今月12日 、英国をはじめとする複数の医療機関や他の企業がサイバー攻撃を受ける中、影で戦い続けた神童が居た。彼の名前はマーカス・ハッチンス(22)。
©Marcus Hutchins
英国の某海岸近辺在住の青年で、 Wanna Cryptor系マルウェアが先週末、各企業にサイバー攻撃を仕掛けようとしているのを未然に防いだ一人として知られている。
ハッチンスは報復を恐れネット上ではハンドルネームを変え、IDを隠し暗躍している身だが、今回はDailymailの独占インタビューに答えた。
ハッチンスは英国で弟2人と両親の4人で暮らしていて、大学を出ているわけではない。
『学校は本当につまらなくて、どうやってサボるかばかり考えていた。何かスキルを身に付けなきゃと思ってコンピューター専門学校に通ったんだけど、そこで教えてくれる事も、退屈で、ゲームばかりしてた。』
彼は独学でプログラムやコンピューターの全てを学び、専門学校に行ったものの、いざ授業を受けてみるとつまらない。ゲーム三昧の日々で彼が興味を持ったのがセキュリティの世界だった。
『そこで本格的に学ぼうと思って大学に行こうかなと思ったんだけど、大学に行くにも卒業できないほど単位を落としてしまって、独学でやるしかないかと思ったわけさ。』
©Marcus Hutchins
そんな彼には今や2万人のツイッターのフォロワーが居て彼が『3日で5時間しか寝ない男』という仕事ぶりを24時間ヒートアップして声援を送って観ているというのだ。
何故3日間、72時間彼は寝ないのか?
『金曜から日曜にかけては、ハッカーが活躍しだすんだ。企業の決済、レジャーに行く人、大きな金が動く、そういう所をハッカーが狙う。今の金の流れはマイクロソフトのコンピューターが担っているから脆弱性をついて、ハッカーは攻撃をしかけてくるのさ。』
その間は、ハッチンスの様な『見張り番』は気を抜けない。誰がいつ『ウィルスが添付されているeメールファイル』を誤って誰かが開かないか、オンラインで見張っていなければいけないからだ。
©Marcus Hutchins
企業の誰かがウィルスファイルを誤って開けば、ネットを通じて瞬く間にウィルスが広がり世界中に拡散すると言われている。ハッチンス曰く、
『この間のWanna Cryptor以上のウィルスは既に作られていて僕たちはそれが世界中に本格的に広まらないかどうか警戒している所なんだ。』というのだから驚きだ。
それよりも彼は恐れているのは、ホワイトハット(元ハッカーがランサムウェアを防ぐ側に周る事)が、ウィルス拡散を防いだとネットに自慢してまわってる事だ。
ある中国人ハッカーがコンピューター・ウィルス『キル・スウィッチ』が拡散するのを止めたのは自分だとネット上にアピールしているのを見て自殺行為だと警告している。
『僕たちは影であるべきなんだ。ハッカーからいつ報復されるか判らぬまま僕たちは仕事をしているからね。』
今回Wanna Cryptorが拡散した理由の一つは、政府のセキュリティシステムがハッカーの手に渡ったと言われている。これがハッチンスら、防御側が一番恐れている事だ。
ハッチンスは、今政府機関で働いているが、上司に請われ、英国に居ながらLAベースのセキュリティ会社で働く事になった。万が一LAに出張する事になった場合は上司が経費も全て持つというのだから、A級の待遇だ。
仕事となれば複数のノートPCとサーバを駆使し何日も寝ないで挑むが、ハッチンスは自分のソーシャルメディアには『どこにでも居る普通の男の子』としての顔の投稿は頻繁にUpしている。
©Marcus Hutchins
ポケモンとピザが大好きで、いつも友達に囲まれている普通の男の子の顔を見せている。
家族や周囲の友人は、彼の職業は何をしているのか知らない人も多いのだという。これも彼の周囲への思いやりなのだろう。