【驚愕】平凡な田舎で300人の連続殺人…ナジレブのエンジェルメーカー事件


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戦争から帰ってきた夫が次々と死んでいく、というウソの様な本当の話が100年以上も前のハンガリーの田舎で起こった。

時は第一次世界大戦の末期。
ハンガリーの首都・ブタペストから南東100km離れた所にある、山に囲まれた村・ナジレブ。当時人口1600人程しか居なかったこの村で、次々と死人が出た。

最初の犠牲者は戦争帰りの兵士・サボー、数日後は同じく戦争帰りの兵士カルドシュで溺死だった。次々と死んでいくのはいずれも戦争帰りの男たち。

サボーの死から10年で村で200人もの死者が出ているのを疑ったハンガリー警察は、死者の数があまりにも多いと疑問をいだく。

©ranpo.co

サボーの死からさらに時が経ち14年たつと、死者の数はさらに膨れ上がり300人に達した。村の人口に対して、この死者は尋常ではない。
そんな時に、警察に事件解明の鍵となる思わぬ匿名の通報が入った。その原因は、ナジレブがあまりにも保守的かつ封建的だったからだった…。

ナジレブは、文明から隔離され、封建的かつ保守的で、男尊女卑が当たり前だった。戦争で村の男性は徴兵され、村に残っていたのは女子供と高齢者だけになってしまっていた。

そんな村に大戦末期、突然、捕虜収容所が建てられ、村に若いロシア兵たちがやって来た。
ナジレブの女性たちは、捕虜の監視と食事や炊事洗濯など身の回りの世話をしなければいけなかった。

捕虜のロシア兵は立場上、当初、言動や行動を慎まなければいけなかった事もあり、ナジレブの女性に紳士に接していた。

ナジレブの女性たちは、生まれてはじめて見る外国のしかも若い兵士たちに、ときめき、しかも優しくして貰い、すっかり戦地にいった夫の事は忘れていた。言葉悪くいえば男に飢えた村に女に飢えた男が来たわけである。

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ロシア兵たちは、従順にしていれば、いくらでも田舎の女性がなびいてくると思い、捕虜という名の天国を味わった。
ロシア兵1人に対し、3人の愛人は当たり前。うら若きお嬢さんから、自分の母親程の年齢の愛人まで揃えた好き者がいてもおかしくなかった。

しかしいつまでも戦争がつづくわけもない。大戦が終わると、ロシア兵たちは母国へと帰り、残されたのはナジレブの女たち。そしてまさかの、夫が帰還してきたのだ。
本来であれば、夫が戦地から帰還してきたなら、その無事を喜ばなくてはいけないが、彼女たちは素直に喜べなかった。

ナジレブでは、周囲が勝手に決めた相手と結婚しなければいけなかった上、女性は結婚式まで顔を見た事がない男と結婚させられる事もよくあった。
にも関わらず、彼女たちは、暴力をふるい、時には浮気もし、わが物顔で振る舞う夫に尽くさなくてはいけなかったのだ。

戦争から帰ってきた夫は、毎日の様に自分の武勇伝を語り、感動しなければ妻に暴力をふるった。妻たちが、かつてのロシア兵と比べてしまうのは当たり前だった。
妻たちは、しばらくは夫の前で、何事もなかったかのように尽くしていたが、しまいに不満がたまり、妻同士で集まり、夫の愚痴を言い合うようになった。

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以前から、彼女たちは村で唯一の医療関係者で、独身で助産婦のユリウシュに、夫の愚痴や不満を相談していた。すると、ユリウシュは、そんなに不満なのであれば、夫を殺せばいいと言い出す。
彼女は、ハエ取り団子やハエ取り紙からヒ素が取れる事を妻たちに教え、ヒ素を夫の好物であるワインやスープに入れるよう指示した。

最初に犠牲になったのはサボー夫人の夫だった。
サボー夫人の夫が死んだ事で、戦争帰りの夫からの暴力や暴言に苦しむ妻たちは、次々と夫に毒を盛り殺し、ある者は死を毒殺と悟られないように溺死、病死と偽装した。
死亡診断書はユリウシュが書くので、彼女の指示に従い、死を偽装したのだった。

そのうち彼女たちの行動はエスカレートし、自らを『ナジレブのエンジェルメーカー』と名乗り、自分たちの幸せを邪魔するものであれば姑、小姑、さらに子供までも手にかけるようになった。これが爆発的に死者が増えた原因だった。
だが、彼女たちの殺戮は、何者かの密告により止まる事となる。密告により、毒殺とばれてしまい、密告されたサボー夫人は腹いせに、自分の仲間を告発。
そこから芋蔓式に、ユリウシュの名前まで警察に知られる事となった。

ユリウシュは、エンジェルメーカーたちに『私たちのお遊びはもう終わりです』と一軒一軒訪ね歩き詫びたが、彼女は警察に尾行されている事に気付かず、エンジェルメーカーと名乗り殺戮を繰り広げた38名の妻たちが逮捕された。
そのうちの26名が告訴され、8名が絞首刑にされ、絞首刑にされた8名は遺体が腐り落ちるまで、見せしめの為、つるされたまま放置されていたという。

ユリウシュは刑を受ける前に服毒自殺を図っていた。
エンジェルメーカーたちは、封建的な夫に命がけで刃向かおうとしたが、その報いを受けたわけである。その様な男の嫉妬は今もなおどこかに残っているのではないだろうか。

~ナジレブのエンジェルメーカー~連続殺人紳士録(中央アート出版社)

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