステラさんの所にターゲットとして挙げられたのが、マッゴーワンさんだった。
ステラさんは、ダイアナという偽名を使い、Rueben Capital Partnersという女性権利団体で働いていると身分を偽り、マッゴーワンさんに近づいた。
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そして自分もワインスタインから性的暴行を受けたように装い、ブラックキューブからの情報を頼りに、マッゴーワンさんの情報を聞き出し、自分の正体がバレないように、女性活動団体のイベントも企画し、カリフォルニアやNYなど、彼女の居る所に時間を作って逢いに行き、彼女を誘い出そうとした。
するとマッゴーワンさんは、ステラさんの行動を誠意と取ったのか、近いうちにワインスタインを告発する意味で、自叙伝を出すとゲラ刷りの原稿を彼女に見せたのだという。
その本には、今までステラさんが知らなかったワインスタインの汚職の全てが書かれていた。
ステラさんは、ゲラの全てをコピーし、マッゴーワンさんに、告発すべきだと背中をおした。そして今回の次々と俳優や女優による告発劇がなりたったのだという。
『確かにブラックキューブはワインスタインから多額の報酬を貰っていた。でもそれ以上に私は彼女に背中を押されたのよ。』ステラさんはそう語る。
マッゴーワンさんがワインスタインからセクハラに遭ったのは’97年のサンダンス映画祭の時の事。
彼女はその時示談として10万ドル(1100万円)貰っていたが、機密保持条項は入っていなかった。
これを危惧したワインスタインの側近が、口止め料としてマッゴーワンさんに、一か月前、口止め料として100万ドル(約1億1000万円)提示してきたが、彼女は頑なに断り、600万ドル(6億8000万円)以上の示談金でないと受け取らないと言い張ったという。
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『もっともどんな金額を提示されても受け取る気はないわ。お金で解決できることではないのだし。それで今まで解決してきたことなのだとすれば、おぞましいことでしょう。』マッゴーワンさんの叫びが届いたのか、彼女を筆頭に次々と女優たちがワインスタインから受けたセクハラを明らかにした。
が、マッゴーワンさんは、自分にきっかけを作ってくれたとはいえ、ステラさんが元々はワインスタインの手先で、しかも元モサドの人間だった事についてはショックを隠し切れなかったようだ。
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ステラさんは、NY TIMESなどのメディアの人間に接する時は、アナという偽名を使い逆にワインスタインの動きを探っていた事も明らかになった。
雇い主の素性を知る事も念を入れての事だったのだろう。
ブラックキューブには、ワインスタインのセクハラ疑惑を収めるだけでなく様々な疚しい事を収める為に、億単位の依頼金が弁護士やビジネスパートナーを通じて流れれていったことは明らかだ。
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amfAR(エイズ研究財団)の会長を務めるのがファッションデザイナーのケネス・コールだが、ここに莫大な寄附をしているのがワインスタイン。
財団の顧問弁護士であるトーマス・アジャミーは、ここ数年見慣れない人間が事務所に出入りするどころか、財務会議に出席する姿まで目の当りにしたという。
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『気になるし、こんな事を言ってはなんだけど業務上の邪魔になるからケネスさんに聞いたのだけど、彼らは特別な任務で来ているんだって聞かされて。見ざる言わざる聞かざるを何年も通さざるを得なかった。』
彼が『見慣れない人間』の正体がワインスタインの金で雇われた外部の人間だと知るのは、全てが明るみに出てからなのだろう。それだけワインスタインが、セクハラ揉み消しの為に払った金は高額だったのだ。
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ワインスタインの顧問弁護士の内、男性弁護士は今回のセクハラ疑惑について否認しているが、女性弁護士はとうの昔に辞任している所を見ると、バカバカしくて辞めてしまったのだろう。
アカデミーを主催する映画芸術科学アカデミー(AMPAS)は、10月14日付で、
ワインスタインを同協会から追放する処分を決定。
セクハラ疑惑のみならず、彼の妻が手掛けるビジネスにも問題がある。
ワインスタインの妻・ジョージナ・チャップマンが手掛けるブランド『マルケッサ』は、今やアカデミー賞のレッドカーペットを歩く女優御用達ブランドになっている。
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が、事件発覚後、ジョージナはワインスタインと離婚。そんな人だと思わなかったという失望感が彼女を離婚に追いやったのだろう。
ワインスタインが今回の一件でアカデミーを追い出されたら、女優も好きなドレスを着る事が出来るかもしれない。
アカデミーの理事会は
『尊敬に値しない人間は追放すべきで、性的暴行や職場でのハラスメントを、
見て見ぬふりをさせたばかりか、共犯におよばせる時代はもう終った』とコメントしている。
一方、彼に雇われ、部下の裏切りにより大番狂わせを迎えたブラックキューブのオフィスは知らせをうけた月曜に大パニックになった。
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