8人の養子を育て、死の病を患う子供を育てる元看護婦


[AD] 「受験生に役立つ情報誌」や「大学パンフ」の請求で必ず【1000円】もらえます。

日本に15万人居ると言われている難病の子供の中で、小児がんや心臓など、命を脅かされる病気を患う(Life Threatening Condition=LTC)子供は、2万人居ると言われている。

LTCに分類される子供たちの多くが病院で親と引き離され暮らし、その短い生涯を終える中、1人の元看護婦の英国人女性が『LTCの子供たちに家族を』と立ち上がった。

©Cori Salchert

彼女の名前は、コーリ・サルチェートさん(51)と夫のマークさん。
元看護婦のコーリさんは、病院やホスピスで、親から引き離され短い生涯を終える子供たちや、がん患者を目の当りにしてきた。

彼女とマークさんの間に子供は居ないが、2人は様々な事情で親が育てられない子供の養父母となり育ててきた。その数は8人。
彼らの子供8人は異父母兄弟で、年齢も18歳から26歳までと幅広い。全員が健康で教育もきちんと受けている。物心つかないうちに引き取られてきたので実の兄弟姉妹も同然だ。

©Facebook/Cori Salchert

そんなコーリさんとマークさんが、末っ子の子供の子育てが一段落した頃、始めたのが、何等かの障害があり長く生きられない子供たち(LTC)を、ホスピスから引き取るボランティアだ。

もちろん引き取る子供は、産みの親が、産んだ後も逢う事を拒否していたり、子供の終末期に立ち会うのが辛くて立ち会えないという場合に限っている。産みの親の人権まで奪う事はしない。
写真の彼女の腕に抱かれているのは’14年に引き取ったチャーリー君だった。

©Cori Salchert

チャーリー君は、産まれた時に脳に酸素が回らなかった為、脳に重度の障害が残ってしまい、医師は2歳の誕生日を迎えられたら良いと言っていた。だがコーリさんは、チャーリー君の面倒を毎日必死で見て、彼の3歳の誕生日を迎えさせることが出来たのだった。

3歳の誕生日を迎えた数日後、チャーリー君は天に召され、夫妻は、しばらくの間ショックに打ちのめされたが、彼を育てた事の意味を改めて思い知ることになったという。『チャーリーが死んだとき、ショックだった。もう子供を引き取って育てるのはやめようかと思った。でも、チャーリーがこの世に生きていた事実は確か。彼が3歳という短い生涯で私たちに教えてくれた事は計り知れない事だし、彼は生きる事で何が大切な事かを私たちに教えるために、私たちを選んでくれたのだと思ったの。』

コーリさんが、チャーリーの様な障害のある子供を初めて迎えたのは、’13年の時。
初めて迎えた赤ちゃんは女の子でエマリンと名付け。既に成長している養子たちも親代わりになり、可愛がった。だが彼女はわずか50日の命で天に召された。

エマリンは、生まれつき左の脳がなく、彼女の存在はおそらく両親すらしらない。死産と知らされていたかもしれないのだ。もう生きられないと判った途端、母方の身内がホスピスに預けることすら断念していたかもしれない。それをコーリさんは引き取り、エマリンに50日の家族を提供した。

©Cori Salchert

『私たちは、産まれてきた子供が、孤児であっても、どんな病をもった子供であっても、家族として受け入れるわ。死が私たちを分かつ事はないと信じている。引き取られてきた子供たちが、自分らしく生きられてる場所を提供したいし、家族という存在をもたせたいの。普通の子供たちと同じようにね。』コーリさんがこう断言するのには理由がある。亡き妹の存在だ。

コーリさんは4歳の時に妹エイメが産まれたが、エイメさんは産まれてすぐ脊髄髄膜炎に侵され、脳障害が残り目が見えなくなった。家族はエイメさんの世話をすることが出来なくなり、エイメさんが5つの時に施設に入れてしまったという。今でもコーリが心の傷として忘れられないのが、彼女が11歳の時の話だ。

エイメさんは、施設の個室に入れられていたが、偶然その日は、個室のドアが開いていた。エイメさんは不思議に思い、外の世界を見てみようと施設の外に飛び出した所、施設の側には沼があり、足を滑らせたエイメさんは溺死したのだという。

『妹は誰にも看取られる事なく、苦しんで死んでいったのよ。家で世話する人が居なかったから、それだけで施設に入れられて閉じ込められて。今の世の中でも起こりうることでしょう?』コーリさんは、死んだ妹の事を思うと今でも何故あの時自分は側にいなかったのか、家族は妹を施設にやったのかと、何度も自分の胸に問いただすのだという。

その結果、彼女は看護師の道を選んだのだが、特定の建物の中で、患者の心身のケア全てをすることは到底無理であり、看護婦も心身をボロボロにして辞めていく姿を目の当りにし、何か他に方法はないのだろうかと、模索する日々が続いていたという。そこで行き着いたのが、ホスピスで看取る事が出来なくなった子供たちを、自分たち夫婦が看取るという試みだった。

自分たちは幸いにも、その資格がある。そこで看護婦を辞め、自宅で終末期にある子供たちを看取る事にしたのだ。

『確かに私のやってる事は誰にでもできるというわけじゃない、だからその方法だけでもシェアして貰えれば、ホスピスや病棟で死んでいく子供たちの数は減らせると思う。』彼女はFBに『Save Have 4 Babies』を立ち上げ、そのメゾットを公開。医療関係者に興味を持ってもらう様、今までどうやって子供たちを世話してきたか書いている。

日本では、コーリさんの様に、自宅で終末期の子供を引き取るという考えは浸透しないのが事実だ。これは日本の住宅事情や社会保険事情、医師の事情も関係している。

小児ガンをはじめとした医療用ケアが必要な子供や家族の為の『子供ホスピス』すら少なく、コーリさんの様に『子供ホスピスや小児病棟から了解を経て引き取る』という概念は定着しにくい。

現在、日本にあるのは病院と家の中間的施設が主で、それも経済的に余裕がある両親の子供でありつつ、病気が重度ではないと入れないのが事実である。誰でも入れるというわけではない。

それでもコーリさんは、自分の活動が世界中に広がる事を信じて、今日も引き取って育てた子供たちと共に活動を続ける。

©Cori Salchert

『妹が死んだという事実は変えられないわ。それに死を待つ子供たちの事実も。でも彼、彼女たちが天に召される時、地上から”今までありがとう”と私たちが手を降って天国に送る事なら出来る。天に召される時に傍らに居る事は出来るわ。彼らの人生を変える事は可能なのよ。』
死んでいく時に1人じゃない人生を他人に与えられる事は、貴方に出来るだろうか。

Mother-of-eight describes constant heartbreak of adopting and fostering dying ‘hospice babies’ to love and care for them until their death

こんな記事も読まれています


Tree of bean