シリア民間防衛隊・ホワイトヘルメット、武器を持たず死と隣り合わせの日々


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シリア民間防衛隊・ホワイトヘルメットの一員である、Abu Kifahさんが、がれきの下に埋まっていた1歳の赤ん坊、Wahida Ma’artoukちゃんを見つけ救い出した。

©Mailonline.co.uk
シリア北西部、イドリスの北サミンにあるホワイトヘルメットの活動拠点は、現地時間の12日朝、イスラム系反体制派武装勢力アハラール・アルシャームの襲撃を受け、民間人を含む7人が死亡。
不意をつかれた襲撃に、人々は怒りと哀しみと絶望感に包まれた。

Abuの親友のMatian JallalはMailOnlineのインタビューに『今日は僕だけでなく、Abuをはじめとしたホワイトヘルメットで活動する面々にとってとても辛い日だった。』と胸の内をあきらかにした。

©AFP/Getty Images

民間団体である為、救出する時は、特別な道具を使う事もない。
爆撃があった後、がれきの下に潜り、手探りで、30時間~40時間かかり、人ひとりの命を救うのもやっとだという。
Wahidaちゃんの命をすくった時も、お姉さんが待っているからこそAbuさんは、必死の思いで頑張った。Wahidaちゃんの両親は爆撃で帰らぬ人となってしまったからだ。

©Anadolu

ホワイトヘルメットに所属する民間人は現在3000人あまり、活動拠点は110を超え、拠点が離れている為、隊員が連絡をとることもままならない事もある。

隊員にとって一番怖いのは、爆撃があった後、救出作業をする民間団体を狙ったダブルタップ(折り返し攻撃)なのだという。事実この攻撃で多くの人々が犠牲になっている。

©Mailonline.co.uk
Abuさんは元々仕立て屋だったが、シリア内戦の激化で職を失い、’11年にホワイトヘルメットに志願した。
Abuさんのように、職を失い成行きでホワイトヘルメットに志願する人々がいる、一方で、武装派勢力に志願する人々も明日食べていく為と言えばどうなるのだろうか。

元々シリアのイドリブは、農業および、隣町のアレッポに出稼ぎに行く人が多い人口55000人の郊外の街だった。
しかし’15年にアルカイダ系反政府勢力や、イスラム系過激派組織がなだれ込んできてから内戦が激化するようになった。

内戦により居住地を追われて避難した人々は国連人道問題調整事務所(OCHA)によると70万と言われているが、実際はもっと多いと言われている。

避難民が住まいと食料を確保するためには武装勢力に志願することも珍しくなく、近い将来イドリブは第二のガザになるとも言われていて、元々住んでいる住民は
『アサド(大統領)は、革命はだろうが、反体制派だろうが、おとなしくしている人間もすべて、自分のいう事を聞かなければ、抹殺するつもりなのだろう。』とため息をついている現状だ。

アサド大統領の目の上のたんこぶと言えるのが、ホワイトヘルメットだ。

ホワイトヘルメットは、公式JPには、中立、不偏、人道を掲げ、いかなる政党、政治にも属せず、戦争の犠牲になったものたちであれば、戦闘員、イラン人、自国の兵士、子供も救い出すと書いている。
が、事実上は、資金、技術援助されている欧米各国に活動の一部をコントロールされているのでは、という説が浮かび上がっている。

何故なら、ホワイトヘルメットの主導者は、ジェームス・ルムジュアーという英国陸軍将校で、NATO諜報部門、国連英国代表を経て、アラブ首長国連邦に危機管理会社『グッド・ハーバー・インターナショナル』のコンサルタントに任命された時、欧州からの資金援助を元に、作った団体がホワイトヘルメットの前身だというのだ。

この様な経緯もあり、ホワイトヘルメットは欧米各国から技術及び資金提供を受けているので、本当なら救出作業の3分の1を占めているはずの、戦闘員や自国の戦士の救出作業もメディアに広報として載せる事が出来ない。
子供の救出作業を乗せて、空爆を実行しているアサド大統領と、その背後についているロシアを罷免する方向性でしか動けない為、今回の様に、ホワイトヘルメットの救出員が、反体制派の犠牲になる事もあるのだ。

©Twitter/Husan Hezabe

公式HPでは、もし赦されるならば、シリア全土の人々を救いたいといいながら、広報の動画では『シャビーズ(アサド大統領支持者戦闘員)の遺体はゴミ箱に棄てる』と叫んでいたとすればどうだろう。
反体制派にも色々あり、今回ホワイトヘルメットの拠点を襲撃したイスラム系武装勢力は過激派にあたるが、中には穏健で寄せ集めの団体もあるというのだ。

国連のステファン・デミストゥラ、シリア問題担当特使は、ホワイトヘルメットがノーベル平和賞候補にあがりながらも選ばれなかった理由について、
イドリスの政治的不安も挙げている。
『政治的合意や、停戦がなければイドリスは第二のアレッポどころかガサになってしまうだろう。』

©AFP/Getty Images
だが、ホワイトヘルメットは今日も人々を救うことはやめない。責任者のラエドさんは
『人を救う仕事をきっと神様を報いて下さるでしょう。コーランには、最も慈悲深い行いは1人の命を救うことで、それは全人類のいのちを救うと書いてあります。』
と胸をはった。

Hero White Helmets rescuer who wept as he pulled baby girl from Syrian rubble in footage that reduced BBC newsreader to tears is shot dead alongside six colleagues

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